けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第54話『対立軸』|黒川あかねvs有馬かな、演技対決の行く末が不穏【推しの子】

Hatena

 ども、けろです。

 いよいよここの前書きで書く雑談が底を尽きかけています。と書けば少なくとも数行分は稼げるということに気づいたのはここだけの話にしておきますが、冷静に考えて本題は感想記事なのでそんなに長々書く必要もないんですよね。

 

 というわけでやっていきましょう、『推しの子』感想回です。

 メルト覚醒フラグを盛大におっ立てた第53話の続き、ここにきて色んなフラグ建設のオンパレードで僕はウキウキしています。

 

 

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1.あかねちゃんvs重曹ちゃんの舌戦が強い

 

 今回はこれが一番印象に残りました。尺も長めでしたし。

 あかねちゃんが有馬かなを敵視、もとい過剰に意識している理由がここで明かされ、なるほどなぁという思いでした。

 

「かの天才役者と名高い黒川あかねが演劇を始めるきっかけになった役者が居るって」

 

「黒川さんが子役の時初めて演った舞台のインタビューがあるって聞いて、当時のバックナンバー通販で買ってみたらね、そしたら……」

 

「あれっ!?あれーっ!?

 憧れの人って私!?あかねちゃん私に憧れて演劇始めたの!?」 

 

 ここの有馬かな、マジでイキイキしててクソほど笑いました。人を煽るときの目の輝きがこんなにもキラキラしてるヒロインはそうそういないでしょう。

 その上であかねちゃんとの舌戦が尖りすぎてて最高でした。

 

あかね「『ピーマン体操』が代表作のくせに!」 

重曹「そっちだって代表作は恋愛リアリティショーでしょうが!」

 

 お互いが相手の一番触れてほしくないところにガッツリ斬り込みに行く煽り、読んでいる僕らはゲラゲラ笑えますが当の本人達は文字通り吐血モノのダメージなんですよね。

 『ピーマン体操』はかつての子役時代のあかねちゃんが出したCDで、彼女の苦い黒歴史になっているやつです。過去にもルビー達がカラオケで見つけて盛り上がってましたね。

 『恋愛リアリティショー』はもちろんアクア達が出演した『今ガチ』のことで、その中であかねちゃんは盛大な炎上と華麗な復活劇を果たしたわけですが、まぁそれを「代表作」と称されるのは役者であるあかねちゃんには大ダメージなわけです。

 まぁ映画役者と舞台役者のメディア露出を同じ土俵で語るのは後者にやや不利な気もしますが。

 

 ただ、ここで個人的にフフっとなったのはそこではなく、「有馬かながわざわざ過去のインタビューが載っている本をバックナンバーで(しかも紙で)買っていた」という点ですね。

 彼女は口では「あかねなんて気もしてない」風ですが、こうしてガッツリリサーチしているあたり一人の役者としてあかねちゃんを意識しているのが伝わってきます。

 表向きは「黒川あかね→→→有馬かな」という矢印の向き方ですが、有馬かなからも矢印は伸びていて、その非対称な向き方が彼女達の関係性を表していているようで好きです。

 有馬かなは「かつて天才子役と呼ばれ、今は落ち目だが再ブレイクを目指しているキャラクター」で、目線の方向は「未来」に向いています。

 反対に黒川あかねは「かつては有馬かなに役を奪われていたが、今や天才役者として花開いたキャラクター」として描かれているものの、今その道には「有馬かな」というかつて憧れた役者がいて、ある種超えなければいけない「過去」と向き合っている。

 だから二人のお互いへの矢印の大きさや性質に差があるのかな、と勝手に推測しています。

 

2.演技にかける想い

 

 その上で有馬かなが黒川あかねに食ってかかる理由が(アクアのビジネス彼女というのはさておき)あかねちゃんの演技に対する向き合い方というのがまた良いですね。

 

「あかねと私は演技の向き合い方から違うし

 役者に対するアプローチも良い演技っていうものの考え方も違う。

 あの子の演技からは「私が正しい」「貴方は違う」そういう圧を感じるワケ。

 

 ほんとーにムカつく」 

 

 いやめちゃくちゃ意識してるやんけ〜〜〜〜〜〜ツンデレ〜〜〜〜

 

 バチバチな本音を本人の前で見せないところが本当に可愛くて最高ですが、ここが今後の物語の主軸、もといサブタイトルの『対立軸』となっていますね。

 

 あかねちゃんは「没入型」の演技を得意とする役者で、脚本や台本を読み込んで自分の中に解像度の高い「キャラクター」を作り込んでいくタイプです。いわば「冷静沈着に演じるべきキャラクターを緻密に組み上げていく論理型」の役者で、その片鱗が「今ガチ」で発揮され(た上でアクアの目に止まっ)たわけです。

 有馬かなの感じた「圧」というのはここに起因しているわけで、そりゃそうだよなと。だって「自分の中に完成された解像度のキャラクターを作り込む」のであれば、「それ以外の解釈=間違い」となるわけです。それが演技の端端から出ているんでしょうね。

 何せ有馬かなは「憑依型」の役者の側面があって、長い間それを(周りの役者のレベルや雰囲気に合わせて)封じていたからこそ、この舞台で姫川という月9俳優と出会えたことで目覚めたわけです。演技に対する向き合い方も、考え方も、その全てが対極的な二人というわけですね。

 

3.それぞれの想いが入り乱れ、舞台の幕が上がる

 

 舞台に対して向き合うそれぞれの心情が描かれたのがマジで心躍ります。

 メルトは貪欲に演技の質を上げようとしているし、有馬かなもそれに応じ、対するあかねちゃんとアクアは監督のところで感情演技の練習。

 これが舞台本番でどう展開し、どんな化学反応をもたらすのか、今からめちゃくちゃに楽しみです。

 

 月9俳優の姫川もその全容は描かれていないし、高校生に手出そうとしたクソ男はヘラヘラしてるし。

 姫川の圧倒的な演技も見てみたいし、性欲チンパンジーがメルトにギャフンと言わされる展開も見てみたいです。

 

 

 長めの準備期間を経てついに幕が上がる2.5次元舞台。

 

 

 どうなるのか見守っていきましょう。

 

 

 それでは今回はこの辺で。

 

 

 よしなに。