けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【ルポ】BLEACH初の原画展に行ってきた【BLEACH EX.】

Hatena

 ども、けろです。

 僕は普段冬眠中のクマの如く家に引きこもって外に出ない極度のインドアです。もちろん(数少ない)友人との付き合いで外で遊ぶこともありますが、基本的に何かしらの予定がない限りほぼ家にこもっています。人混みが苦手というのと、予定を詰めつめにするのが精神衛生上得意ではない、というのが主な理由です。

 

 ただ、そんな僕が何ヶ月も前から楽しみにしていたイベントがあります。

 

 そう、BLEACH初の原画展、BLEACH EX.です。

 何ヶ月も前から開催が決まっており、本当に本当に楽しみにしていました。

 この原画展、本来は12月18日から1月16日までの開催なのですが、久保帯人先生の公式FC・Klub Outsideの会員限定のプレビューデイが12月17日に開かれました。

 要するにFC会員は特別に1日早く観ていいよというわけですが、これがまた抽選なわけです。しかもコンテンツがジャンプの一時代を築き上げたあのBLEACHです。

 生きた心地がしなかった抽選ですが、奇跡的に当選することができ、無事原画展のプレビューデイに行ってきました。

 

 ちなみに久保先生のFCは本来今年1年だけの期間限定でしたが、好評につき来年も継続してくださるそうです。

 下記のリンクからFCに飛べます。ここでしか見られないイラストや久保先生のQ&Aなんかもあるので是非登録してみてください。

 

klub-outside.com

 

 というわけで今回は、普段死ぬほどインドアなオタクが推し作品の原画展にウッキウキで行ってきたルポ記事です。

 最初に断っておきますが、原画展の内容にがっつり触れます。これから原画展に行く人で初見の感動を大事にしたいという人はここで読むのを中断してください

 また、会場内は写真撮影が禁止でしたのでルポは僕の文字のみになっております。

 

 それではやっていきましょう、BLEACH原画展回です。

 

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(ちなみにこれはグッズ付き入場券の特典でもらえたオリジナルノートです)

 

1.原画との出会いは、神との対峙に近かった

1-1.原画の「臨場感」が本当に凄まじい

 

 当たり前ですが、展示されている原画は「久保先生が当時執筆された原画」です。

 今現在久保先生はデジタル作画に移行されていますが、BLEACH連載中は基本的にアナログ作画で執筆されていたので、当然ですが原稿用紙が使われています。

 用紙の端には「ジャンプ○号」といった編集が押したであろうハンコが押されていたり、原稿用紙特有の目盛りがあったりと、まさに「原画」なんですよ(当たり前ですね。)

 

1-1-1.ベタとホワイトから滲む創作の血肉

 

 その中でも、僕が特に感動したのがこの「ベタ」と「ホワイト」です。

 「ベタ」とは漫画の技法で黒く塗りつぶすこと、「ホワイト」はその逆で白いインクで線を修正することです。

 アナログ原画ですから近くに寄って見ると原稿の端々にベタとホワイトの痕跡があって、僕は「あぁ、僕らがジャンプで読んでいた当時、先生は血肉と魂を削ってBLEACHを生み出していたんだ」という感動に打ち震えていました。

 ジャンプ、あるいは単行本という形で世の中に出る際は印刷所で綺麗に出力されているため、黒い部分は「ムラなく一様に塗られた黒」になり、修正箇所も「清書された線だけが残る」ように出力されます。

 

 ただ、原画はその過程を経る前なので、当然のことながらベタには色ムラがあります(黒のマジックペンで紙を塗りつぶす時に最初に引いた線の上に別の線が重なった時、重なった部分の色が濃くなるアレです)し、ホワイトで修正された箇所が見えます。

 「え、ここって修正されてたの?」という驚きがありますし、ベタ部分に注目すると恐らく久保先生がアシスタントの方にベタ塗りを指示する際にそのベタ塗り範囲を指定した「×」というマークが見えました。

 

 あぁ、僕たちが手にしていた漫画のページの奥には全て、こうした作者の労力があったんだなと、15年以上経って触れることができました。

 

