ども、けろです。
『呪術廻戦』の物語を魅力的にしている要素の一つに、その設定の数々があります。呪力、呪霊、術式など、厨二心くすぐる設定の数々は本当にカッコ良く、新しい術式や設定が開示されるたびに僕はワクワクしています。
と同時に、それらの設定は『呪術廻戦』という物語を難読にしているという側面もあります。直近で言えば「領域展延」と「簡易領域」の違いや、簡易領域の原型である「彌虚葛籠」などが挙げられます。いずれも読み解いていくとある程度理解はできるものの、初見ではかなり面食らう要素であることは間違いありません。
そしてそんな要素の一つに、「反転術式」と「術式反転」があります。
似たような漢字が並んでおり、同一のものとして認識されがちなこの二つですが、実際は別物です。より正確には「反転術式を応用したものの中に術式反転がある」のですが、こう書くと更に難解になる気がしますね。
というわけで今回は、そんな「反転術式」と「術式反転」について、再度振り返っていこうと思います。
実はちょうど1年ほど前に同様の解説記事を書いていますが、そこから1年経ち本誌の展開も進んでいますので、それらの内容を踏まえたアップデートとなります。
kero-entame-channel.hatenablog.com
それではやっていきましょう、呪術廻戦解説回です。
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1.基本のおさらい:「呪力」とは何か
まず本記事のメインに移る前に、そもそも「呪力」とは一体どんなもので、それによりどんなことが可能となるのかについて軽く触れていきます。
1-1.「呪力」=負の感情
「呪力」とは負の感情によって生み出されるエネルギーで、負(−)の性質を持っています。
怒り、悲しみ、恥辱、怨嗟などの負の感情がその正体であり、これを自由に出力できる才を持った者を「呪術師」と呼びます。術師と非術師の差は、この「呪力の循環・漏出の程度」にあります。
呪術師はわずかなトリガーで引き出した負の感情・呪力を増幅して大きな力に変換し、それを用いて戦います。それに対して非術師は負の感情を自分の周囲で留め置くことができないため、それが蓄積することで後述の「呪霊」が生まれます。
結論:「呪力」とは「負の感情」から生まれたエネルギーで、負(−)の性質を持つ
1-2.術式の発動
この「呪力」を、肉体に刻まれている生得術式(=生まれ持った術式のこと)に流し込むことで発動するのが「術式」です。
作中では「呪力」を「電気」、「術式」を「家電」に置き換えて説明がなされていました。
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第2巻,集英社,p99)
「呪力」は前述の通りただのエネルギーの塊なので、それ単体でも確かに攻撃能力を有しますが、とはいえただのエネルギーなので使い勝手は悪く、あくまで基礎能力としての位置を占めています。
それを「術式」へと昇華させ、様々な効果を持つ術へと転じさせることが「術式の発動」であり、多くの術師の戦闘スタイルとなっています。
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第10巻,集英社,p93)
とは言えこの「生得術式」を持って生まれるかどうかは人によって千差万別であり、作中で登場するメインキャラクターの中にも「生得術式」を持たないキャラクターがいます。
結論:「呪力」を「生得術式」に流し込むことで「術式」が発動する
1-3.呪霊の発生
そんな「呪力」ですが、その大元となる「負の感情」が一つの対象に対して向けられ、蓄積した際には「呪霊」が生まれます。
作中では学校や病院といった場所が挙げられていましたが、これは何も特定の場所に限った話ではなく、「大地」や「火山」といった集合的な認識に対しても適用されます。
また、向けられる畏怖・恐怖の感情が強ければ強いほどその対象となる呪霊は強く成長を遂げ、作中では自然を冠する呪霊は「特級」の階級を有するほどの力を持ち、人々から恐れられていました。
(引用:芥見下々『呪術廻戦-東京都立呪術高等専門学校』第0巻,集英社,p30)
2.反転術式とは
では次に、「反転術式」について解説していきます。少々難解になってしまいますが、なるべく噛み砕いて説明します。
2-1.「正(+)のエネルギー」を生み出す
先ほど「呪力」とは「負(−)のエネルギー」と説明しました。これはその発生過程が負の感情の増幅であるためですが、このままでは若干使い勝手が限られてしまいます。
そこで、本来負(−)の性質を持つ呪力に負(−)の性質を掛け合わせることで「正(+)のエネルギー」に変換するというのが「反転術式」になります。
中学校の数学で習った、「マイナス×マイナス=プラス」というやつです。
ここで気を付けておきたいのが、名前に「術式」とついていますが厳密にはこれは「術式」ではなく、あくまで呪力操作の一環であり、いわば「技」の一種に区分されます。
結論:「反転術式」は「正(+)のエネルギー」を生み出す技である
2-2.肉体の治癒が行える
この「反転術式」の持つ効果の一つに、「肉体の治癒」があります。
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第9巻,集英社,p76)
「呪力」とは前述の通り「負の感情」であり、何かを治したり生み出したりといった方向に用いることはできません。
作中でもこれに関しては言及されており、「呪力は負の力。肉体の強化はできても再生することはできない」と言われています。
そこで「反転術式」を用いることで呪力を正のエネルギーに変換し、それにより本来は不可能だった肉体の治癒が可能になります。
よく「反転術式=肉体の治癒」と誤解されがちですが、「反転術式」はあくまで正のエネルギーを生み出す呪力操作のことを指し、そこから生まれた正のエネルギーを用いて「肉体の治癒」を行っているというのが正確です。
結論:「反転術式」により生まれた正のエネルギーは、肉体の治癒が可能である
