けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第176話『仙台結界③』|戦いは三つ巴の乱戦へ【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 先週は乙骨が仙台結界の一角・黒沐死を撃破し、烏鷺の奇襲を受けたところで終わっていましたね。

 

 乙骨は特級の等級を冠しており、ここで致命傷を負うことはないだろうという先入観はありつつ、それでも一抹の不安を抱えたまま過ごした一週間でした。

 

 というわけで早速やっていきましょう、呪術廻戦感想回です。

 

 

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1."空"を"面"で捉える術師・烏鷺

 

 開幕乙骨を吹き飛ばした烏鷺は、続けて乙骨に向けて連撃。

 空間を「ぐんっ」と引き寄せた烏鷺の動作に連動する形で乙骨の腕が変形し、再び吹っ飛ばされる乙骨。

 

 ここで開示された烏鷺亨子の術式は「"空"を"面"で捉える」というもの。術式を開示したということはこれにより彼女の術式性能が"縛り"により向上することになります。

 通常、「空間」とは三次元的な意味合いを持ちます。x軸とy軸という平面の世界にz軸という別の軸を加えたこの次元は、僕たちが生きているこの世界のことであり、それは常に「立体」という構造を有しています。

 

 それを「面」で捉えるというのは、三次元・立体的に広がっている空間を「二次元・平面的に捉えて操る」と考えれば理解が進みそうです。つまり彼女の術式は空間を「一枚絵」のように自由に操ることができる、という具合でしょうか。

 

 乙骨のガードを無視できたのも、おそらくはこの「面」が関係しているとは思うのですが、如何せん彼女からそこら辺に関する情報の開示はなかったのでどうなのか。

 個人的には乙骨の攻撃ごと空間を「面」にしてしまうことで無力化したのかなとは思います。

 

 この「空間の"面"操作」、今回の戦闘のように物理的な距離を一瞬で縮めてしまうことができるので安全地帯というのが存在しないという恐ろしさがありそうですね。

 

2.ナチュラルボーン煽りスト・乙骨

 

 「なんで自分なんかのために必死になるんですか?」

 

 ここでクソ笑いました。いや同時にその格好良さと壊れっぷりに震えていたんですが、マジでこの乙骨のとぼけ顔がナチュラルボーン煽りストすぎて最高です。乙骨自身煽っている自覚はなく、あくまで本心からそう思ってるというのが伝わってきたので。

 

 と同時に、僕はここでようやく0巻で乙骨が口にした「僕が僕を生きてていいって思えるように」という台詞の意味するところが分かった気がします。

 今週号の台詞からもわかるように、乙骨の精神構造はどこまでいっても利他的であり、「自分の大切な人至上主義」を崩しません。だからこそイカれているわけですが、そんな乙骨の精神構造からすると0巻の「僕が僕を〜」はやや利己的な印象を受けたわけです。

 

 何故ならこの台詞だけ、言葉の矢印の向かう先が他人ではなく自分であり、自己肯定のためだけに夏油を殺すと言っているように聞こえるからです(そしてそれは概ね正しいと思います)。

 ただ、今週号で明らかになった乙骨の狂気的なほどの利他精神を見てからだとその印象が変わって見えます。

 乙骨は価値基準の中に自分自身を含めていません。自分を顧みない、と言った方が正確だと思いますが、大切なのはあくまで「自分が大切にする人」であり、自分は二の次です。

 

 そんな乙骨が自分自身に対して下している評価って、恐らくですが「自分が大切にしている人の友達としての僕」なのではないでしょうか。あくまで他人発信・他人の評価依存で自分を位置付けていると考えると、「僕が僕を〜」という台詞にも整合性があるように思います。

 あれは結局のところ「自分の友達は命を懸けて自分を守ってくれた。だから僕が命を懸けることで初めて、僕は僕を生きてて良いって思える」っていうことなのかなと。

 

 突き詰めればそこにあるのは利己精神なのかもしれませんが、その出発点にあるのは「自分を大切にしてくれた人の想いを無駄にしない」なんじゃないかなと思うわけです。本当に優しい狂人。

 

 

 あとここの描写で気になったのは、烏鷺が乙骨のことを「オマエ、藤原の人間か!」と言っている点ですね。

 僕は日本史に強くないので細かいことはわからないのですが、確か藤原家と菅原家って宿敵という関係性だったはずで、そこに血縁関係ってなかったよね……?という疑問があるわけです。

 これは「菅原」の誤植なのか、それともこの物語の中では菅原家と藤原家の間に何かしらの関係があったのか(とはいえここまでの物語は現実の史実に即しているので、ここだけオリジナルにするとは考えにくいですが)。単行本での収録内容に少し期待したいところですね。

 

3.石流の乱入、戦いは乱戦へ

 

 乙骨に煽られ、ブチギレる烏鷺に対し、遠くの屋上にいた石流は「グラニテブラスト」というクソデカ大砲をぶっ放します。まさかリーゼントの先っちょから呪力砲をぶっ放すとは思ってなくて少し笑ってしまいました。

 

 この攻撃をそれぞれ受け止めた乙骨と烏鷺は各々の考えで石流を狩ることを決め、まずは乙骨が真正面から突っ込みました。

 あれだけのクソデカ大砲を受けた直後に真正面から突っ込める胆力がマジでやばいんですが、迫る呪力砲の数々を圧倒的な速力で回避し、先刻の黒沐死との戦闘の際にリカが開けた穴に潜り込んで一気に距離を詰め、石流との肉弾戦へ。

 

 乙骨に至近距離で攻められてなお余裕そうな表情をしている石流が不気味ですが、烏鷺も含めて三人の乱戦が始まりました。

 石流の術式はあくまで先ほどのリーゼント砲だと思うので、至近距離で詰められた際にどんな戦い方をするのかは気になります。少なくとも乙骨のラッシュに対して不敵な笑みを浮かべているので相応の戦闘力はあるのだと思いますが、今後仙台結界の一戦がどのように展開していくのか、注目していきましょう。

 

 にしてもここまでで3話しか使ってないんですよね。

 ドルゥヴの退場から黒沐死との戦闘開始、そこから一気に場面転換して乙骨vs烏鷺vs石流の乱戦までわずか3話なの、物語がスピーディに進んでいて最高のテンポ感です。

 

 このテンポ感で進んでいくと、来週かその次くらいには石流戦が決着し、仙台結界の戦闘が終盤に向かってもおかしくなさそうですね。

 

 

 次回もまだまだ乙骨サイドの話が続きそうですね。本当に楽しみです。

 

 

 それではまた。

 

 

 よしなに。