けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第166話『東京第1結界⑥』|人の弱さと向き合った日車【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 気がついたら2021年ももう終わりに差し掛かっていて時間の経つ早さに驚かされます。体感的にはまだGWくらいなんですが、実はもう12月になりそうなんですよね。ちょっと世界のスピードに自分がついていけない。

 

 そんなわけで(?)ブログ更新も完全に自分のペースになっていますが、ゆるりとやっていきましょう。

 

 というわけでやっていきます、呪術廻戦感想回です。

 

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1.「処刑人の剣」

 

 前回、虎杖が渋谷事変での大量殺人を認めたことでジャッジマンからは「死刑」の判決。日車の手にしたガベルが光り輝き、十字の剣に変化。

 「処刑人の剣」と名付けられたそれは、斬りつけた相手を即殺させるというぶっ壊れ性能。術式の強度的に何かしらの"縛り"はありそうな強さだなと感じました。

 

 特にその発現条件が「「没収」により術式の使用が不可能な状態で日車に「処刑人の剣」が与えられる」なので、能力自体は凶悪そのものだけどホイホイ使える能力じゃないという感じですね。

 第二審で虎杖に有罪判決が出た直後に「剣」が出たことを鑑みると、第一審で術式(呪力)の剥奪が行われ、その状態で開廷される第二審にて再度有罪判決が出た場合発動する、と考えるのが筋でしょうか。呪術廻戦の世界においてぶっ壊れ能力は多々ありますが、そのどれもが発動に際し複数の条件を満たしていることが求められたりするので、日車の術式もそんな感じかなと思っています。

 また、今回日車が手にするガベルが変質したことから、彼の持つガベルもまた術式の一部である可能性が出てきました。だから何って話ではあるんですが、彼の術式は「裁判そのもの」を呪術化したものだと言えそうですね。

 

2.人の弱さと向き合う

 

「人の心に寄り添う。それは人の弱さを理解するということだ。

 被害者の弱さ、加害者の弱さ。毎日毎日毎日毎日ずっと食傷だった。

 醜い。他人に歩み寄る度そう思うようになってしまった」

 

 この日車の独白が印象的ですね。

 彼はその職業柄、毎日のように犯罪加害者・被害者と顔を合わせていたわけで、それはつまり毎日「人の心の奥底」を見続けるということでもあります。

 それは時として苦しみを伴うもので、日車は過去に弁護を担当した被告人から「嘘つき」と心無い目を向けられた経験があります。要するに被告人の都合の良さというか、自分の立場のみを考えている無自覚な悪辣さというか、言語化しづらいグロテスクさがあります。

 恐らくそれは「被害者」も同様で、彼が見てきた被害者というのが「一枚岩の(単純化された)犠牲者」ではなかったということなのでしょう。それが良いことなのか悪いことなのかは別として。

 

 これってつまり、「弱さ=醜さ」という事実が存在しているのではなく、あくまで日車の中では「人の弱さとは須く醜いものである」という認識ができてしまっている、ということなんですよね。

 そこには本来色んな「弱さ」があったはずなのに、日車が目にしてきたのは(職業という環境要因のせいで)「醜さ」だけだった。こんな状況で誰が日車を責められるっていうんだ……

 

 しかも「他人に歩み寄る度そう思うようになってしまった」というのは、一度は真摯に歩み寄ろうとした者でなければ思わないことなんですよね。

 彼は「昔から自分がおかしいと思ったことを放っておけない性分でした」と口にしている通り自分の正義心に対しては不器用なほど真っ直ぐな人間で、だからこそ「醜い」と思うまで深く深く潜ってしまったし、「明かりを灯した所で、また眩しい虚無が広がっている」と思うようになってしまったんでしょうね。

 

3.目を瞑る日車

 

 で、そんな日車と虎杖の一戦は虎杖の勝利で終わるわけなんですが、その決着の仕方が印象的でした。

 日車は虎杖が「無実」であると知っていました。それはジャッジマンから提出された証拠に、虎杖の中に巣食う悪鬼・宿儺についての記載があったから。もちろんジャッジマンが罪状を読み上げる前はそれが何を指している証拠なのかは不明ですが、その口から罪状が読み上げられた後の虎杖の「俺が殺した」という自白が虚偽であることはわかります。

 

 この自白を受け、日車は「目を瞑る」という行動に出ます。

 これが本当に対比的というか、構図の見せ方がうまいなぁと感じたわけです。

 

 何故なら日車は、過去の回想において「自分を縋ってきた手を振り払わないように、私だけは目を開けていたい」と述べています。

 そんな日車が、虎杖が無実の罪を背負い込んだのを見て目を瞑るって、なんというか演出がニクいですね。発動させていた「処刑人の剣」を消しているのも、彼に戦闘継続の意思はなく、虎杖を殺害する気がないということを意味しています。シンプルに捉えるなら「無実の人間は殺せない」なんですが、なんというかそれ以上のものを感じますよね、これには(語彙力)。

 

4.和解

 

 その結果として虎杖と日車は和解し、虎杖は日車の持つ100点を自由に使えるようになりました。いやぁ本当によかった。日車というキャラクターがあまりにも素敵すぎるので、敵のまま退場してほしくはなかったんですよ。

 

 自らの意志で人を殺めたことを訊ねた日車が、「最悪の気分だったろう」と述べているのも良いですね。やっぱり彼に殺人は向いていないというか、日車自身それを正しい選択だとは思ってないんですよ。

 

 さて、100点を使って死滅回游にルールを追加することが可能になった虎杖ですが、ここから先の展開が非常に気になります。

 恐らく伏黒は依然レジィと戦闘中でしょうし、鹿紫雲と戦うために第2結界に向かった秤とパンダの動向も気になります。

 順当にいけば次は東京第2結界にスポットが移るのかなぁとも思いますが、伏黒の動きを含めて第1結界のあれやこれやも描いてほしいですね。

 

 

 次週は休載なので次は二週間後。

 それではまた。

 

 

 よしなに。