けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第305話_ヒーローとしての揺らがない覚悟【僕のヒーローアカデミア】

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 ども、けろです。

 今週は早めにやっていきます、ヒロアカ感想回です。

 

 

 

1.志村菜奈の問い、ワン・フォー・オールのオリジン

 

 開幕早々、冷たい表情で物騒なことを訊ねる志村菜奈。死柄木が志村菜奈の孫であることを踏まえると本当にキツい。

 加えて念を押すように「頼んでいるんじゃあない、覚悟の話だ」と言っていることからも、この問いには死柄木を止めるには殺すしかないというメッセージが含まれています。

 

 デクにとっては「助けを求める顔」に見えた死柄木も、歴代継承者からは「憎しみしか宿していない眼」と評されており、ここで彼らの見え方の違いが浮き彫りになりました。きっとこれは、彼らの歩んできた道のりの違いなのかなと。先代たちは戦争のような時代を生きてきて、その中で多くの悪と対峙してきたんでしょう。だからこそ死柄木の中に"憎悪"を見た時、それを"救い"の対象としては見れなかったのかなと。

 

 そして再度提示される、ワン・フォー・オールのオリジン

 それは「オール・フォー・ワンを討つ」という命題。オール・フォー・ワンを討つために生まれ、そのために長きに渡る時を旅してきた"個性"なので、そういう意味ではこの前提は正しいですね。

 

 「赦すことも、わかりあう事も叶わない」という志村菜奈の語りの背景には闇に飲まれる死柄木の姿。

 それに続く「"助けを求めているように見えた"人間が、救いのようのない人間だった時に君は、殺してでも止めるという覚悟はあるかい」という無情な問い。人を助けてきたデクに、そのために人を殺せるのかと訊ねるのはあまりに酷だし、彼がまだ16歳であることを踏まえると重荷すぎます。まだ思春期の少年に(世の中を救うためとはいえ)人殺しの罪を背負わせるのは、しょうがないとはいえ残酷すぎる世界。

 

2.凛と揺らがないデクの意志

 

 これにどう答えるのか、そう思っていたらデクの語りは驚くほど真っ直ぐでした。

 

 「泣いている子どもを感じたんです」

 

 そう語るデクの姿は幼少期に戻り、一人泣いている死柄木に寄り添おうとしている。かつて誰も手を差し伸べてくれず、孤独の中世界の全てを恨んだ死柄木

 そこに向き合い、手を差し伸べようとする姿は、第1話でデクに手を差し伸べたオールマイトを彷彿とさせました。このリフレイン、あまりにも尊い。

 

 「オール・フォー・ワンは殺す為の力じゃなく、助ける為の力なんだとオールマイトから教わりました」

 

 真っ直ぐに語る幼少のデク。

 彼が憧れた"ヒーロー"というのは、「助けるヒーロー・オールマイト」ですから、そこから紡がれる言葉というのもどこまでも"人助け"に根ざしたものです。

 

 「僕はあの子を助けたい」

 

 いや〜〜〜〜〜しんどい。カッコよすぎる。

 これまでの物語が全てこのためにあったんじゃないかと錯覚させられるほど、これまでのデクの歩みが積み重なり、今のデクを形作っている。

 

 ここからはもう死柄木との決戦まっしぐらなんでしょうか。

 個人的には2年生編とかも見てみたいんですが、それをやると中だるみしてしまいそうなので難しいところですね。

 

 しかも終わり際、「君たちもいい加減に彼に協力してあげてよ。力を全開放する為の協力を」と初代が二代目たちに呼びかけていて、いよいよ謎に包まれていた二代目の正体が明かされるのか???と激アツなヒキで今週は終わりました。

 

 

 淡々とデクの覚悟が語られるだけだった回なのに驚くほど惹きつけられたし、めちゃくちゃ感動した。こういう回に弱いですね、僕は。

 

 

 来週が楽しみすぎます。

 

 それではまた。

 

 よしなに。