 

 個人的に驚いたのは、単行本17巻、朽木白哉と阿散井恋次の一戦での白哉の卍解シーンの原画でした。

 ここは白哉の卍解・千本桜景厳が初めて描かれたシーンで、花びらのように舞う数千の刃が印象的ですが、びっくりしたのはその刃の一つ一つがホワイトで描かれていたことでした。

 言われてみれば漫画はモノクロなので、白いモノを動的に描こうとしたらそうなるのは自明というかわかる話なんですが、実際に目にしてみると「あ、ここってこんな風に描かれてるの!?」と驚かされました。

 

1-1-2.カラーイラストの多彩さ

 

 加えてとんでもない量のカラーイラストがその興奮に拍車をかけてきました。

 久保先生は本当に色々なテイストのカラーイラストを描かれるのですが、それを原画として目の当たりにするとより迫力を感じました。

 パステル調のカラーも、ビビッドな色使いも、その全てが本当に素晴らしくて、ただただ感動と興奮でした。もう凄すぎ。

 

 面白かったのは、あるカラーイラストが縦に二つ並んでいて、上には完成品、下にはそのカラーを描く過程で「どのカラーがどんな発色になるのか確かめる」という目的で色の名前(?)と色塗りが施された練習絵があったところですね。そんなところまで見せてくれるんだ、となりました。

 

1-2.久保先生のコメントが想像を膨らませる

 

 原画展最大の見どころの一つが、やっぱり作者本人のコメントです。全ての原画にコメントがあったわけではないですが、その一つ一つが読者にとっては新鮮で、20年越しの答え合わせというか、久保先生と会話をしている感覚になれました(先生側からの一方通行ではありますが)。

 

 例えばウルキオラがたまに口にする「存外」という言葉が日本の古典文学作品/大河ドラマの一つである『太平記』からきているとか、尸魂界篇で収監されている吉良イヅルの元を訪れた市丸ギンの表情が気に食わなくて何度も書き直したエピソードとか、単行本19巻のフルカラー回に対して「フルカラーの話は二週間ほど前にもらっていて、そこからなんとか描き上げた。これからジャンプに来る子にはこんなスケジュール立てるなよ!」と苦笑していたりとか、本当に赤裸々でした。

 作品という完成品だけを読んでいると忘れがちですが、その作品を生み出してるのは「一人の人間」であり、その人は悩んだり葛藤したりしながら生み出しているんですよね。

 

 それらのコメントの中で特に印象に残っているのは、死神代行消失篇のラストバトル、一護vs銀城の回について「これから先の最終章に向いている読者を選別する意味を込めて、本来なら感情や思想をキャラクターに喋らせた方が伝わることをあえて台詞無しで描いた」と言及していたことですね。その絵にそんな意味があったんだと驚きました。

 正直このコメントを読むだけで原画展に行く価値はあると思いますし、じっくり読むなら全部見て回るのに3時間はかかると思います。

 

2.ぼくはただキタニタツヤに、ありがとうを言う練習をする

2-1.Rapportを使用したオリジナルPVが本当に泣ける

 

 原画展に入ってすぐ、特設ブースがありました。

 そこには久保先生が原画展のために描き下ろした104体(この数に笑いました)のキャラクターと、そのイラストを使った原画展オリジナルPVがクソでかいスクリーンから流れました。

 

 各キャラクターがそれぞれ所属している勢力別に登場し、バチバチにかっこいい仕上がりになっているんですが、使用されている楽曲、キタニタツヤのRapportとの相性が本当に本当に凄まじかったです。

 

www.youtube.com

 

kero-entame-channel.hatenablog.com

 

 そんなPVが原画展の初っ端から待ち受けていて、もうちょっと出だしから情緒がぶっ壊れました。

 PVが流れている最中ずっっっっっと鳥肌がすごくて、ほぼ鳥でした。

 ちなみに僕の周囲から鼻をすする音が聞こえていて、見渡すとボロボロ泣いている人がたくさんいました。さすがプレビューデイ、ファン層も火力が高い人しかいませんでした。

 

