けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第55話『開幕』|想いが入り乱れる舞台の幕が上がる……!【推しの子】

Hatena

 ども、けろです。

 最近の『推しの子』がマジで面白いです。「2.5次元舞台編」なので本番はこれからなんですが、その舞台に向けて各キャラ達の心情描写や想いが描かれるのが本当に好きで、「僕らが普段見ている舞台や映画の役者達も、裏ではこういう思いを抱えているのかな」という空想ができるのが良いです。フィクションだけどフィクションじゃない、という感じがあるのがこの作品の魅力の一つですね。

 

 というわけでやっていきましょう、推しの子感想回です。

 

f:id:kero_0441:20210909165459j:plain

 

1.アビ子先生×GOAのカップリング展開ある!?

 

 会場の前でパンフ持って緊張しているアビ子先生、めちゃくちゃかわいい。

 そりゃ自分が監修した脚本の舞台初日なんですから緊張しますよね。

 

「自信満々で出したものがボツ食らう経験先生にもあるでしょ?」

 

 この悲壮感がアビ子先生っぽくて好きです。5000万部売り上げる売れっ子漫画家といえど編集からボツ出されることあるんだなぁとか、ボツ食らうのはやっぱりしんどいんだなぁとか色々考えてしまいます。

 

 でもその後のGOAさんとのやりとりがすごく良かったです(語彙力)

 

アビ子「もし自分の作ったものが、世界で自分だけしか面白いと思わないものだったら……そう思うと…」

GOA「大丈夫ですよ。僕もあの脚本の出来には満足しています。だとしたら、この世界に最低でもお二人は面白いと思ってる人が居る事になりますよね?」

 

 この声の掛け方、めちゃくちゃアビ子先生の心情に寄り添っているというか、単なる外野目線での慰めになっていないのが本当に読んでいてスッと心に残りました。

 やっぱり誰しもが自分の作ったものを「面白い」と認めてもらいたいわけで、評価が出るその瞬間までは不安感があるものです。しかもアビ子先生は、これまでの描写を見る限り内向的で自分を閉ざしがちで、その創作活動も「自分自身が命を削って生み出す」という孤高な雰囲気がありました。

 そこに今回はGOAさんという脚本家が仲間として加わり、二人三脚で脚本を仕上げた。いわば「誰かと一緒に作品を作った」という体験をしたわけで、その共同作業者から「僕も面白いと思った」と言ってもらえるのはめちゃくちゃ嬉しいし、変に宥められるよりよっぽど響きます。

 

 

 しかもここで照れて顔赤くしてるアビ子先生がマッッジで可愛い。漫画に没頭するあまり男子の免疫がないのがピュアで推せますね。その上GOAさんはそんなこと気にしてないといった様子で話を進めてくれるので、個人的にこの二人がこれから仲良くなってほしいなぁと勝手に親目線になっています。しみじみ。

 

2.メルト覚醒フラグ立ったよね?

 

GOA「この舞台の成功は役者の皆様に懸かってる。でも皆さんは実力ある方々なので……良い舞台になると信じてますよ」

吉祥寺(実力ね…全員が全員じゃないとは思うけど)

 

 これもうメルトくん覚醒するしかないよね??????

 

 先輩役者からは「お前が作品の質落としてる」と馬鹿にされ、過去に出演したドラマの原作者からこんな風に思われてるメルトくん、お前ここで見返さなかったらいつ見返すんだ?????という思いになりました。

 

 個人的にこういうキャラクターめちゃくちゃ好きなんですよ……。

 「以前は生半可な気持ちでやっていたけれど、ある時をきっかけに熱意を抱くようになり、周りを見返すために努力を重ねる」というキャラクターの歩みが、そのまま物語でのカタルシスに繋がるし、感情移入してしまうので。他作品で言うと『アイシールド21』の桜庭とかがそれにあたりますね。

 

 第53話の冒頭でもメルトは過去の自分の演技を見返し、「ひでえ演技……」と呟いています。自分自身の黒歴史的な過去ときちんと向き合い、その上でそれを乗り越えようとする姿勢、マジでこの舞台編で報われてほしいです。というかこの一連の描写がメルト覚醒フラグだと信じてます。

 

3.身内組の反応が各々めちゃくちゃ好き!

 

 舞台初日ということもあって、アクアの知人達が集結。以前恋愛リアリティショーで共演した面々や妹ルビー、お世話になった監督などなど。

 

 ルビーを見て「やっぱ遺伝子強えな」「親の顔見てみたい」と反応してるMEMちょ達がいいですね。「ルビー達の親の顔、絶対見たことあるよ」って意地悪したくなります。

 監督は監督でアクアとあかねちゃんに感情演技を教えたということもあり、その成果を成果を観にきているといった感じでしょうか。でもその独白は「早熟(=アクア)の心的外傷については根本的な解決はできていない」と不穏さを漂わせています。

 ただ、その上で「あれだけ演技にマジになるアクアを見るのはいつぶりだろうな。まぁなんとかするんだろ?お前だって一端の役者なんだから」と頬を緩ませているのは彼なりの信頼があってのことなんでしょう。長いことアクアのことをそばで見てきた一人なわけですから。

 

4.重曹ちゃんvsあかねちゃんの構図かっこよすぎひん?

 

 メイクを済ませ、衣装に着替えた有馬かなとあかねちゃんの対峙、まじでかっこよくてビビりました。

 やっぱり有馬かなはあかねちゃんのことを割とがっつり意識していて、「ここでアンタに勝って」とライバル心剥き出しにしています。

 あかねちゃんもめちゃくちゃ澄んだ表情で「私もかなちゃんと演るの楽しみにしてたよ」と微笑を浮かべていて、この二人の表情の差が対極的でいいですね。火花を散らす有馬かなと、あくまで冷静に炎を燃やすあかねちゃんという対比が、二人の人物像と演技に対するスタンスの違いを表しているようでした。

 

5.PTSDすら利用するアクアがガチで心配なんだが

 

 おいおいアクア大丈夫か???アイのこと思い出して「アイの顔を見るだけでパニック症状が出そうになる」とガチで苦しそうにしつつ、「だけどそれで良い」「これで良い」と結んでいるのがまじで不安になります。

 PTSDを、過去の傷を、乗り越えるのではなく自分自身の演技のために利用してやるというのがアクアという人間を体現しています。彼は演技のために利用できるものはなんでも利用するという主義を持っている人間なので、そこに自分のトラウマすら組み込むのか、と。

 

 恐らくこれがアクアが感情演技をモノにするトリガーになるとは思うんですが、トラウマをこんな形で消費してアクア本人は大丈夫なんでしょうか。舞台が終わった後、アクアが変わってしまうような気がして心配になります。

 

 

 何はともあれ舞台の幕が上がり、アオリにもあるように遂に各々の戦いが始まります。

 いよいよ始まる2.5次元舞台。それぞれがどう戦い、どう乗り越え、どう決着するのか、今から本当に楽しみです。

 

 

 次回は二週間後。楽しみに待ちましょう。

 

 

 それではまた。

 

 

 よしなに。