ども、けろです。
既視感、という言葉があります。デジャヴとも言いますが、これは「以前どこかで見たことあるなぁ」という時に用いられる言葉です。初めて訪れる場所なのになぜか懐かしく感じたり、初めて見る作品なのにどことなく別の作家の雰囲気に似ていたり。
これはもちろん悪い意味、批判的側面を持って用いられることもあるんですが、『怪獣8号』に関しては完全に真逆、全肯定の意味を持って用いたいと思います。
もちろんこの表現が苦手というか、その感想はちょっと違うなぁと思われるかもしれませんが、感想は十人十色だと思っているので、暖かく見守ってください。
というわけでやっていきましょう、怪獣8号感想回です。
1.暴走鎮圧、からの第1部隊隊長の登場
暴走を鎮め、気を失ったカフカにデッケー武器を向ける新キャラ。一体どんなキャラだろうと思っていたらマスクを取ってびっくり、めちゃくちゃに顔が良い。
名前も「鳴海弦」というシンプルかつかっこいいネーミングだし、何よりキャラデザから漂う「強キャラ感」がすごい。あ、こいつ絶対強いじゃんっていうのが一目でわかるデザイン。
ちょっと気だるそうな目に、上司である長官に対して皮肉っぽい言い方をできる豪胆さ。極め付けは「01」と刻印されたデッケー武器。
多分ですけど、これ識別怪獣から作られた特殊武器ですよね。
四ノ宮長官が身につけている手甲も、肩口に「02」の数字が刻印されている(し、その上その武器は元々"怪獣2号"だったということが分かっている)ので、識別怪獣が兵器化される場合はその数字が武器にも刻まれるんだろうなと。
そう考えるとこの鳴海弦、どう考えても絶対強いじゃん。識別怪獣は現時点で10体、その内8号であるカフカは存命だし、討伐できていない9号は除外。2号の分は長官が身につけているし、後の会議の場で6号は適合者ナシと言われているので、この時点で「識別怪獣由来の兵装」を使役できる隊長格は最大でも6人しかいないんですよ。
そのうちの1人であり、「第1部隊」のトップって、もう強キャラでなかった広告詐欺として訴えていいレベルですよ。
僕は今まで『怪獣8号』を読んでいく中で、「このキャラが推し!」というのはあんまりなかったんですが、今週号で推しキャラが決まりました。鳴海弦です。まだ1コマしか顔が写ってないじゃんとかいうマジレスはやめてください。
というか「6号は適合者がいない」って絶対今後の伏線ですよね。知ってますよ僕は。
2.真っ二つに割れるトップの意向
新キャラの登場に続いて、真っ二つに割れる組織上層部の会議という展開。
しかも組織トップのおっさんは主人公側で、それ以外のメンバーがその危険性を理由に反対という構図。
四ノ宮長官の判断は、一見すると感情に由来してそうなんですが、かなりロジカルなんですよね。もちろん「日比野カフカという男を殺したくない」という思いを前提にしつつも、それでも「国の防衛のために使える戦力は最大効率で使う」というのはめちゃくちゃ理にかなっています。
こういう時にロジカルに考えて判断を下せる上司、組織にいてほしいですよね。
というかこの会議の場面もどこかで見たことがある気がするんですよ。特に「暴走した主人公の処遇を巡って意見が割れる」という構図も、議論が平行線のまま終了してしまうところも、圧倒的既視感。でも圧倒的に面白い。
3.主人公に下される妥協点
そしてカフカに下された結論は、「生き残るためにお前の有用性を示せ」という、これまた圧倒的既視感。あるあるすぎますよ、「危険な力を持つ主人公を生かす理由として、戦力としての有用性を挙げる」という展開。でもなんでこんなに面白いんだ。皮肉抜きでガチですごいよ本当に。
しかもそれに対するカフカの返事もどこまでも真っ直ぐなんですよね。
「俺は今でも自分を防衛隊員だと思ってます。絶対に防衛隊員としても認めさせます」って、目覚めてすぐ言えることじゃないですよ普通。
4.暗躍する影
主人公サイドで物語が動く一方、人知れず動く敵の影ーーー。
いや見たことある〜〜〜〜〜!!!暗躍する敵が再度主人公達の前に立ちはだかる展開〜〜〜〜〜!!!!(垂涎)
ここまで全シーン、圧倒的既視感というか、「あれ、この展開どこかで見たことある気がする」の連続なんですよ。
でもそのせいでつまらなくなるなんてことはなくて、むしろだからこそ圧倒的に面白いんですよ。
「オラオラ、お前らこういう展開が好物なんだろ?」って言いながら顔面に王道展開を擦り付けられているのが最高です。
ここにきて再度始動する怪獣9号。
これどう考えても再び防衛隊襲撃→味方の誰かしらがピンチに→カフカ助ける→認められる、の流れじゃないですか。見えましたよ僕は。見えてしまいましたよ。
でも面白いんだろうな……だからこそ面白いんだろうな……最高だよ『怪獣8号』……
編集と作者の手のひらの上でフラメンコダンスを踊らされているような気分ですが、この感覚が最高に気持ちいいので今後も一生踊らされていただきたいです。
次回から更新が隔週になるとのことなので、このブログで取り上げる頻度も減ってしまいますが、一番大事なのは作者さんの健康なので、僕たち読者は粛々と待ち続けます。
というわけでまた次回。
よしなに。