2-2.新譜・タナトフォビアと獄頣鳴鳴篇の相性が完璧

 

 原画展の出だしはRapportで最高のスタートダッシュを切り、その後ぐるっと原画展を見て回ったわけです。ちなみに原画は基本的にエピソード・テーマ別になっています。

 で、ちょうどカラーイラストのコーナーを抜けた先に再びデッカいスクリーン。

 

 そこで流れたのは、久保先生が描き下ろした12年後のキャラクターイラスト(しかもカラー)を使ったPV

 しかも楽曲はこれまたキタニタツヤ書き下ろしの新曲・タナトフォビア

 

www.youtube.com

 

 12年後のキャラクターに関しては、その一部は獄頣鳴鳴篇にて描かれているんですが、今回初お披露目になるキャラクターも多くいました。

 X-CUTIONの雪緒やジャッキー白衣で弓を構える石田雨竜、細かな意匠が変わったハリベルと、「マジでこんなに描いてくれるんですか!?」という数のキャラクターがバンバン登場してきて笑いました。

 

 会場ではその歌詞の全部を聞き取ることはできませんでしたが、その中でも特徴的なフレーズである「塞がれていた地獄の口が開く音」はハッキリ聞き取れて、獄頣鳴鳴篇のエピソードの主軸である「地獄」が強調されていて沸きました。

 

 まじでキタニタツヤは天才だと思います。こんなにもBLEACHという世界観に合う楽曲を作ってくれて、もうただただ感謝しかありません。。。。。

 

3.描き下ろせ、新規イラスト

 

 もうすでに散々書きましたが、今回の原画展はただの原画展ではなく、オリジナルの書き下ろしイラストの数がえげつないです。

 護廷十三隊、十刃、仮面の軍勢、滅却師と、これまでの戦いの中で一護が出会ってきた多くのキャラクターが新規イラストとして登場して、ファンサービスがとんでもないです。

 

 久保先生のコメントで「あのキャラを出したらこのキャラも出さないといけないなと考えていたら増えたんですが、デジタル作画は下書きをせずに描き足せるので楽しかったです」的なことをおっしゃっていたんですが、いやそれにしたって凄すぎる。

 

 これまでの物語を浴びるだけではなく、新しい風を浴びることができて泣きます。

 

4.一緒に数えてくれるかい、財布についたグッズの歯型を

 

 原画展といえば、公式グッズも楽しみの一つですね。

 ただですね、ここで問題が一つ浮上します。

 それは、「グッズの数があまりにも多すぎる」といううれしい悲鳴です。

 

bleach-exhibition.com

 

 原画展のブースを抜けた先にグッズのブースがあるんですが、まじで数が多いです。

 ラインナップに関しては公式のリンクをご覧いただければと思いますが、ブロマイドや缶バッジのような安価なものから高精細複製原画のような高価なものまで様々で、本当にすごかったです。

 

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 ちなみに僕の購入品を紹介します。

 奥から順に公式パンフレット、複製原画、クリアファイル、コースター、ブロマイドです。

 これに加えて高精細複製原画を1枚購入し、総計約4万円の買い物でした。

 

 ただ、これはかなり控えめというか、当日の来場者の中でもかなりライトな買い物だと思います。というか厳選に厳選を重ねた末のこのラインナップです。

 何せこの日はFC会員限定のプレビューデイ。参加者の年齢層はBLEACHという作品の歴も相まって相応に高く、それぞれがBLEACHという作品に対して並々ならぬ熟成された感情を持っている方々です。

 そんな方々が参戦しているプレビューデイですから、グッズ販売はそれはそれはすごかったです。1枚3万円する高精細複製原画を4つ全部買い物カゴに入れた上でブロマイドや缶バッジ等の小物で買い物カゴがパンパンになっている人が一人や二人ではなくて、レジ列に並びながら笑ってました。みんなすごすぎ。

 

 

 というわけでBLEACH原画展のルポでした。

 恐らく最低でもあと一回は現地に足を運んでグッズを買い足そうと思いますが、とりあえず初回はこの辺で。

 

 

 それではまた。

 

 よしなに。