ども……けろです……
少年漫画のセオリーの一つに、「悪そうに見えるあのキャラにも、実は感情移入できる背景があって…」という過去回挿入イベントがあります。
これにより読者は主人公と敵キャラの双方に感情移入することができ、主人公を正義、敵キャラを悪とする二項対立に囚われない様々な視点で物語を読むことができます。特に敵キャラの背景が重かったり、相応に感情移入できる過去があったりした場合は、主人公以上に人気を獲得したりすることも往々にしてあります。
『呪術廻戦』第151話はまさにそれを体現した回でした。というか普通に演出が良すぎて泣けました。
前回「人の心とかないんか?」と特大ブーメランをぶん投げた人の心ないマンこと禪院直哉。彼と禪院真希の対決の行方はどうなったのでしょうか。
というわけでやっていきましょう……呪術廻戦感想回です。
1.ショタ直哉が純真すぎて無理
「俺は天才なんやって」
「父ちゃんの次の次の当主は俺やって」
「禪院家には落ちこぼれがいるんやって」
「どんなショボくれた人なんやろ」
か、かわいい〜〜〜〜〜〜!!!
なんだお前そのキラッキラした目は。
そしてそのキラキラさと純真さにそぐわないナチュラル見下しマインドはなんなんだ。
ここの描写、個人的にめちゃくちゃグッときました。
というのも、直哉が27歳であり、先代当主の直毘人が71歳だったことを踏まえると、彼は直毘人が44歳の時に生まれた子供ということになります。
44歳というとかなり高齢ですね。
そんな高齢の時に生まれた直哉が「次の当主」と言われていること、彼には兄がいるが直哉曰く「ポンコツ」だということ。
これらの情報を合わせていくと、直哉というキャラクターの人物像は「現当主が長年待ち望んだ相伝の術式を継いだ末っ子(推定)であり、幼少の頃より周囲から期待の目を向けられていた子」ということになります。
いやそりゃチヤホヤされるし自尊心も大きくなりますよ。
彼がああいう性格になってしまったの、どう考えても環境要因が大きいじゃないですか。直也もまた、旧態依然とした価値観の犠牲者じゃないですか。
2.現直哉の甚爾ラブが尊すぎて無理
そんなショタ直哉が目にしたのは、「男のくせに」「呪力が1ミリもない」「ショボくれて惨めな顔」をしていると思っていた男・禪院甚爾でした。
ここで目を見開いて驚愕していることから、直哉は一目で甚爾がヤバいやつだと見抜いたのでしょう。これが直哉にとって「強さ」の指針を改めるブレイクスルーになってそうです。
場面は変わって直哉vs真希。
「オマエは!! 甚爾君やない!!」
「雑魚の罪は強さを知らんこと。誰も甚爾君を理解してへんかった」
「多分、悟君を除いて」
いやラブがすんげぇ。
確かに以前から直哉は甚壱に対して「顔がアカンわ。甚爾君と逆やったらよかったのにな」と言ったり「よくあれで甚爾君のことやいやい言えたもんやわ」と得物を扱う兄たちのことを蔑んでいたので、それらの描写からも彼が甚爾に対して一目置いていたことは窺えました。
いやそれでもここまで甚爾に対して憧れと尊敬の眼差しを向けていたとは思わないじゃないですか。
しかも「雑魚の罪は強さを知らんこと」と言いながらも、そんな甚爾の強さを理解していた人の中に「自分自身」を含めていないのも、過去の自分への戒めを感じます。
甚爾が家を出た時、直哉は何を思ったのか。
人の愛を知って丸くなった甚爾を見た時、何を感じたのか。
そして何より、その強さを真に理解できる唯一の男・五条悟に殺されたと知った時、どんな表情を浮かべたのか。
これまでは徹底して軽薄で論外の男として描かれていた禪院直哉。読者人気の大部分も「圧倒的に良い顔面から繰り出される圧倒的にカスな発言」という点に依拠していたので、それがここにきてめちゃくちゃ人間臭い側面を深掘りしてきたなと。
加えて甚爾と五条を指して「アッチ側に立つんは俺や」と言うのもめちゃくちゃ良いですね。
これが「俺はアッチ側の人間や」という目線ではなく、「これからアッチ側に立つ」という視点なのが、彼は彼なりにしっかりと自他の実力を推し量れるのだということが伝わってきます。決して過小評価も過大評価もせず、ただ粛々と、目の前にいる人物の力を評価できる人物。
術式と家柄がモノを言う呪術界にあって、この真っ直ぐさはある意味貴重です。腐った側面やねじ曲がった性格のせいで穿った見方をされがちですが、彼は紛れもなく「一流の術師」であり、「かつて憧れた人の強さに追いつこうと努力する人物」だということです。
何それ主人公じゃん………
3.投射呪法めちゃくちゃ強くない?
そんな直哉と真希の対決、正直めちゃくちゃ白熱していたしかなり熱い戦いでした。
やっぱり動きのあるバトルは最高ですね。
というか投射呪法、そんな使い方もできたんですね。
今まではあくまで「1秒を24分割した動きを作る」「そのおかげで無駄のない高速移動ができる」といった能力だと思っていましたが、連続して術式を発動することで物理法則を無視せずに速度を高めることも可能なようです。
亜音速で移動できる上、触れた相手を半強制的に1秒間拘束できる術式、普通に強すぎますよ。そりゃ相伝にもなるし、これをブラッシュアップさせた直毘人は当主にもなれますよ。残念だったね扇おじちゃん。
4.直哉君退場しないで
そんな亜音速のトップスピードに乗った状態で天与呪縛の真希の左ストレートのカウンターを顔面に食らってしまった直哉。
取り柄の顔がグズグズじゃん、というツッコミはさておき、ここで退場させるにはあまりに勿体ないです。甚爾とどういうやりとりがあったのかとか、もっと深掘りしてほしいし、なんなら何かの間違いで虎杖達と共闘してほしいです(彼の場合照れ隠しとかじゃなくてガチで利害の一致だけで)。
呪力で肉体を強化しているし、甚爾のパンチを複数発食らった猪野さんが無事だったので直哉を死んだと決めつけるのは早計な気もしています。
あとは僕個人が直哉大好きなので退場してほしくないというのもあります。というよりそれが9割です。
もうちょっとだけ憎まれ口を叩いてくれ〜〜〜頼む〜〜
と、ここまで書いていて気づいたんですが、そういえばこの回は真希さんがかっこいい回でしたね。忘れてました。
というわけでまた次回。
そろそろ死滅回游が始まるんでしょうか。それとも秤登場イベントがあるんでしょうか。いずれにせよ楽しみです。
それではまた。
よしなに。