ども、けろです。
タイトルに「徹底解説」と書きましたが、我ながら「やっちまった感」が凄まじいです。
というのも僕は超がつくほどの文系人間で、理系科目を高校時代に投げ捨てた結果、今では数式を見るだけでアレルギー反応が出るほど理系分野に対して苦手意識があるからです。そのせいで前の部署では死ぬほど苦労しました。。。。
そんな超文系人間が挑む「鹿紫雲一の術式」解説記事、きっとわかりやすいものになっていると思いますのでぜひ最後まで読んでいってください。そして間違えてる箇所があっても大目に見てやってください。文系なので。
それではやっていきましょう、呪術廻戦解説回です。
1.おさらい:鹿紫雲一の能力とは
詳しい解説に入る前に、まず本編184話『東京第2結界④』で言及された鹿紫雲一の能力についておさらいしていきましょう。
鹿紫雲は電気と同質の自らの呪力を電荷分離する。
打撃と共に対象にプラス電荷を移動させ、自身に蓄えたマイナス電荷を地面方向への放電をキャンセルしつつ対象へ誘導する。
この一撃は領域を展開するまでもなく必中の、大気を裂く稲妻である
引用:芥見下々『呪術廻戦』「週刊少年ジャンプ」24号,集英社
初見でこの説明を理解できた方、おめでとうございます。僕は数回読み返してやっと理屈を飲み込めました。あんたがノーベル賞。
さっと流し読みする程度なら「あ〜鹿紫雲の能力は電気系なのね」くらいの認識で大丈夫ですが、厳密に突き詰めていくと鹿紫雲の能力は単なる「電気を操る能力」ではないので、そこら辺を含めて解説していきます。頑張れ自分。
2.雷発生メカニズム①:上昇気流と雲の成長
鹿紫雲の能力を理解する上で、まず雷がどういうメカニズムで発生し、なぜ落雷が起きるのかについて理解する必要があります。
ここではその初期段階として「上昇気流の発生」と「雲の成長」を取り上げます。一つずつ見ていきましょう。
2-1.上昇気流
本当は雷の種類によってその性質やメカニズムは厳密には異なるのですが、ここでは一番馴染み深いであろう「熱雷」を例に考えていきましょう。
夏の夕立のほとんどが「熱雷」によるものです。太陽の強い日差しによって、地表は熱せられ上昇気流が発生し、大気は不安定になって積乱雲(入道雲)が発生します。熱雷はこの積乱雲によって発生します。
夏の暑い日、太陽からの日射によって地表面が熱せられます。
空気というのは暖められると体積が膨張し、密度が小さくなる性質があります。つまり同じ体積あたりの質量が周りと比べて小さくなるため、この「暖められた空気」というのは上昇していくわけです。
これが俗に「上昇気流」と呼ばれるものです。気球が空を飛ぶのもこれと同じ原理を使用しています。
2-2.雲の発生と成長
暖められて上昇した空気ですが、気温というのは基本的に高度が高くなるにつれて下がっていきます。
そして空気というのは、温度によって含むことができる水分量が決まっており、温度が下がると含むことができる水分量は下がっていきます。これが中学校の理科で習った「飽和水蒸気量」というやつです。
湿った空気(=水分を多く含む空気塊)は上昇に伴って周りの気温により温度が下がっていき、飽和する(=それ以上水分を含めなくなる)と空気に含まれていた水蒸気が水滴へと変化します。これが「凝結」であり、その時の温度を「露点温度」と呼びます。
(本当だと湿潤断熱減率やら乾燥断熱減率も説明すべきなんですが、日が暮れるので飛ばします)
こうして発生した水蒸気が集まった集合体が、私たちが普段目にする「雲」です。
そしてこの雲は、上昇気流によって下から新たな水分を供給され、どんどんと縦方向に大きく成長していくわけですね。これが「入道雲」とか「積乱雲」と呼ばれる大きな雲のことです。
3.雷発生メカニズム②:電荷分離と誘導
大きく発達した雲ですが、その中では氷の粒同士が激しくぶつかり合っています。
