けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】BLEACHアニメの"書き下ろし巻頭歌"の意味ー更木剣八編ー【BLEACH】

Hatena

 ども、けろです。

 気づいたらBLEACHのアニメももう8話。アニメの1クールは大体12話なので、もう半分以上が過ぎてしまったことに時間の早さを感じながら、アニメBLEACHの1クール目が終わってしまう……という眼前に迫り来る"最後の日"に怯えています。

 アニメ千年血戦篇は分割4クールであることが明言されていますが、とはいえどういう区切り方なのかは判明していないので、2クール+1クール+1クールという放送スケジュールかもしれないし、1クール×4という流れかもしれません。僕は個人的には後者の方だと思っています。

 

 というわけで前置きもそこそこにやっていきましょう。BLEACHアニメ考察回です。

 

©︎久保帯人『BLEACH』集英社/スタジオぴえろ/テレビ東京

 

1.アニメ第8話で描かれた"書き下ろし巻頭歌"

 

 前回第7話は志波空鶴の巻頭歌でしたが、今回の第8話の次回予告で流れた巻頭歌は十一番隊隊長・更木剣八のものでした。

kero-entame-channel.hatenablog.com

 

斬れぬものなど 何も無い

 

ただ お前以外には

 

 原作で描かれた更木剣八という人物のキャラクター像と、千年血戦篇での立ち位置を知った上でこの巻頭歌を見るとめちゃくちゃ深みがあって最高だな、と感じます。

 

 おさらいですが、「剣八」とは代々十一番隊の隊長に授けられる"最強"の称号で、その意味は『幾度斬り殺されても絶対に倒れない』です。

 何やらとてつもなく物騒ですが、当代の「剣八」である更木剣八は歴代最強と言われ、その強さは作中でも遺憾なく発揮されてきました(滅却師の長であるユーハバッハも彼を五人の「特記戦力」の一つに数えるほどでしたね)

 

 最終章では初代剣八である卯ノ花八千流との斬り合いを通じて本来の力を取り戻し、そこで彼女から真の意味で「剣八」の名を受け継ぎました。

 その後のグレミィ戦での剣八の鬼気迫る表情からのこの名言は、本当にカッコよかったのを今でも覚えています。

 

久保帯人『BLEACH』第64巻,p60-61,集英社

 

2."斬れぬものなど 何も無い"

 

 そんな更木剣八の人物像を踏まえた上で前半のこの部分を読むと、そこにあるのは「剣八」としての矜恃と、彼のプライドだというのが分かります。

 

 前述のグレミィとのやり取りでの口上もそうですが、彼は自分が「最強」であると自負しており、斬れないものなどないと思っています。破面の鋼皮の中でも最高硬度を誇るノイトラの身体を両断したり、自らの想像力で鋼鉄の硬さになったグレミィに対しても「てめえ如きの想像力で俺に斬れねえものなんざ創れねえ」と言い切っています。

 

 このことから、「剣八」の名を持つ更木が口にする「斬れないものなどない」というのは、自分自身の強さに対する自信と、その強さに対する矜恃が現れているように解釈できるわけです。

 

3."ただ お前以外には"

 

 ですが、巻頭歌の後半部分は意外な結びとなっています。

 あらゆる者を斬り伏せてきた更木が、明確に「斬れないもの」として挙げている「お前」という人物。これは言わずもがな初代剣八・卯ノ花八千流です。

 

 あらゆる流派は自分の手にあり、という理由で自らに「八千流」と名をつけた卯ノ花は、最終章までは治療役と思われていましたが最終章でその正体が明かされ、初代護廷十三隊において十一番隊隊長を務め、「初代剣八」と恐れられた人物でした。

 

久保帯人『BLEACH』第58巻,p206-207,集英社

 

 原作をリアルタイムで追いかけていた時、この回でひっくり返るくらいびっくりした気がします。

 

 卯ノ花八千流はかつて自分との戦いで自らの力に封をしてしまった更木を解き放つため彼との斬り合いに臨み、その戦いの中で命を落とすわけですが、そんな彼女が更木目線で「斬れぬ者」として挙げられているのはなぜでしょうか。

 

 僕はこの巻頭歌には二つの意味があるのではないか、と思っています。

 

3-1."強者"としての卯ノ花

 

 一つ目は「強者としての卯ノ花」です。

 言わずもがな卯ノ花は「初代剣八」であり、ユーハバッハに「殺伐とした殺し屋の集団」と言わしめた初代護廷十三隊の中で十一番隊の隊長を務めるなど、作中でもトップクラスの強さを誇ります。

 かつて卯ノ花に僅かな差で敗れた(ここら辺は卯ノ花が技術的な側面で勝っていたと解釈しています)更木から見て、卯ノ花は「自分が唯一こうありたい」と思うほどの強者であり、そういう意味で更木にとって卯ノ花を「斬れない相手」と呼ぶことはできると思います(特に卯ノ花との戦いに身を投じるまでの更木からすれば)。

 

 この場合巻頭歌の「斬れぬ者」「今の俺の力では斬ることが叶わない強者」と換言できると思います。

 

3-1."憧れた相手"としての卯ノ花

 

 次に、というより個人的に本命だと思っているのが「憧れた相手としての卯ノ花」です。

 卯ノ花との戦いの最中、更木は卯ノ花への「憧れ」を口にしています。

 

久保帯人『BLEACH』第58巻,p73,集英社

 

 僕は初見時、あの更木が誰かへの「憧れ」を口にするのかと驚いたんですが、よくよく振り返ってみると更木は物語の初期から卯ノ花のことを「憧れ」の対象に据えていました。

 尸魂界篇で一護に敗れた更木は、副隊長の草鹿やちると出会った時のことを回想し、「八千流。俺が唯一人こうありたいと願う人の名だ。お前にやる」と名前を持たなかった当時のやちるに「八千流」の名を授けています。

 

 更木にとって卯ノ花は「憧れの相手」であり、並いる強者とは一線を画す存在だった、というのがわかります。

 

 そういう側面を踏まえてみると、巻頭歌の「斬れぬ者」にはもう一つ、「憧れたあんたを俺は斬ることができない」という意味もあるのではないかな、と思うわけです。

 もちろん作中で更木は卯ノ花を斬り伏せていますからこの直接的な解釈は若干的外れと言えなくもないですが、次号のサブタイトルが"THE DROP"であることを踏まえれば、そういう解釈もできるのではないかな、と思います。

 

 ちなみに"DROP"は日本語で「雫」を意味する英語ですが、更木と卯ノ花の対決、更木が自らの力を封じた経緯を念頭に置くと「欠落」みたいな意訳もできる気がしますね。

 

 ユーハバッハと山爺の戦いがアニメオリジナルで死ぬほど盛られまくったわけですから、更木と卯ノ花の対決もめちゃくちゃ神作画で盛られるのかもしれない……と思うと今からめちゃくちゃ楽しみですね。

 原作の話数的に次回で対決、というわけではなく「初代剣八」お披露目で終わるのかな、と思っていますが、いずれにせよ楽しみすぎますね。

 

 

 今回はこの辺で。

 またBLEACHの巻頭歌回でお会いしましょう。

 

 それでは。

 よしなに。