けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】パンダに入力された「三つの魂」は"縛り"である説【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 本誌では怒涛の展開が続いている『呪術廻戦』。

 次のページをめくることに恐怖を感じるこの感覚は、渋谷事変で毎週のように誰かしらが負傷・死亡・退場していたあの頃を思い出しますね。

 

 というわけで今回は本誌でとんでもない展開を迎えたパンダの設定に関してとある考察をしていこうと思います。

 

 ちなみに本記事はYoutube動画と同時公開です。なんだかこのくだりも久しぶりな気がしますね。

 (などと言っていますが実は昨日公開した動画にミスがあったので今日あげ直しているだけです。これが叙述トリックです)

 

youtu.be

 

 それでは早速やっていきましょう、呪術廻戦考察回です。

 

0.仮説の提示

 

 さて、まずは本考察における仮説を提示し、考察を始めていきます。とはいってもブログタイトルで既に提示しているので例の如く出オチです。

 

 仮説:パンダに入力された「三つの魂」は呪骸を安定させるための"縛り"である

 

 それではやっていきます。

 

1.FBで開示された「死者の魂」に関する設定

 

 完全自立型呪骸であるパンダには「肉体の情報から作られた魂の複製」が入力されています。

 『呪術廻戦』には魂にまつわる能力や設定がいくつか登場していますが、パンダもその例に漏れず、といったところです。

 

 そしてそんな「魂」について、公式ファンブックにてとある言及がされていました。

 

死者の魂を故意に滞留させることは本来不可能ですが、乙骨がそれをあくまで無意識(本心としては成仏して欲しい)な事と、里香が乙骨といる事を強く望んでいたことでバグのような縛りが発生しました。

引用:芥見下々『呪術廻戦公式ファンブック』集英社,p17

 

 これはファンブック内の乙骨憂太のページにて明かされた設定であり、彼と彼の幼馴染・折本里香の関係性についての言及でした。

 呪術師の家系でもない女児の霊が特級過呪怨霊にまで変質してしまった原因として、上記の「バグのような縛り」が関わっているとのことですが、この設定を文字通りに受け取ると下記のようになります。

 

 「魂を現世にとどめおくことは通常できない」

 

 一応ここでは「死者の魂」と言及されていますが、そもそも肉体と魂が引き剥がされるという状況自体通常起こり得ないものであり、そうなった時点で肉体的な死を迎えている可能性が高いため、「魂=死者の魂」と置き換えて考えることに大きな問題点は生じないかと思われます。

 

 では「なぜ魂単体を現世に留めることができないのか?」という疑問も湧きますが、これについては『魂は肉体とセットで初めて安定する存在だから』と考えると比較的しっくりくるのではないでしょうか。

 

 事実、特級呪霊である真人の術式・無為転変は触れた相手の魂の形を作り変えることで肉体も変質させ、渋谷事変で登場した術師・オガミ婆の降霊術も、降霊させた魂の情報を「肉体という器」に入れることで安定させています。

 

 つまり呪術廻戦における「魂と肉体の関係性」というのは、基本的にセットで安定するものであり、双方が密接に結びついているものだと考えることができるわけです。

 

2.完全自立型呪骸の設定との矛盾

 

 魂と肉体の関係性については上記で述べましたが、仮に上記の結論が正しいとすると、完全自立型呪骸であるパンダの"ある設定"との間に矛盾が発生します。

 

 

引用:芥見下々『呪術廻戦』集英社

「肉体の情報から魂の情報を複製するんです。その情報を呪骸の核に入力する。

 それだけでは駄目なんです。相性の良い三つの魂を宿した核を一つの呪骸に…お互いの魂を常に観測させるんですよ。

 そうすることで初めて魂が安定して自我が芽生える。生後3か月を過ぎたあたりで呪力の自己補完を始めます」

引用:芥見下々『呪術廻戦』第147話、集英社

 

 

 渋谷事変後の動乱に巻き込まれ命を落とした東京校学長・夜蛾正道が死の間際に語った完全自立型呪骸の作成方法

 三つの核が相互観測を行うことで魂が安定するわけですが、上述の通り「魂」は「肉体」とセットで初めて安定する存在です。言い換えれば、宿る肉体がなければ魂は行き場を失います

 

 もちろん呪骸の「核」そのものが人間の「肉体」の役割を果たしている可能性もありますが、であるならわざわざ三つの魂による相互観測の必要がありません。つまり「核」「肉体」足り得ないわけです。

