けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】禪院直哉の術師としてのスタンス【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 本誌の方で人気爆上げ中の脹相ですが、個人的には直哉も同じくらい好きです。

 登場してからわずか数話で様々な属性が付与され、多くの読者の琴線を刺激した直哉くん。

 

 個人的には彼のスタンスというのがめちゃくちゃしっかりしていて、確かに彼はれっきとしたクソ野郎なんですが、そんな劇的クソ野郎だけどこれまでのキャラクターと綺麗な対比関係になっているなと思ったので、それを今回は取り上げます。

 

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1.直哉と脹相〜兄に対する価値観の違い〜

 

 まずはこれですね。既に今週号の感想記事で述べましたが、鮮やかすぎる対比に息が漏れました。どちらかというと脹相の名言を際立たせるための発言でしたが、その対比から炙り出される直哉のクソさというのがまた良いですね。

 

 脹相:デキが良かろうと悪かろうと兄は弟の手本なんだ。兄が道を誤ったなら弟はその道を避ければいい。兄が正道を歩んだのなら弟は後をついてくればいい。俺には手本がない。何度も何度も間違える。それでも弟の前を歩き続けなければならん。

 直哉:弟よりデキの悪い兄なんか居る意味ないやろ。首括って死んだらええ。

 

 ここまではっきり言うの、むしろ清々しいですね。

 でもこれ、裏を返せば「兄は弟より優秀で居るべき/弟の手本となるべき」ということで、そういう意味で彼は彼なりに兄弟観というのを持っていることになりますね。

 彼が幼少期にどういう育ち方をしてあのような劇的クソ野郎になったのかは分かりませんが、少なくとも成長過程で何かしらのターニングポイントはあったはずで、その一つに兄に対する失望(?)なんかもありそうです。

 

2.直哉と真依〜獲物に対する捉え方〜

 

 彼は獲物、つまり武器等の道具を使用することに対して「ぶっちゃけダサいと思ってる」ことが明かされました。そうは言っても作中で一度も獲物を使ってない術師というのが五条・狗巻・直毘人くらいしかいないんですが、これに関しては「彼なりの術師としてのあり方」という矜持の話であって現実的かどうかとは別ですね。

 

 というか、術式によっては獲物を持ってないと始まらないものもありますからね。釘崎の芻霊呪法、真依の構築術式、三輪ちゃんのシン・陰流なんかは術式+獲物でその真価を発揮するので、まぁ直哉の発言は言ってしまえば暴論です。

 ただ、それでも彼なりの矜持はしっかりあるようで、これも「術師たるもの術式で戦ってナンボ」ということです。暴論ですけど正論。

 

 そんな彼の発言が対比として描かれているのが彼の従姉妹、真依です(別に真依だけではないですが、呪具使いでない術師で特徴ある戦い方をするのが彼女だったので)。

 真依の戦闘スタイルは銃の弾に呪力を込めて撃つという中・遠距離タイプで、当然ですが近代武器という獲物を扱っています。これに関しては偽夏油も「術師相手であれば通常兵器は積極的に取り入れるべきだと思うよ」と好意的な評価をしています。

 

 どちらが正しいとかいう話ではなく、これはもう完全に好みというか、矜持としてどういう選択をするのかという話ですね。

 

 彼はクソ野郎ですが、クソ野郎なりの「曲げられないところ」というのが垣間見えて嬉しかったです。

 

3.直哉と甚爾〜術式至上主義だけど〜

 

 直哉、何かというと甚爾の名前を引き合いに出すんですよね。

 禪院家で扇と甚壱と会した際は甚壱と甚爾を比較する発言をしたり、今週の142話でも兄たちと甚爾を比較するような言い方をしたり。

 

 彼は上述の通り劇的クソ野郎で、その根幹にあるのは男尊女卑と術式至上主義です。であるなら彼が甚爾を認めるというのは恐らくなさそうですが、彼なりに一定の評価というのはしていた可能性がありそうです。

 

 兄に対しては「俺の兄さん方もブラブラとみっともないねん。よぉアレで甚爾君のことやいやい言えたもんや」と発言していますから、これを紐解くと「甚爾君は術式はないけど兄さん方と遜色なかった」というのが浮かび上がってきそうです(あくまで一考察として、です)。

 

 術式至上主義であり「無能は死ね」というスタンスの彼ですが、なんやかんや甚爾のことは嫌いではなかったのかなと。肯定の意味での「好き」ではないにせよ、「おもろい奴」くらいには思っていたのかもしれませんね。

 

 個人的には彼の退場前に過去回想とかで五条たちとどういう交流があったのかは描いてほしいんですよね……仮にも直哉は次期当主候補でしたし、五条家当主の五条とどういう距離感で接していたのか気になります。まぁ五条のことですから歯牙にもかけていなかったとは思いますが。

 

 魅力的なキャラクター直哉君、今後も色んな地雷を踏み抜きながら憎まれていってほしいです。

 

 

 それではまた。

 

 

 よしなに。

 

 

(そういえば呪術廻戦非公式ファンブックのようなものまで出てるんですね。ワンピースとか進撃の巨人とかで出てるのは知ってたんですがついに呪術までその対象に。嬉しい限りですね。)

 

 

*1:引用:芥見下々『呪術廻戦』「週刊少年ジャンプ」第11号、2021年、p82