上昇気流は水蒸気を上へ上へと押し上げていきますが、どこまでも無限に上昇し続けるかというとそんなことはなく、「上昇気流による押し上げる力」と「水蒸気に対して働く重力」の力関係がいつか逆転し、水蒸気(この時点では水や氷の粒になってます)が落下を始めます。
雲の中を落下していく氷の粒は、上昇気流で昇ってくる氷の粒とぶつかり合い、ここで静電気が発生します(いわゆる「摩擦」です)。
ぶつかり合った氷の粒のうち、小さく軽い粒はプラスに帯電し雲の上へ、重く大きな粒はマイナスに帯電し雲の下に集まっていきます(ここの理由はマジでわかりませんでした。許してちょ)。
と思っていたらこの原理はまだ正確には解明されていないらしいです。
積乱雲内部の帯電メカニズムは厳密にはまだ解明されていませんが、最も有力な説はあられと氷晶の衝突により、あられと氷晶がそれぞれ異なる極性に帯電するというものです。
-10℃を境に、あられは負に、氷晶は正に帯電します。
軽い氷晶は上昇気流により上方に位置し、重いあられは下方に位置するため、雲内に正・負の電荷が溜まると考えられます。
引用:雷が発生する原理
さて、雲の下部にマイナスの電荷が大量に集まってくると、それに誘導される形で地表面にプラスの電荷が集まってきます。多分これが高校の物理で出てくる「静電誘導」です。違ったらすみません。
4.雷発生メカニズム③:落雷
大気は本来電気を通さない「絶縁体」です。そのままであれば雲の中にある電荷と地表面にある電荷は誘導されることないのですが、集まってきた電荷が形成するエネルギーがあまりに大きすぎると「絶縁破壊」を引き起こし、雲中の電荷と地表面の電荷が空気中に放電されます。
(ゴムは絶縁体なので電気を通さない、というのも一応正しいのですが、エネルギーがクソデカだと普通に絶縁破壊を引き起こします)
このうち雲と大地の間で発生するものを「落雷」と呼ぶわけです。
5.自分を「雲」、対象を「地面」に見立てる鹿紫雲の術式
さて、皆さんついてきてますか?(恐る恐る)
なんとかそれっぽく解説してきましたが、今回の記事の本題はなんちゃって科学講座ではなく、あくまで鹿紫雲一の術式解説です。漫画ブログなので。
ここでもう一度、鹿紫雲の術式についての説明を見てみましょう。
鹿紫雲は電気と同質の自らの呪力を電荷分離する。
打撃と共に対象にプラス電荷を移動させ、自身に蓄えたマイナス電荷を地面方向への放電をキャンセルしつつ対象へ誘導する。
この一撃は領域を展開するまでもなく必中の、大気を裂く稲妻である
引用:芥見下々『呪術廻戦』「週刊少年ジャンプ」24号,集英社
これまでの説明を踏まえてから見ると、なんとなく何を言っているのかわかってきませんか?
つまり鹿紫雲の術式とは、自分自身を「雲」に、対象を「地面」に見立て、その間に電撃を誘導する術式、ということになります。
この術式のミソは、単に電気を操る術式ではない、ということです。
電気を操る能力者というと(他作品の名前を出して恐縮ですが)『ヒロアカ』の上鳴や『ONE PIECE』のゴッド・エネル、『テラフォーマーズ』のアドルフ、『HUNTER×HUNTER』のキルアなどがいますが、彼らの能力は「自ら発電し雷を操る」ものです。
鹿紫雲の術式が彼らと異なるのは、彼の技が「相手に電撃を誘導する能力」というところです。
マイナスの電荷がプラスの電荷に引き寄せられるというのは、つまり自分が放つ電撃は相手目掛けて一直線に飛んでいくということであり、雷の速度が秒速数百キロから十万キロということを踏まえると、「回避不能」の一撃ということになります。
その対処法は現状では「鹿紫雲に触れられないこと」ただ一つなのですが、果たして鹿紫雲相手にその先方を取れる術師がほとんどいないだろうと考えると、現時点で鹿紫雲は最強格に位置する術師ということになります。
顔面の綺麗さだけじゃなくビビるくらい強い鹿紫雲の術式、少し難解ですがこの解説記事がその助けになれば幸いです。
それではまた。
よしなに。