2-3.呪霊に対して特効である
「反転術式」に関して、渋谷事変にて「反転術式により生まれた正のエネルギーは呪霊に対して特効」という設定が明らかになりました。
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第14巻,集英社,p53)
ここで宿儺が「俺が呪霊ならあの一撃で消し飛んでいたな」と述べているのは、呪霊というのは実体を持たないエネルギーの集合体であるため、対極の性質を持つ反転術式由来の正のエネルギーを食らうと肉体が耐えられないということだと思われます。
呪霊と受肉体の違いについては以前別の解説記事を書いていますので、よければそちらをご覧ください。
kero-entame-channel.hatenablog.com
とは言え「反転術式」はその習得難易度の高さから作中でも使える者がほとんどおらず、この手法を用いて戦闘を行える者となるとさらに少数となります。なので対呪霊戦においてこの戦い方をメインに据えることは現状難しいといえるでしょう。
結論:「正のエネルギー」は呪霊に対して特効であり、確殺することができる
3.術式反転
では次に、「術式反転」について解説していきます。これについては文字通り「術式を反転させるもの」であり、「術式の一環」と呼んで差し支えないと思います。
3-1.術式効果を反転させる
「術式反転」とは、先述の「反転術式」によって生まれた正のエネルギーを自らの生得術式に流し込んで発動するものです。
本来術式とは呪力、つまり負のエネルギーによって発動するものなので、これに真逆の性質を持つ正のエネルギーを流し込むことにより、術式の効果が反転します。
つまり「反転術式」は「正のエネルギーを生み出す行為」を指し、それにより生まれた正のエネルギーを用いて術式効果を反転させることが「術式反転」というわけです。ややこしいですね。
3-2.術式順転と術式反転
呪力、つまり負のエネルギーによって術式を発動することを「術式順転」といい、逆に正のエネルギーによって術式を発動することを「術式反転」と言います。
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第6巻,集英社,p186)
作中でこれを披露していたのは現在(175話時点で)五条悟ただ一人なのでサンプル数が少ないのですが、彼の持つ「無下限呪術」の場合、「術式順転」は「吸い寄せる力」であり、「術式反転」はその逆の「弾く力」となります。
kero-entame-channel.hatenablog.com
呪力が本来負の性質を持っているので、大半の術師は自分自身の術式を「順転」で発動していることになります。再三になりますが、そもそも「反転術式」を使って正のエネルギーを生み出せる術師自体が稀有な存在であるため、今後作中でどれほど登場するかは未知数です。
4.使用可能キャラクター
では最後に、第175話現在における「反転術式」使用可能キャラクターについて軽く触れ、本記事を締めたいと思います。
4-1.五条悟
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第2巻,集英社,p110)
まずは言わずと知れた最強術師、五条悟です。
彼についてはアニメ派・単行本派の方も既にご存知の通り、「反転術式」も「領域展開」も会得している文字通りの「最強」です。
作者の芥見先生も「わかりやすく天井が欲しくて」という理由で五条を描いたと言っているので、現時点で作中最強は五条と考えていいでしょう。
そんな五条は、常時「反転術式」を発動し脳を治し続けています。
というのも彼は自分自身の術式「無下限呪術」を常に発動状態にしており、それによる脳の負担を軽減するために「反転術式」を用いているというわけです。
4-2.家入硝子
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第2巻,集英社,p51)
高専専属の医師、家入硝子。
彼女は「反転術式」使いの中でも特に希少とされる、正のエネルギーのアウトプットが可能な術師です。
これは五条悟も不可能な芸当とされており、高専側では(後述の乙骨を除いて)唯一の治癒役としての側面があります。
4-3.乙骨憂太
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第17巻,集英社,p9)
特級術師が一人、乙骨憂太もまた「反転術式」を操る術師です。
加えて乙骨は前述の家入同様、正のエネルギーをアウトプットすることで他人の治癒が可能な術師であり、非常に希少な存在です。ちなみに僕の推しです。
4-4.両面宿儺
(引用:芥見下々『呪術廻戦』第14巻,集英社,p46)
主人公虎杖悠仁の体内にいる最強の呪詛師・両面宿儺もまた「反転術式」が使用可能であり、他人の治癒も行えます。
ただし彼は虎杖に対して一切協力的ではないため、彼の持つ力が高専側に利することはあまりないと思われます。
4-5.裏梅
羂索に付き従う術師であり、1000年前には宿儺専属の料理人としての側面を持っていた術師・裏梅もまた「反転術式」を扱います。
裏梅に関しては「氷凝呪法」という術式名も明らかになっているので、今後「術式反転」が披露される可能性が十二分に考えられます。「氷」の反転となると「水」か「炎」あたりが候補として浮かびますが、果たしてどうなるのでしょうか。
4-6.その他
上記に挙げなかった人物として、物語の黒幕である羂索、死滅回游にて登場した泳者の一人・黄櫨廬の両名も「反転術式」を扱えます。
黄櫨に関しては今後の物語で出てくるかは不明であり、羂索も現時点では表に出てきているわけではないので、その他に分類しました。
さて、「反転術式」と「術式反転」について、作中で明らかになっている描写等から解説記事を書いてみましたがいかがでしたでしょうか。
呪術廻戦にはこれ以外にも難解・難読な設定があったりしますので、今後も不定期でこうした記事を書いていきたいと思います。
それではまた。
よしなに。