ども、けろです。
土曜にジャンプが発売されるの、ずいぶん久しぶりな気がしますね。月曜から5日しか日数がないというのも、間髪入れずに続きが読めるので嬉しいです。まぁその次の号まで待つ日数は増えてしまうんですけど。
というわけでやっていきましょう、呪術廻戦感想回です。
前回初登場した日車寛見掘り下げが行われた最新話、個人的にめちゃくちゃ良かったです。
Youtubeには既にアップ済みですので、こちらもよければ。
1.弱者のために粛々と戦う
「日本の刑事裁判の有罪率は99.9%」
恐らく誰しもがどこかで聞いたことのある言い回しで始まった最新話。
軽く調べてみましたが、日本の刑事事件における有罪件数と無罪件数の比率はおおよそ99%前後のようです。
これは別に「日本の警察は何がなんでも有罪をでっち上げている」というわけではありません。もちろん悪質な冤罪事件もありますが。
日本の警察は割と優秀と言われていて、「有罪を立証できる確たる証拠がある事件のみ起訴している」んですね。たまに聞く「不起訴処分」というのは、要するに「有罪かもしれないが法廷で争った際に確実に有罪にできる確証がないから起訴まで持っていけない」というやつです。
弁護士・日車の目の前で、青年・大江はゆっくりと語ります。
「猫を飼っていたんです。
急に警察の人が話しかけてきて、2人3人って増えて、このまま捕まっちゃったら猫が死んじゃうって。
飼っちゃダメな決まりだったから、飼ってるのは俺しか知らないから」
岩手県盛岡市で起きた親娘の強盗殺人事件の容疑者として逮捕された大江は警察からの職務質問中に逃げた理由をこう語りました。
いやめちゃくちゃわかるよ大江くん。猫ちゃん大事だもんね。愚かな人間はその原罪を雪ぐために天界から授けられた猫ちゃんの面倒を見させていただいている立場だから、その心配はめちゃくちゃわかる。
ただ自宅に駆け込んだ先で警官が見たのは、血のついた刃物</span.。おまけにその刃物からは強盗殺人事件の被害者のDNAが検出され、それが決め手になったようですね。
状況的には極めて悪く、日車の助手の清水という女性も「それは無理があるでしょ〜〜」と呆れ顔。まぁそうよね。
大江は過去に知人が薬物を使用していたことが原因で警察から不当な聴取を受けた経歴があり、警察に対して苦手意識を持っていたことが明らかになり、住み込みで働いているNPO法人がだいぶアカン環境ということも相まって日車は彼を「大江がシロの可能性は十二分にある」と評します。
冷静に考えて「給料が出ない・月に5万円を家賃として徴収する・前科者が入居している(これは必ずしもダメというわけではないです)・パトカーや救急車(といった公的機関)を呼んじゃいけないNPO法人」ってもうだいぶアカンというかアレというか、「やりがい」で人を働かせるのは搾取って『逃げ恥』で教わったじゃないですか…
日車という人物について、高木という別の弁護士(立場的に日車の先輩でしょうか)は「日車君は相変わらずだねぇ」と。
曰く日車は過去に未成年の危険運転致傷事件で同じような経験をしていたらしいです。容疑者を信じて行動し、結果的にその容疑者本人に「嘘つき」と罵られるという結末を。
2.ゆっくりと歪んでいく
大江の事件、第一審はまさかの無罪。傍聴席もざわつき、清水も「本当に勝っちゃった」と驚いています。いやあんたは信じてあげなよ。
SNSや新聞各所、メディアはこの判決に猛反発、道ゆく人も彼に対して白い目を向ける中、被告人の大江は涙ながらに「俺を信じてくれてありがとう」とこぼします。
ただ、続く控訴審(第二審)は一転有罪・無期懲役。
その時の大江の目が本当にいいですね。見開かれた、血走った瞠目。目の前で起こったことが信じられず、やり場のない感情を日車にぶつける。「話が違うじゃないか」と。
「……私は弱者救済など掲げてはいません。昔から自分がおかしいと感じたことを放っておけない性分でした。それが治ってないだけです」
ここで日車という人物の抱いている価値観が垣間見えましたね。弱者を救けたいというよりも、「おかしい」と思ったことを自分の手で正したい、と思っているんだなと。
つまり彼は「弁護士になりたくて弁護士になった」というよりも、「本来平等であるべきの天秤の傾きを正せる立場」を模索した結果弁護士という職に行き着いた、と考えるべきなのかもしれませんね。
でも、多分ですけどそれだけでやっていけるほど人間って強くないんですよ。見返りを求めていないと口では言っていても、彼らのために尽力した結果その当事者から心ない目を向けられ続けたら、「自分はなんのためにやってきたんだ」と歪んでしまっても不思議ではないんですよね。
そもそも弁護側と検察側でマンパワーや権力に差がありすぎる中で頑張り続けるには、彼は優しすぎて、愚直すぎたんですよね。だから歪んでしまったんだなと。
3.全てを「やり直す」力
「全員戻れ。やり直しだ」
ガベルを打ち鳴らし、その場にいた全員を制止する日車。その背後には天秤の秤のようなものが吊るされた異形の存在。デザインが完全に『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシやんけと思ってしまったのはここだけの話です。
何が皮肉って、「私だけは目を開けていたい」と述べていた日車の術式の象徴が「目を閉じている」ことなんですよ。
もちろんこれ自体が「正義の女神」のモチーフなのかもしれませんが、だとしても彼の術式が(彼本人が皮肉っていた)それを象徴しているというのはどうなんでしょうかね。
彼がどのタイミングで羂索と接触したのか、そして羂索からどのような提案をされ、どのようにそれを受け入れたのか、まじで気になるしそこら辺も描かれてほしいです。
次回は少し先ですね。それまで楽しみに待とうと思います。
それではまた。
よしなに。