けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第44話_もう二度と、嘘を吐かないために【怪獣8号】

Hatena

 ども、けろです。

 熱量でぶっ放し続けてはや40話、未だその熱量と面白さが衰えることを知らない怪獣8号の最近の展開、例に漏れず最高にアツいです。

 第3部隊の隊員のそれぞれが各部隊に散らばり、カフカはその処分が一時保留の身に。

 そんな中怪獣の襲撃と怪獣9号との再会。まじでここから更に物語のボルテージが上がるのかと思うと今から震えが止まりません。

 

 というわけでやっていきましょう、怪獣8号感想回です。

 

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1.キコル&カフカの共闘

 

 物語の序盤で険悪な雰囲気だった二人が紆余曲折を経て共闘する展開、まじで最高に好きです。カレーと一緒に食べる半熟卵と同じくらい好き。

 

 しかもその光景をおじさん世代達が見守っているっていうのもいいですね。長官が口にする「これは次世代が乗り越えなくてはならない試練だ」というのがそれを感じさせます。「試練」と口にしつつもいざというときは出撃しようと前のめりになっているのがパパ感拭えてなくて好き。

 

 怪獣8号への変身がうまくいかないカフカを戦線から退けるのではなく、怪獣9号を倒すために必要な戦力の一つとカウントした上で「悔しいけど奴を倒すにはあんたの力が要るわ」と語気を強めるキコル、まじで成長したなぁ。カフカの力を認めて、怪獣を倒すために作戦を構築するのは初期のキコルにはなかった要素です。

 

 怪獣9号の予測不能の動きに翻弄され、その一撃を腹に受けてしまうキコル。

 

 キ、キコル〜〜〜〜〜〜!とカフカとおんなじ反応をしてしまったんですが、心身ともに成長したキコルはこれまでみたいに伏したりしません。

 

 

 腹に大穴を開けられた状態で敵に突っ込んで斧で両断。

 

 

 えっ?

 

 いや、あの。

 

 それもう完全にバーサーカーの戦い方じゃないですか。

 己の傷を顧みずに敵に突っ込んでぶった斬るの、完全にBLEACHの更木剣八なんですよ。正気か?

 

 しかもそれを見て「ほう!ここまで腕を上げていたとはな」と冷静に評価してるおっさん、お前も正気か?目の前で女の子の腹に大穴開いてるんやぞ!!!!おい!!!

 

 いやまじでキコルの強靭さとバーサーカーっぷり、シンプルに最高ですね。こういうヒロインを待ってた。

 

2.明かされるキコルの母・ナンバーズ使い

 

「今度こそ、私が助ける」

 

 意味深な独白とともにキコルの過去回想へ。

 

 そこで描かれたのは「四ノ宮ヒカリ・第2部隊隊長」という、現在は死んだとされているキコルの母の名前。

 しかもこのヒカリ隊長、夫でありキコルの父親である四ノ宮功同様、ナンバーズの適合者とかいうぶっ壊れっぷり。白いスーツがまじでかっちょいい……。

 

 同じく隊長である亜白ミナや鳴海弦のスーツは他の隊員と同じなので、このスーツそのものがナンバーズということでしょうか。それとも彼女の背後に描かれている棒状(槍?)とセットでナンバーズ、と考えればいいんですかね。

 

 ナンバーズとは識別怪獣の素材から作られた特別な兵器の総称で、夫婦揃ってこのナンバーズに適合しているって、もう完全にキコルも将来的にナンバーズに適合する伏線が張られていると考えてしまいます。

 

 しかもこの母親、仕事ばかりで娘を蔑ろにするようなよくある不器用ママではなく、家に帰ってきたらちゃんとキコルにかまってあげる聖人さまで兼ね備えています。

 

 任務で怪我をして帰ってきた母親を見て、キコルは「私が防衛隊に入ってママを助けてあげる」と約束します。幼い娘からの暖かな言葉で頬が緩んだヒカリは「それじゃあキコルがピンチの時はママが助けてあげるね!」と返答。まじで親子愛が純粋すぎて眩しい……

 

3.自分に向けた「嘘つき」

 

 そんな母親も、怪獣6号による群発災害により殉職。これが父・功の人格を冷酷に変えてしまったんだという答え合わせができて僕はなるほどなという感じだったんですが、母の葬儀に参列したキコルの言葉が本当に印象的でした。

 

「ウソつき……

 私のウソつき…!!」

 

 これ、普通矢印の向かう方向は自分ではなく母親なんですよ。少なくとも従来の少年漫画的構文に照らし合わせて考えれば、「幼い自分を一人置いて逝ってしまった母親」に対して何かしらのネガティブな感情を持ち合わせてもおかしくありません。それこそ『ヒロアカ』に登場する少年・洸汰君なんかは、自分を残して敵に立ち向かい殉職してしまった両親に対して複雑な感情を抱いており、それをきっかけにヒーロー嫌いになったという背景があります。

 

 というか幼い子供からすれば、「母親が突然いなくなってしまった」という事実に対して、「自分」を勘定に含んだりしないんですよ。「母親がいなくなったのは怪獣のせい」「共に戦っていた隊員達は何をしていた」「自分のことだけを見て欲しかった」というように、如何様にも他者を恨むことができたはずです。

 

 

 でもキコルは、「ウソつき」という怒りを他の誰でもない「自分自身」に向けている。

 これめちゃくちゃカッコいいし強いし優しいんですよ。母親は頬を緩ませるだけだった「私がママを助ける」、少なくともキコルにとっては「心からの本音」だったんですね。こんなに小さな女の子が、「自分のせいで母親を守れなかった」と涙を流すの、本当に本当に強い。

 

 

 だから最後のページでのキコルの独白がまじで鳥肌モノなんですよ、ガチで。

 

「ママごめん。ママのことは助けられなかったけど、その代わり私が一番強くなって、ママの代わりにみんなを助けるから!!」

 

 か、かっけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

 

 もうキコルなんて呼び捨てできないですよ。敬意と畏怖を込めてキコルさんと呼ばせていただきたい。

 幼いながらに決意したキコルが、その後どんな歩みを経て今に至るのかは、これまでの物語を読んでいれば知ることができるんですが、いやほんとどんなメンタルしてるんだよ……普通その歳の女の子だったら(というか誰でも)限られた時間を青春に溶かしてるんだよ……自分の人生における最も眩しくかけがえのない時間を、「みんなを助ける」という思いを実現するために戦場を駆ける。こんなんもうヒロイン通り越して主人公です。

 

 

 というわけでこれからの怪獣8号の物語は四ノ宮キコルが主人公、ヒロインは市川レノということでお送りしていきます。嘘です。

 

 

 それではまた

 

 

 よしなに。