ども、けろです。
唐突ですが皆さんは「月曜日」と聞いてどんな気分になりますか。
僕は例に漏れず「一週間の始まり」という割とどんよりめな気分になりながら出社する曜日なんですが、そんな僕も最近は月曜日が楽しみで仕方ありません。
そう、BLEACHのアニメがあるからです。
仕事で嫌なことがあっても「ま、俺は今日家に帰ったらBLEACHのアニメがあるしな」と思うだけで気分が軽くなるので、週の頭にBLEACHのアニメがあって本当に良かったです。BLEACHは万病に効く。
というわけで今回もやっていきましょう、BLEACH考察回です。
ちなみに動画の方でも取り上げていますのでよければこちらも。
1.アニメ第4話で描かれた"書き下ろし巻頭歌"
今回で4話目となるBLEACHアニメ。
そんな第4話で流れた次回予告は、前回同様原作者・久保帯人先生の書き下ろし巻頭歌でした。
kero-entame-channel.hatenablog.com
柳の陰に
誓いは残る
雷鳴の
遠く果てるとも
巻頭歌の上に描かれたキャラクターカットは足元だけの部分的なものでしたが、この巻頭歌とその振る舞いで直ぐに誰のイラストなのかわかりました。というか次回予告が画面に映って巻頭歌が流れるまでの数秒で気づいてちょっと泣きました(ガチです)
そう、滅却師の第一次侵攻の際に卍解を奪われ命を落とした一番隊副隊長・雀部長次郎忠息です。
漫画の単行本でも表紙を飾ることがなかったキャラですので、満を辞して初の巻頭歌を与えられました。
雀部の葬儀のシーンでは白哉の長尺台詞がカットされたことで一部SNSで議論を呼んでいましたね。
2000年以上も隊長である山本元柳斎重國に仕え、苛烈なまでの忠誠を見せた男の生き様を隊長格の中でも比較的若輩の白哉が語るという重いシーンが全カットされてしまったことによる悲しみなのは重々承知していますが、個人的には「台詞」という言語化された表現で語るのではなく、雀部が無音で山爺に跪くシーンに改変されていたのは最高のアニオリ表現だなと感動したタイプのオタクです。
さて、そんな雀部初の巻頭歌ですが、どんな意味が込められていそうなのか、サラッと見ていきましょう。
2."柳の陰"
ここでの「柳」は、単なる植物としての意味だけではなく、雀部が忠誠を誓った男・山本元"柳"斎重國のことを暗示しています。
少し本編のおさらいをしますが、山爺こと山本元柳斎重國は、元々は「山本重國」という名でした。そんな彼は額にある「ノ」の字の傷があったことから周囲からは「ノ字斎(えいじさい)」と呼ばれていました。
そこにやってきた、若き日の雀部。彼は山爺の右腕になることを目指していて、山爺の言いつけを守って卍解を習得しました。
そしてその卍解で山爺の額に消えない傷を刻み、傷の形が「十」の字に見えることから人々からの呼び名が「十字斎」に変化します。ですが雀部は「自分がつけた傷がノ字斎の呼び名を変えることなどあってはならない」と頑としてその呼び名を呼ぶことを拒否していて、そんな雀部のために山爺は自らに「元柳斎」という名をつけた、というエピソードがあります。
それを踏まえて「柳の陰」という表現を見てみましょう。
これは雀部目線での苛烈なまでの忠誠心を体現する言葉です。
自らが師と仰ぎ唯一の隊長として仕える男が、自らのために「元柳斎」と名をつけた。言ってしまえば「元柳斎」という呼び名は雀部のためを思って生まれたものなので、それを雀部自らが口にするというのは強い決意の表れでもあります。「自分のために付けてくれた名に、生涯かけて忠義を尽くす」という、当人達にしか理解し得ない決意が。
そして何より、「影」ではなく「陰」なんですよね。
「影」は「光が存在するところにできる黒い像そのもの」を指す言葉で、物体の姿や形について表す言葉です。
それに対して「陰」は「光が当たらない暗い部分、目立たない部分」を意味する言葉となります。
ここでアニメではカットされた雀部の葬儀シーンでの白哉の台詞を引用します。
「隊長が入れ替わり、幾度その座に空席が出ようとも
暫定的な隊長代理どころか、先日まで檜佐木や吉良の就いていた
隊長権限代行の座すらも頑として拒んだ。
全てはその苛烈な迄の忠誠心が故。
雀部長次郎は、山本元柳斎在る限り生涯一副隊長であると誓った男」
久保帯人『BLEACH』第55巻, p128-129, 集英社
つまり「柳の陰」という言葉を噛み砕いて解釈するのであれば、「自らのために名を変えた男を傍で生涯支え続けたこと」と言えそうですし、「日の当たらない立場であろうと構わない」という雀部の矜持の強さが読み取れます。凄いですよ、この世で最も美しい三語かもしれない、「柳の陰」。
3."誓いは残る"
そんな「柳の陰」に「誓いは残る」。
第3話の日番谷の巻頭歌でも出てきた「残る」という表現は、「主がその場から消えてなくなっても、"そこにいた"という残滓は残り続ける」と換言できます。
雀部は滅却師との戦いで命を落とし、その肉体は葬儀によって形を失いました。でも彼がその生涯をかけて尽くしてきた山爺への忠義はそこに残り続けると言えるし、逆説的に「雀部の喪失」を伝えてもいます。
ちなみにですが植物の「柳」の花言葉には「従順・私の胸の痛み・悲哀」といった意味があるそうです。ほんとにやめてくれよ……(オタクはすぐ花言葉を調べがち)
4."雷鳴の遠く果てるとも"
「雷鳴」は雀部の卍解「黄煌厳霊離宮」を指しています。
じゃあ「遠くで果てる」とはどういう意味として捉えればいいのか。
僕はこれを「雷の性質」に準えているんじゃないかなと思いました。
雷は、落ちる場所が遠ければ遠いほど雷光と雷鳴の間に時間差が生まれます。皆さんご存知、光と音の伝達速度の違いによるものです。
「遠くで果てる雷鳴」というのは、「雷光は微かに見えるのだけれど、それが雷だと気付けないほど、雷鳴が遅れて聞こえてくる」という状況を指しているのではないか、と。
これを雀部と山爺の関係性に置き換えるのであれば、「今までは片時も離れることなく側にいた男はもういなくなってしまった。そしてその力(=卍解)も、滅却師に奪われ手の届かない遠くへいってしまった」となるでしょうか。
ですがこの巻頭歌は雀部目線で語られたものです。
かつ、巻頭歌の前段は「誓いは残る」と前向きな響きを含んでいます。
つまり巻頭歌全体で見るならば、「生涯かけて忠義を尽くすと言った私は、もう貴方の側にいることはできない。だが私の意志(遺志)は、死してなお貴方と共にある」とどこまでも不器用で真っ直ぐな、雀部の忠誠心を徹底的に表現しているわけです。
物語はこの後、雀部の卍解を奪った滅却師相手に山爺が烈火の如く怒る神展開があるのですが、今回の巻頭歌はその布石な気がしてなりません。
エピソード的にはもう少し先になるとは思いますが、その回に向けてボルテージをどんどん高めていきたいと思います。
展開的に次の次回予告は白哉の「散りて〜」の巻頭歌になるでしょうか。
また書き下ろしの巻頭歌がありましたら、その時はこんな感じでゆるく考察をしていきたいと思います。
それではまた。
よしなに。