けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第185話『バイバイ』|兄弟の別離とパンダの正体について【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 

 なんちゃって考察者をやっていて一番嬉しいことの一つに、「過去に自分が立てた考察の答え合わせ(に近しいもの)があった瞬間」があります。特に回収に時間がかかればかかるほど、その瞬間の脳内物質はそりゃもうすごいことになります。

 

 というわけでダラダラとするのも性に合わないので早速やっていきましょう、呪術廻戦感想回です。

 

 

1.パンダと兄弟の別離の意味

 

 第185話で描かれたのは唐突な絵本展開、ミニキャラになったパンダ、ゴリラ、お姉ちゃん達のやりとりでした。

 割と唐突な展開に面食らいましたが、このやりとりそのものが別離の戯画化と考えることができ、意味するところに気づいた時にその重さに頭を抱えました。

 

 それぞれの展開ごとに見ていきましょう。

 

「置いていかれる」ゴリラ達

 

 パンダ達を取り巻くやりとりの締めくくりは、ちょび髭にサングラスをかけた「父ちゃん」と呼ばれるおっさんがゴリラ(お兄ちゃん)とトリケラトプス(お姉ちゃん)を連れていくという展開でした。

 その中で交わされた会話を振り返ってみましょう。

 

「パンダとはここでお別れだ」

(中略)

「何もできないアイツをおいていけない!」

「……違うんだゴリラ、置いていかれるのは俺達なんだ」

引用:芥見下々『呪術廻戦』「週刊少年ジャンプ」25号,集英社

 

 動物達のやりとりの中で「置いていかれる存在」としてゴリラ達が描かれ、パンダは「見送られる存在」として描かれました。

 ゴリラとは「ゴリラ核」、トリケラトプスは「お姉ちゃん核」のことであり、彼らが「パンダ」に置いていかれるということは、パンダと彼らはこれから違う道を歩んでいく、ということを意味しています。

 

 パンダの中には「3つの核」が搭載されており、その内の2つが「お別れ」を迎えたということは、パンダの中から「お兄ちゃんとお姉ちゃん」がいなくなってしまったことを指していると考えられます。 

 

「死からの復活」としての鯨

 

 それを象徴するかのように、彼らの別離のシーンでは何故か「鯨」が描かれました。

 創作物における「鯨」には「生命力」「死からの復活」といった意味があり、葬儀の場で飾られる白黒の幕には「鯨幕」という名前がつけられています。

 

 つまりこの「お別れ」のやりとりそのものが、置いていかれてしまうゴリラ達にとっての「葬儀」であり、そこから現実に引き戻されたパンダは「生きて帰ってきた」存在として描かれているわけです。

 

 これらの一連の物語は、パンダがお兄ちゃん・お姉ちゃんとの永遠の別れのシーンであり、それらを動物達の登場するメルヘンな世界として描くという比喩表現だったわけですね。

 

2.パンダの正体=夜蛾の息子

 

 さて、別離を迎えたパンダ達兄弟ですが、彼らの正体についての考察要素が出揃ってきましたので改めてこちらの説について整理して考えていきましょう。

 

kero-entame-channel.hatenablog.com

 

三つの位牌と完全自立型呪骸

 

 サブタイトルの『バイバイ』と共に描かれたのは、3つの位牌

 今週号の展開からこれらの位牌がそれぞれパンダ・お兄ちゃん・お姉ちゃんの3人のものであると考えてよいでしょう。

 

 位牌とは死者の魂を祀るための仏具であり、死後に戒名が書かれ仏壇に供えられるものです。

 位牌が3つ並んでおり、その持ち主であるかのように今週号ではパンダ達3人が描かれました。

 

 パンダは完全自立型呪骸であり、そこには実際の人間の魂の複製が用いられています。

 そして完全自立型呪骸の特性の一つに、「魂の持ち主の生前の行動を真似る」というものがあります。

 彼ら自身が自分達をどのように認識しているのかは定かではありませんが、その立ち振る舞いには生前の面影を感じさせる部分があります。

 

引用:芥見下々『呪術廻戦』集英社

 

 つまりゴリラやトリケラトプスのことを「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」とパンダが呼ぶのは、パンダの魂が生前も同様の呼び方をしていたから、という可能性があるわけです。

 つまり生前のパンダとゴリラ達の関係も、現在の彼らがそうであるのと同じように「兄弟」であり、3つの位牌は(亡くなった時期自体は前後するかもしれませんが)彼が皆亡くなってしまっていることを意味しています。

 

夜蛾を暗示させる「父ちゃん」

 

 パンダ達兄弟が既に亡くなった3兄弟の魂を用いて作られたことに触れましたが、であるならゴリラが「父ちゃん」と呼ぶ存在は一体誰のことを指しているのでしょうか。

 完全自立型呪骸が生前の行動を真似ているのであれば、この「父ちゃん」は、彼らにとって「実の父親」である可能性が高くなります。

 

 そしてこの「父ちゃん」サングラスと髭という特徴的な外見をしています。

 作中でのこの外見的特徴に符合するキャラクターに、呪術高専東京校学長・夜蛾正道がいます。彼は傀儡操術の使い手であり、パンダを作り出した存在でもあります。

 

 そんな夜蛾ですが、作中最後に登場した第147話にて「息子」という台詞を残していました。

 

引用:芥見下々『呪術廻戦』集英社

 

 3つの位牌、完全自立型呪骸の特性、夜蛾を暗示させる「父ちゃん」の存在、そして夜蛾の上記の台詞。

 これらを繋ぎ合わせていくと、ある一つの可能性が非常に色濃くなってきます。

 

 夜蛾には3人の子供がいたが彼らは亡くなった。

 そんな子供達の魂を用い、夜蛾は完全自立型呪骸であるパンダを生み出した

 

 僕が現時点で行き着いた考察の結論は上記となります。

 この真相について、もう夜蛾本人の口から語られることがないというのがとても悲しいですが、どこかでパンダ達の設定や夜蛾との関係性についての明確な答え合わせがあるといいですね。

 

3.秤vs鹿紫雲

 

 全身をぐちゃぐちゃにされ頭部だけになってしまったパンダ。

 鹿紫雲にとどめを刺されそうになったその瞬間、全身から膨大な量の呪力(?)を立ち上らせて登場した東京校3年・秤。

 

 は、秤〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!とデッカい声で叫んでしまったのはここだけの話ですが、マジで激アツ。

 後輩のピンチに先輩が助けに馳せ参じる展開、ベタ中のベタ、王道の中の王道ですがだからこそ良い。

 秤がこの場に現れたということは既にシャルルとの戦闘を終えているということなので、決着のシーンがカットされたシャルルには同情を禁じ得ませんが、これくらいテンポがいい方が読んでいる側としては気持ちいいですね。

 

 とはいえ秤のパチンコ術式が鹿紫雲の雷撃に対してどのように有効なのかはちょっと見えてきませんね。ここら辺は秤の機転に期待するしかありませんが、来週はいよいよ秤vs鹿紫雲のド級バトルになりそうで最高にワクワクです。

 

 

 

 今回はこの辺で。

 

 それではまた。

 

 

 よしなに。