ども、けろです。
恐らく記事タイトルをご覧になった方はこう思ったことでしょう、「おいおい最新話は46話だぞ」と。ええ全くもってその通りでございます。最新話は第46話、45話は一週前のお話です。
普段ならここで「ほんじゃまぁ先週の分は置いておいて最新話やりましょう」というところですが、ちょっとこの話だけは一週遅れでもきちんと振り返っておきたかったわけです。
というわけで一週遅れですがやっていきましょう、怪獣8号感想回です。
1.怪獣9号との対峙、再びの全身変身へ
前回の超絶激アツ展開から引き続き、キコルは己が武器を携えて怪獣9号へ突撃。いや改めて振り返ると前回はほんまに最高の神回でしたね……「私が一番強くなって、ママの代わりにみんなを助けるから」はこれから先何度読み返しても鳥肌案件ですよ。
足場を取られたキコルを助ける形で突っ込んだカフカのサポートを受け、キコルは「達磨落」という技で怪獣9号の全身をぶった斬り。いやこんなにカッコいいだるま落としは初めて見ますよ。
これはもちろんカフカとキコルが立てた推論である、「怪獣9号によってカフカの変身が阻害されている」に基づいた行動です。怪獣9号の気を逸らすことでカフカが変身する猶予を獲得し、その隙にカフカの変身により蹴散らす、というもの。
ただ、推論はあくまで推論に過ぎず、変身を試みたカフカは内在意識の中で怪獣に飲み込まれ、自らの手で仲間を惨殺する映像を見てしまいます。
もちろんこれはただのイメージ映像でしかありませんが、これによりカフカの変身は再び失敗に終わります。
ここで初めてカフカが変身できなくなった理由が明らかになります。
「これはーー…怖れ
怪獣に取り込まれちまうこと。仲間を殺しちまうことへの、俺自身の怖れーー…」
自らの中に宿る力の暴走後、それがきっかけで満足に戦えなくなるというのはこの手のストーリーにはよくあることです。言わば王道展開と言えます。
カフカは以前完全変身状態で暴走し、キコルの父親を殺しかけています。結果的には自分の意思で戻ってくることに成功したものの、その時の記憶がカフカの中にしっかり残っているのでしょう。「自分の手で、仲間を殺しかけた」という、忘れようにも忘れれない悪夢が。
自分が完全変身したのち、再び暴走したら今度はどうなるのだろう。前回は寸前で戻ってこれたが、もし完全に飲み込まれてしまったら、今度は本当にキコル達を殺してしまうかもしれない。
悪い想像というのは非常に厄介で、一度脳裏によぎってしまったが最後、どうあっても拭い去ることができません。「一つの可能性」として去来したその想像は、これから先どれだけ訓練を重ねたとしても思考の片隅に残り、常に選択を邪魔してきます。
「俺自身の怖れーー」と独白するカフカの表情を見てみるとそれは顕著で、憔悴の中に震えと"気づき"が混じったような表情をしています。ということはやはり、カフカの中にはもう「宿ってしまった」んですよ。「自分の力に飲み込まれて仲間を殺す」という最悪な未来が、一つの可能性として。
2.「私を舐めるな」の意味
そんなカフカに、そばに立つキコルがかけた言葉。
普通なら、というよりも従来の王道少年漫画の切り口ならば、ここは「主人公の不安を払拭する」というのが定石です。もっと詳細に言うならば、「主人公を鼓舞し、不安の種を取り除く」ために行動する、でしょうか。
そして、往々にしてその際にかけられる言葉は「お前なら大丈夫」という、"主人公自身の性格に寄り添った言葉"であることが多い気がします。もちろんそれが間違い、というつもりはありません。自暴自棄になったり絶望的になった精神状態の人間に、それでもお前は大丈夫と言葉を投げるのは、それだけで力になることがあるからです。僕自身そういう展開は大好きですし。
でも、キコルがかけた言葉は「私を舐めるな」「亜白隊長を、保科副隊長を、レノや同期のみんなを、何よりあんた自身を!!防衛隊を舐めるな!!」というものでした。
これが既存の少年漫画的構文と照らし合わせた時に決定的に異なるのは、これが"主人公の性格や能力に関係のない要素に依る励まし"であった点です。
どういうことかというと、「私たちを舐めるな」という発言に含まれているのは、「お前が暴走しても私たちが殺されるわけがないだろう」という意図です。
僕がこのセリフを死ぬほど好きな理由は、その矢印の方向性にあります。
確かに「お前なら大丈夫」という励ましも、ともすれば落ち込んだ人を立ち直らせることができるかもしれません。ただし、それでもその当人が抱いた「もしかしたら…」という負の思いは残ってしまいます。何せそれはその人の感情に起因するものなので、一度「もしかしたら…」という思いを抱いた人間の精神面をどれだけ鼓舞しても根っこは変わらないからです。
でもキコルのセリフはそれらに依存しない。
「お前なら大丈夫」という根拠のない(少なくとも今のカフカはそれを真正面から信じられる精神状態にない)言葉よりも、「お前がこれまで関わってきた人は、お前に殺されるほど弱くない」という言葉の方が何倍も何十倍も説得力がある気がします。
だってそれは、カフカ自身がどう思ったとしても絶対に揺らぐことのない「他者」だから。
僕はまじでこのセリフに震えました。あまりにもカッコいいしあまりにも王道少年漫画すぎる。
結果的にカフカは立ち上がり、決意を胸に完全変身を成功させます。ここまでの20数ページ、あまりにも美しすぎませんか。主人公達ピンチ→絶望→ヒロインによる鼓舞→再起までをここまで綺麗に描かれたらそりゃ大興奮ですよ。好きすぎる。
これを書きたくて書きたくて、一週間遅れながら記事にしています。怪獣8号にはこれまでにも神回がいくつもありましたが、今回もまごうことなき神回でしょう。仮にアニメになったとしたら最高の回になること間違いなしですよ。
というわけで書きたいことを書き切りました。
実はこれを書いているのは深夜1時で、既に死ぬほど眠いので終わりにします。
恐らく(やる気が消えていなければ)今日中にもう一本、怪獣8号最新話感想記事が上がると思いますのでそちらもぜひ。
それではまた。
よしなに。