ども、けろです。
最近恒例になりつつある解説回、早速やっていきましょう。
今回はアニメでも登場した呪胎九相図の元ネタ、九相図に関してです。
1.呪胎九相図の各キャラクター紹介
まず呪術廻戦において登場した特級呪物・呪胎九相図1〜3番について紹介します。
彼らは最悪の呪詛師・加茂憲倫が明治時代に作り出した呪霊と人間のハーフであり、それが呪物化した後に現代で受肉し顕現しました。
1-1.脹相
本誌組の中ではもうすっかり癒し系キャラとしての立場を確立したお兄ちゃん、脹相。
ネタキャラとしての色が強くなっていますが、赤血操術を扱うその実力は本物で、一時は虎杖に瀕死の重傷を負わせました。
登場した3人の中では最も強く、また最も人間の原型を保っていました。
原作最新142話では彼の操る「超新星」が彼のオリジナル技であることが明かされ、脹相が呪物化してからの150年間をどんな思いで過ごしてきたのかを窺い知ることができました。
彼の放った「俺には手本がない。何度も何度も間違える。それでも弟の前を歩き続けなければならん。だから俺は強いんだ」というのは本当にかっこいい名言でしたね。
1-2.壊相
めちゃくちゃ先鋭的なファッションセンスをしたキモゴリラ(褒め言葉)、壊相。
使用する術式は「蝕爛腐術」という、分解を司る術式。おまけに奥義である極ノ番も使えるんだから相当強い。
ただやっぱり裸蝶ネクタイとそのファッションセンスはやばすぎません?
1-3.血塗
血塗くん、三兄弟の中では一番人外のフォルムをしています。
この理由についてはファンブックで「呪物としての力が弱く、器となった人間の面影が残った」と述べられており、口が二つある理由はそれですね。上の口が器になった人間のものです。
こんな見た目してるくせに意外とコミカルなところがあります。本人に術式が宿っているかは定かではありませんが、彼が吐きかけた血液を元に壊相が蝕爛腐術を発動させていることから、少なからず繋がりはあると考えられます。
2.元ネタとなった九相図の意味
この呪胎九相図ですが、その名の通り仏教絵画の九相図が元ネタとなっています。
元は屋外に打ち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階に分けて描いたもので、美女も腐って骨になることから仏僧の色欲を断つことが目的とされたようです。
実在する九相図の中には「小野小町九相図」や「檀林皇后九相観」といったものが作られました。冷静に考えて歴史上の美女や皇后の死後の腐敗の様子を描くって正気じゃねぇな。そりゃ仏僧も萎えますわ。
腐敗の段階全てに名前がついており、初期段階から順に
- 脹相(ちょうそう) - 死体が腐敗によるガスの発生で内部から膨張する。
- 壊相(えそう) - 死体の腐乱が進み皮膚が破れ壊れはじめる。
- 血塗相(けちずそう) - 死体の腐敗による損壊がさらに進み、溶解した脂肪・血液・体液が体外に滲みだす。
- 膿爛相(のうらんそう) - 死体自体が腐敗により溶解する。
- 青瘀相(しょうおそう) - 死体が青黒くなる。
- 噉相(たんそう) - 死体に虫がわき、鳥獣に食い荒らされる。
- 散相(さんそう) - 以上の結果、死体の部位が散乱する。
- 骨相(こつそう) - 血肉や皮脂がなくなり骨だけになる。
- 焼相(しょうそう) - 骨が焼かれ灰だけになる。
となっています。壊相の蝕爛腐術はこの「皮膚が破れ壊れ始める」に着想を得た術式だと思われます。また脹相が一番人の原型を留めているのも、これが死んだ直後の人の死体をモチーフにしているからと考えると合点がいきますね。
血塗以降の兄弟の名前も恐らくこれに則していると考えられ、ジャンプ本誌11号の第138話にて脹相が「俺も焼相達の亡骸を回収したいしな」と述べていることからも兄弟の名前も実際の九相図由来であることが確定しました。
ただ、脹相が「亡骸」と言っており、漫道コバヤシ内での「呪胎九相図の3人は母親が元気なうちに生まれてきたから生きている。残り6体はほぼ死んでいる」という発言があったことからも膿爛以降の九相図は呪物化はしているもののそこに脹相たちのような意識は存在していないと考えていいでしょう。
こうしてみると芥見先生は色んなところから着想を得ているんだなぁと感心します。
ファンブックでの対談で、BLEACHの東仙要の卍解、清虫終式・閻魔蟋蟀にも九相図ネタが使われていることが明かされ、僕もめちゃくちゃ驚きました。
こういう発見ができるとより一層楽しくなりますねぇ。
解説記事は調べたりする作業がとても楽しいので、これからも続けていきます。
それではまた。
よしなに。
*1:引用元サイト:
小野小町も死んだらドクロ。彼女の遺体が腐乱していく姿を描いた衝撃的な「九相図」の意味とは? | アート ライフスタイル 日本画・浮世絵 - Japaaan
*2:引用:芥見下々『呪術廻戦』第8巻、集英社、p23
*3:引用:芥見下々『呪術廻戦』第7巻、集英社、p102
*4:引用:芥見下々『呪術廻戦』第7巻、集英社、p88