けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第163話『東京第1結界③』|嘘つきの正体と、日車寛見という男【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 最近はなかなか最新話当日にブログが更新できず疎かになってしまい申し訳ありません。まぁ元々個人のブログなので自分のペースでやればええやろとは思うものの、週刊誌の感想をメインで取り上げるブログである以上新鮮味が落ちてしまうので、なるべく1〜2日以内の更新を目指していこうと思います(願望)。

 

 というわけでやっていきましょう、呪術廻戦感想回です。

 

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1.自己保身に生きていた甘井

 

「コイツらは勉強も運動もパッとしねぇけど、プライドだけは高いんだ。

 その辺傷つけねぇようにヘラヘラ調子合わせてりゃいいんだよ」

 

 外見的特徴から恐らく高校生時代と思われる甘井の独白、結構人間味があって好きです。もちろん彼の発言や行動は褒められたものではないですが、「現状を変える力を持たない一個人」が取りうるものとしては理解できるというか、そういう人もいて当たり前だよねという感覚になります。

 「目の前で誰かがいじめられている」という状況下で、個人が取れる行動は大きく分けて「止める」「見て見ぬ振りをする」「その片棒を担ぐ」の三つです。その中で「止める」というのは、精神的にもかなり難しいですし、相手が複数人の場合返り討ちに遭う恐れもあります。

 

 そりゃ確かに大人は「見て見ぬ振りはいけません」と正論を説くけれど、だからといって自分の身の安全を最優先に考えて行動してしまった個人を責められるのか、と問われればそれもまた難しいと思います。

 そう考えると、この甘井の行動は「卑怯ではあるけれども個人がとりうる選択肢としてはある種合理的」と言わざるを得ないんですよ。あくまで個人的な感想ですが。

 

 甘井の自己保身的性格は現代になっても変わっておらず、羽生・羽場に従って初心者狩りを手伝っていました。「狩り」という言葉で誤魔化されていますが、これは「初心者殺し」であり、甘井は間接的に殺人に加担していたことになります。

 殺人に加担してでも自分のことを守ろうとしていた甘井と、自分の身を顧みずに他人を助けるために動く虎杖は、その点でもすごく対照的ですね。

 

 いじめられている生徒を助けに入った時も、日車の元に向かおうとしている時も、甘井からしてみれば虎杖の行動は理解が及ばないというか、自分じゃ絶対に取らない行動な訳です。

 

 そんな虎杖を見て、甘井は「言え…!!言うんだ俺……もうこんなこと止めよう……!!」と独白していますが、これが彼の本音を物語っています。

 

 要するに甘井も、「自己保身に伴う罪悪感」を少なからず感じていて、その結果一定の自己嫌悪を抱いていたことになります。いやー人間臭くて好き。

 

 これ以上自分自身の行動に後悔しないように、自己嫌悪にならないように、虎杖を止めようとした(でも止められなかった)甘井という人物、この先で変われるといいですね。

 

2.嘘つきの正体

 

 麗美に導かれ新宿のマンションを訪れ伏黒。そこで待ち受けていたのは日車……ではなくレジィという全身レシート貼り付けおじさん。名前の由来が会計に使う「レジスター」由来だと気づいた時は笑いました。先週登場した彼の姿はパンツ一丁だったので、その上にレシートを纏っていると考えると動くたびに地肌にレシートがガサガサ擦れてめちゃくちゃ不快だと思うんですがどうなんですかレジィさん。

 

 まぁ前回予想した通り、嘘つきは麗美だったわけです。的中したね。

 麗美が口にした情報と天元の情報が矛盾していたわけですが、これが麗美の狙い通りだとすると相当上手いですね。もしかしたら作者がうっかりしていた可能性もありますが。

 そんでもってここの伏黒の顔、まじで主人公サイドのキャラクターがする顔じゃなくて最高です。バキバキにキマりすぎ。セリフも「喋るな、時間の無駄だ」なのが完全に悪役。

 

 ここで伏黒が人を殺してしまうのかが注目ですね。今までの物語の中で伏黒は殺人に手を染めていなかったので、死滅回游でそれがどう転ぶのか気になります。不平等に人を助ける、ということは逆に言えば「不平等に人を殺す」ということになるので、姉である津美紀を救うために他人を蹴落とすのか、めちゃくちゃ注目です。

 

3.日車寛見という男

 

 スーツを着たままステージ上のバスタブで入浴する、という完全に出オチの日車。バスタブに蛇口がついていないことを見ると日車はわざわざこのバスタブをステージ上に運んで、自分でお湯を入れたということですね。可愛い。

 

 そんな出オチの日車ですが、その口から語られた内容は結構好きです。

 虎杖に「死滅回游を終わらせたいから100点使わせてくれ」と頼まれた際にも「断る」と一蹴。その口で日車は「俺はただ死滅回游に可能性を感じている」と述べます。

 

「告訴も公訴も必要ない。真偽を争うこともなく総則を犯した者は物理法則のように罰せられたら?」

 

 この問いかけに、日車寛見という男が何を考え、どんな思いを抱き、死滅回游に何を期待しているのかが現れています。

 かつて弁護士として司法に携わり、人を助けること生業としていた日車が「告訴も公訴も必要ない」と口にしているのが、彼が司法に絶望し、今の立場を選んだということがわかります。「悪人(=ルールを破った者)が全自動で平等に罰せられる」というのは、不平等な司法の現場を目にしてきた日車にとっては相当魅力的に映るのでしょう。

 

 

 話し合いは決裂し、互いに戦闘態勢に入る虎杖と伏黒。日車の術式の詳細が気になるところですし、この勝負がどう決するのか楽しみです。もっとも虎杖側は日車の100点を使いたい以上彼を殺すわけにはいかないので、その点を踏まえてもこの対決に注目していきましょう。

 

 

 来週は休載ということで、続きは2週後。最近は休載が多いですが、映画も近いですし芥見先生にはゆっくり休んでいただきたいですね。

 それではまた次回。

 

 

 よしなに。