けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【紹介】美人で巨乳のお姉さんが全裸で怪獣を倒す漫画【GIGANT】

Hatena

 ども、けろです。

 

 今週号のジャンプは呪術廻戦もヒロアカも休載で、もちろん他の漫画も読んではいるんですが、それでもなんだか物足りなさが強いですね。

 

 というわけで今回は漫画紹介回になります。

 ジャンプ+の作品を取り上げようとかなとも思ったんですが、たまには別の出版社、小学館系列の漫画を取り上げようと思います。

 

 以前ヤングジャンプにて『GANTZ』を連載されていた奥浩哉先生の最新作『GIGANT』です。記事タイトルが大分ふざけてますが、全部事実です。

 

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1.あらすじ

 

 主人公、横山田零は映画監督に憧れる高校1年生。好きなAV女優のブルーレイを観ながら平凡な毎日を送っていた(AVは18禁なので良い子は真似しないでね)。

 

 そんなある日、街中に貼られた貼り紙で自分のお気に入りのAV女優「パピコ」(本名:ちほ・ヨハンソン)が自分が暮らす街に住んでいることを知り、インターネット掲示板で彼氏がいることを見て落胆する零。

 数学のテストの点について父から叱責され、夜中に家を出た零は街中に貼られた「この街にAV女優のパピコが住んでます。たのんだらやらせてくれます」という貼り紙を剥がして回っている最中、背後から「その貼り紙、君が貼ったの?」と声をかけられ、振り返るとそこにはAV女優のパピコが立っていた。

 

 パピコと知り合えて舞い上がる零と、時を同じくして街中で起こる不可思議な現象。パピコもまた、得体の知れないおっさんによって腕に巨人化できる装置を取り付けられ、困惑していた。

 

 そんな中、街が大きく揺れ、異形の巨人が零達が暮らす街に現れるーーー

 

 美人で巨乳のお姉さんが巨人化し全裸で怪獣と戦う異色のボーイミーツガール×SFが始まるーーー

 

2.真面目に描かれる「ふざけた設定」達

 

 あらすじの時点で既にぶっ飛んだ作品であることが伝わっていると思いますが、読み進めていくとそのぶっ飛びぶりに驚きます。というかフフっと笑います。

 

 パピコに巨人化装置を取り付けたおっさんはなぜか白のもっさりブリーフ、白のカットソーにランドセルを背負った奇抜(というより通報案件)ファッションだし、そのおっさんが大真面目に「シンギュラリティ」「ギガストラクチャー」というSF用語を並べ立てるし、おっさんの仲間と思われる人間達もおっさんと同じようなヤバいファッション。

 

 おまけに怪獣の発生原因も「ネット上の人気投票で1位になった企画が現実化する」というぶっ飛んだ内容だし、ここまで読んだ人にはこの漫画がギャグ漫画に見えていることでしょう。

 

 でも登場人物達は一切ふざけていないし、むしろそこから始まる怪獣vsパピコの珍妙な大怪獣バトルを大真面目に受け入れ、それに対応しようとしている。

 

 この「大真面目に描かれる、一見ふざけた設定」が、個人的にエッセンスになっているなと。よく言う「シリアスな笑い」というやつなのだと思いますが、こういうクセの強さが好きな人は最高に楽しめる作品だと思います。

 

3.終末に抗う人類〜全開の奥浩哉ワールド〜

 

 これらの一見すると「イロモノ」として映る本作ですが、大筋としての「迫り来るカタストロフィと、それに徹底して抗う人類」というSF要素は濃密で、奥浩哉先生がCG作画を用いて描く街並みのリアルさは圧巻です。

 

 前作『GANTZ』でもそうでしたが、奥浩哉先生はCGを用いた作画・執筆を作風としています。街並みや機械等のデザインをCGを用いて描くからこそ、手書き作画では出せないリアルさがあります。ちなみにこれに関しては奥浩哉先生本人が公言されていますが、「CG作画=楽」というのは誤りです。めちゃくちゃ大変な作業だそう。

 

 自分たちが暮らしている街中に突如として現れる巨大怪獣が都市部を蹂躙し、人々を虐殺していく。自衛隊やアメリカ軍の抵抗もまるで歯が立たないあたりも、人類の現代科学の叡智がことごとく打ち砕かれていく悲壮感、カタルシスの演出として最高です。

 

 やっぱりここら辺を描かせたら奥浩哉先生は超一流だなと個人的には思います。もちろん本作や『GANTZ』の作品自体への評価は人によって大きく分かれるとは思いますが、その中で描かれる「突然の大災厄と、それに抗うも無惨に殺されていく人類」というSFの代名詞ともいわれる描写に関しては本当にすごいなと。

 

 奥浩哉先生の作品は、ネームドキャラとモブキャラで明確に作画に違いがあるんですが、このモブキャラ(=非ネームドキャラ)達がそこかしこで無慈悲に惨殺されていくというのがまた主人公達の「特別感」というのを際立たせているなと感じます。

 

 現時点での戦闘シーンは、基本的に怪獣に対してパピコが全裸で(というのも巨大化した彼女に装備できる衣服がないため)タイマンファイトをするというものですが、彼女ならではの戦い方もあったりして面白いです。

 

 怪獣を倒したパピコが世界中で絶賛されてニュースで取り上げられ、一躍ヒーローへとして社会全体で賞賛される流れも、奥先生なりの社会風刺なのかなとも思います。

 

 

 作品の要所要所にはふざけた設定が散りばめられつつ、骨太なSF作品としてのテイストもあり、その中で描かれる零とパピコの恋愛要素が作品全体を唯一無二のものにしています。

 

 かなりサクサク読める一作となっていますし、既刊も現時点では7巻(もうすぐ8巻が出ます)と今からでも追いつける巻数ですので、よければ読んでみてください。

 

 

 それではまた別の紹介記事で。

 

 よしなに。

*1:引用:奥浩哉『GIGANT』1巻、小学館