ども、けろです。
前々回あたりから止まることなく激アツ展開が続いている『怪獣8号』ですが、今週号もやばかったです。
というわけで早速やっていきましょう。大怪獣を撃破した第三部隊ですが、その後彼らを待ち受けていたのはーーーー。
1.主人公カフカの決意
隊長亜白、副隊長保科、キコルの3人の巧みな連携によって大怪獣の撃破に成功した一同。
その姿を見て涙を流すカフカ、個人的にめちゃくちゃ好きです。自分だって翼竜型怪獣の討伐に貢献しているので、この戦いでの功績があるはずなのに、それでも自分より前にいる人たちの背中を見て、今の自分の立ち位置と彼らとの差を痛感して涙を流せるのは、本当に強い人物じゃないとできないことです。
憧れであり、悔しさであり、それでいて「いつか追いつく」という決意を感じさせるカフカの涙。30過ぎているとは思えないほど王道の少年漫画的描写で、これが『怪獣8号』の魅力だよなぁと。
主人公に年齢は関係ないだろと言ってしまえばそれまでですが、僕個人としてはカフカは「30歳過ぎたおっさん予備軍のキャラクター」でなければいけないと思っています。
それはこれまで別の業種で社会人をやってきたという経験もありますが、それ以上にカフカが「かつて抱いた夢を取り戻し、置いてきた過去の中に未来を見据える」というキャラクターであるためには10代や20代といった年齢設定では出せない魅力があると思うからです。
陳腐な言い方をすれば「過去を買い戻す」になるんですが、彼の場合は「過去の中に置いてきた、あったはずの未来を自分の手で掴み取る」が適した表現かなと思います。
2.人型怪獣の最後の足掻き、超巨大余獣爆弾
本獣を倒し、戦いの余韻に浸りながらも残った余獣を狩るために動こうとする亜白達。
その前に、というより頭上に現れたのは、巨大に膨れ上がった翼竜型余獣の集合体。
サポーターの小此木が「超巨大余獣爆弾!?」と言っていることから、これが単に巨大な質量を持った攻撃なのではなく、接地と同時に炸裂するタイプの攻撃であることが推察できます。
恐らくメカニズムとしては怪獣が持つ高エネルギーを、攻撃や駆動ではなく肉体内部で膨張させたのだと思いますが、周りの建物との比率から考えてもとんでもない大きさです。
亜白達に倒され、頭だけになった大怪獣が、最後の力で言い放った「人間、この勝負引き分けだな」はマジでムカつきました(いい意味で、ですよ)。
特にここでわざわざ「人間」と頭につけているのが皮肉というか対比として見事だなぁと。これが「怪獣」と「人間」という、種の存続をかけた戦争であることを仄めかすような言い方。異形の姿がそれにぴたりとマッチしています。
3.最善にして最悪の決断
なんの前触れもなく突如出現した余獣爆弾。これが怪獣達の捨て身の特攻である上、何より距離が近すぎるため、保科ですら「あかん間に合わん!!」と内心を吐露しています。
いや実際戦闘終了後の気が抜けてるタイミングであんなのに遭遇したら誰だってテンパりますよ。どう対処するか瞬時に判断しようとしている時点ですごすぎる。
と思っていたら一目散に飛び出したのは、主人公・カフカ。
お前お前お前お前お前〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
いやもうね、これまでのカフカの行動とか彼の人間性とかを考えたらそういう展開になるだろうなとは思ったし、もうこうすることでしかこの状況を打破できないのはわかってはいるんですよ。
ただそれでも。せめて怪獣身バレはもう少し先になるんじゃないかと夢想している自分がいたわけですよ。もしかしたら中盤までバレることなく隊員としてやっていくんじゃないか、と。
何がすごいってこれまだ31話なんですよ。31話っていうとBLEACHだと一護とドン・観音寺が出会って一悶着あった辺りだし、呪術廻戦にしても幼魚と逆罰編が終わった回です。
展開があまりにも(良い意味で)スピーディすぎて、マジで出し惜しみがない漫画だなと。
王道展開をこれでもかと詰め込みながら、その中に作品特有の味や緩急がしっかりあって、しかも物語の進行上根幹に関わるであろう設定をここで盛り込んでくる。
これは編集部のアオリ文にもある通り、最善だけど最悪の選択なんですよ……
みんなを救うためには怪獣になるしかない。でも怪獣であることを明かしてしまったが最後、みんなとこれまで通りの関係でいることは無理になってしまう。
そういう、トレードオフで不可逆的な選択を突きつけられて、こうも即決できてしまうのは本当に彼の主人公たる所以だなぁと。
怪獣バレしたあと、第三部隊の面々の彼に対する態度はどう変わっていくのか、それがめちゃくちゃ気になります。
そして、これは何の偶然か、次回の第32話という話数は奇しくもカフカの年齢と同じなんですよね。
一度は諦めた夢を、最後のチャンスだと挑み、そして勝ち取った今の立場。それを自らの行動が危うくしてしまうタイミングが、彼の年齢を同じという皮肉。もし狙ってやっているとしたらちょっと恐ろしいですね。
既に次週が楽しみ過ぎますし、恐らく次週以降はさらに怒涛の展開になることでしょう。
カフカが第三部隊にい続けられることを祈って、僕はジャンプ本誌の方に意識を向けることにします。
それではまた。
よしなに。