 

 つまり、パンダに入力された「三つの魂」は、本来ならば安定するはずがなく、現世に留まることができないのです。

 にも関わらず、パンダは完全自立型呪骸としての意識・自我を獲得し、現在まで何事もなく生きています。

 

3.「三つの魂」が"縛り"の可能性

 

 この矛盾を解消する方法は、「何かしらの力が働き、本来滞留するはずのない魂を現世に留めている」と考えるしかありません。

 そして呪術廻戦における「何かしらの力」に該当するのが、"縛り"です。乙骨が祈本里香の魂を現世に抑留した"縛り"や、メカ丸から肉体を奪った天与呪縛など、"縛り"の中身は多種多様ですが、どれも「本来なら不可能なことを実現させる力」としての側面を持ちます。

 

三つの魂による相互抑留

 

「魂を故意に抑留させることは本来不可能」

「不可能なことを実現させる力としての"縛り"」

 

 これらのポイントを踏まえた上で、パンダの設定を考察していきましょう。

 パンダには三つの魂が互いを常に観測する形で入力されています。

 

 この「観測」「相手を現世に縛るための抑留」と考えるとどうでしょうか。

 お互いの魂を常に観測する、というのは、言い換えれば「自分が相手を観測している間、相手は自分を観測している」ということになります。

 

 そしてそれが三つある、ということは下記のような関係性が仮定できるわけです。

相関関係(仮定)

 

 (矢印の向きはあくまで便宜上のものですが、第185話でお兄ちゃんはパンダのことを気にかけており、パンダは泣くときにお姉ちゃんがいるか常に確かめている、といった言及があったので、とりあえずこの関係性で考えています。)

 

 つまり、「パンダはお姉ちゃんの魂を抑留する」「お姉ちゃんはお兄ちゃんの魂を抑留する」「お兄ちゃんはパンダの魂を抑留する」という三角関係による相互抑留が発生し、これによりパンダの魂は安定しているのではないか?というわけです。

 

 互いが互いの魂を現世に抑留する"縛り"を結ぶ。

 それが完全自立型呪骸の作成方法だと考えれば、これらの矛盾点が解消されるのではないでしょうか。

 

"縛り"の代償=力の抑制

 

 また、"縛り"には当然「代償」が発生します。乙骨であれば「里香の魂の抑留」の代償として「特級過呪怨霊」が誕生し、メカ丸であれば「膨大な呪力量と広大な術式範囲」の代償に「肉体の欠損」が代償として課せられました。

 

 その代償は"縛り"によって得られる対価の代償によって変化し、「死者の魂を現世に抑留する」という対価に対しては「特級過呪怨霊」という大きすぎる代償が発生しました。

 これをパンダに置き換えるとどうでしょうか。

 完全自立型呪骸であるパンダは、里香のように暴走したりせず、いたって安定しているように見えます。

 

 であるなら"縛り"による代償はもっと内的なもの、例えば「その魂が本来持つ力を著しく抑制される」だとしたらどうでしょうか。

 抑留するために大きな力を使う、つまりその魂が持つリソースの大半を「魂の抑留」に割かなければならない、という可能性です。

 

4."縛り"の破棄によるパンダの覚醒

 

 そう考えていくと、最新185話で兄姉の核が破壊され、彼らと別れを迎えたパンダは一体どうなるのでしょうか。

 観測しなければいけない兄姉達の魂が消滅したということは、これまでその魂の抑留に割かなければならなかったリソースを自分自身のために使えるようになることを意味しています。

 

 現在のパンダは鹿紫雲一によって身体をバラバラにされ、今後の生死が非常に危惧されています。

 兄姉の魂が成仏したことにより"縛り"が破棄され、これまで制御されていた力が解放されるとしたら、一時的に大きな力を得ることができる可能性があるのではないでしょうか。

 

 もちろん「魂の安定」に必要な要素であった「魂の相互観測」が失われてしまっているため、一時的に大きな力を得たパンダがその後成仏してしまう可能性も残されています。

 これについては「魂の相互観測」そのものが完全自立型呪骸を成立させるための「発動条件」なのか、それとも「継続条件」なのかによっても変わってくるので断言はできません。

 

 

 ただ、こういう視点で考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

 

 パンダの今後、非常に気になりますね。

 

 

 今回はこの辺で。

 

 よしなに。