ども、けろです。
突然ですが皆さんはどんな漫画キャラクターが好きですか。顔のいいキャラ、強いキャラ、能力が魅力的なキャラ等々、人によって様々だと思います。
僕も例に漏れず厨二病なので前述のような特徴を持ったキャラクターは軒並み大好きなんですが、それと並ぶくらい好きな特徴があります。
それは「自分の欠点・コンプレックスと向き合い、苦しみながらも成長していく」という精神的側面を覗かせるキャラクターです。もうね、最高に性癖に刺さるんですよこれが。ご飯おかわりできるくらいには好きです。そこに顔の良さとかが加わったらもう満漢全席です。
コンプレックスって、良くも悪くもその人を左右するものだと思うんですよ。必ずしも向き合う必要はないし、向き合うことを美徳とするのは違うと思いますが、それでも自分の欠点から真正面から向き合って足掻く姿は泥臭くてカッコいいし、何より等身大の人間臭さがあります。「あぁ、このキャラクターは決して完璧じゃなくて、僕らと同じ側面があるんだ」と思えるので、感情移入度合いが段違いになるんですよ。
そういうわけで僕の中で『推しの子』のメルト君株が急上昇中なわけです。まじで良い。
というわけで(?)やっていきましょう、推しの子感想回です。
1.チャラついていた過去
「中学校に入学して、ソッコー3年の先輩に食われた。
自分はモテるんだとそこで分かった」
メルト君!?
いやまぁメルトのツラが良いのはずいぶん前から知っていたけど、そんな過去があったんか……。
これ、表面的に見れば「イケメンうらやま案件」なんですが、彼の過去を見ていくとそう思えないんですよね。むしろこの一件が、今日に至るまでのメルトという人間の性格を作り上げる原因になってしまったんじゃないかなと。
「面白い奴をテキトーにいじれば笑いが取れて、イジってる自分が面白いんだと思ってて。
テキトーにやってても、大体の事がなんか上手く行って。
周りがなんか期待してるし、金無いし、バイトはダルいし。
……まぁテキトーにやりゃいいだろ」
これがメルトという人間が抱えていた感情なんですよね。必死に努力しなくても、汗水流して何かに打ち込まなくても、なんとなく自分の人生は好転していると思っていたから、「何かに真剣に取り組む」という体験が欠如していたんですよ。でもこれはメルトが悪いというよりも、彼のことを表面的にしか理解していなかった周りが悪いんじゃないかと思うんです。
その最たる例が、当時中1だった彼とセックスした中3の先輩なんじゃないでしょうか。彼女は別にメルトのことが好きだったわけでも、彼と特別な関係になりたかったわけでもなく、ただ「メルトの顔が良かったから」というそれだけの理由で彼と関係を持ったわけで、そこに「メルトという個人・個性」は全く介在しないんですよ。これを「メルトじゃない別のイケメン」に置き換えても成立してしまう、「その人である必要性」の欠如。
「なんとなく生きているだけで周りから認められる」というのは、要するにそういうことじゃないかと思うんです。
2.己と向き合う苦しさ
だから今のメルトはめちゃくちゃ苦しんでいるんですよ。
「分かってる。俺がヘタクソなのは分かってる。
あの演技を見た時から、周りが俺のレベルに合わせて演技してた事も、それで作品を台無しにしてた事も」
今メルトが苦しんでいるのは、彼に与えられた「キザミ」という役が、「彼である必要性」を求めているから。より正確には、メルト自身がそのことに気づいたから、でしょうか。
自分が過去に取った軽率な行動が多くの人に迷惑をかけ、振り回し、そして何より多くのファンを落胆させていたことに気づき、「俺が最初から本気で臨んでたら、この作品はもっと良いものに……」と涙を流すメルトは、「ヘタクソな自分」と向き合って稽古に励み続けました。それってめちゃくちゃにしんどいことだと思うんですよ。毎日毎日自分自身を否定される感覚を味わいながら、それでも必死にしがみつき、少しでも報いようと懸命に努力し続けることがどれだけしんどいのか、その全てを理解することはできないまでも共感することはできます。
そんなメルトを見ていた重曹ちゃんが「ふーん?」と目を輝かせているのがマジで良すぎました。あぁ、ちゃんとメルトの努力を近くで見ている人がいるんだな、というのが伝わってきて最高でしたね。
3."役者に向かない者"からの助言
ただ、それでも僅かな稽古期間で舞台役者と張り合えるように成長できるかと言われたら現実はそこまで甘いわけでもなく、観客は「「キザミ」の人、ちょっとさ…」と彼の力量不足さに気づいていました。
芝居をする以上、観客は出された完成品だけを見るわけで、そこに役者の事情は関係ありません。彼がどれだけ努力をしてきたかとか、どんな過去と向き合ってきたかとか、言ってしまえば「知らんがな」案件なわけです。神視点で作品を読んでいる読者からしてみればそれがまた歯痒いわけですが……。
そんなメルトに、アクアは「良いんじゃねぇの。ヘタだと思われても」と斜め上からのアドバイスをしていました。
なんというか、めちゃくちゃアクアっぽいアドバイスだし、アクアにしかできない口添えだと思いました。アクア自身、役者として一流というわけではなく、自分自身を「役者の才能がない」と評していました。そんなアクアは役者として戦う際に、「自分のできること」をきちんと理解していました。照明の位置や演出の意図、台詞や脚本の展開等から「求められている演技」を逆算し、自身の演技を補う形でそれらを巧みに利用するという手法は、「演技に向いていないアクア」だからたどり着けたわけです。
そのアドバイスを受けたメルトは、演技力の底上げではなく、アクションに時間を注ぎ、結果として大立ち回りの殺陣を披露して観客を熱狂させます。
「完全に下手だとナメてた役者が、いきなりめちゃくちゃ凄い事始めたら激アツだろ」
いや激アツ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
こういう形でメルト覚醒回を描くの、マジで最高でした。ここで演技力を向上させたメルトを描くのではなく、「今のメルトにできること」で周りを見返す展開、ちょっとうますぎんか〜〜〜〜〜〜〜???????
今回のエピソードで一気にメルト君が好きになりました。僕の推しの子はお前だ。まぁあかねちゃん最推しなのでお前は二番目だが。
このメルトの活躍を見て、原作のアビ子先生がどんな反応を見せるのか、次回で描かれのがめちゃくちゃ気になりますね。
それではこの辺で。また次回。
よしなに。