ども、けろです。
先週号の感想をすっかり忘れてしまっていたことをここに告白します。なんならいつも書いていた「推しの子」と「怪獣8号」の感想記事もサボってしまっているので、これからはなるべく毎週感想を書いていこうと思います。
前回A組のみんなの思いの丈をぶつけられたデクが今週どんな動きを見せるのか。1週飛ばしになってしまいましたがやっていきましょう、ヒロアカ感想回です。
1.集結するA組
飛び出したデクの手を掴み、街中を落下する飯田くんとデク。
その着地を支えたのは切島くんでした。
かつて爆豪から「倒れねぇってのはそれだけでめちゃくちゃ強ェだろ」と評されていた彼が、落ちてくるクラスメイトを倒れずに受け止める、それだけで彼がこの1年どんな思いで訓練に臨み、そしてデクに向き合っているのかがわかります。
「同い年の奴がダチ助ける為に駆け出したって!あれおまえなんだろ…!?
特別だとか力だとか関係ねぇ。あん時のおまえが、今の俺たちの答えだと思うぜ…!」
これめちゃくちゃいい台詞ですよね。
中学時代の切島くんって、所謂「自分に自信がないキャラ」で、同中の芦戸さんが敵からクラスメイト守っている時にも震えて動けず、そんな自分を変えたくて雄英を志した過去があります。
そんな切島くんを突き動かしたのは、「無個性で同い年の中学生が、友達を助けるために敵に向かっていった」というデクの行動。そこにあったのは「ワン・フォー・オールを持った強い学生」でも、「特別な力を受け継いでヒーローを志しているデク」でもなく、ただただ「気づいた時には身体が動いてしまう、ヒーローの素質を持った名もなき中学生」なんですよ。
A組のみんながデクのことを助けたいと思うのは、デクが強い力を持っているとか特別な存在だからとか、後天的に彼に付与された外的要因なんかじゃなくて、「優しい心の持ち主が、今独りで破滅的な行動を取ろうとしているから」なんですよね。デクは本当にいい友達を持ったね……
2.「今までごめん」
切島くんや芦戸さんの言葉にも「他人に迷惑かけたくないんだ」と応じようとしないデク。
そんなデクの前に立ったのは、彼と同じ中学の出身であり今のクラスメイトであり共にトップヒーローを目指すライバル、爆豪。
爆豪は淡々と、デクに対する思いの丈を綴っていきます。
僕はここの演出が本当にずるいと思いました。
川に落ちた爆豪を助けようと手を差し伸べた幼少期。
「クソナード」と笑い、デクを虐めていた中学時代。
雄英に入学し、デクの持つ可能性に打ちのめされた入学当初。
そして互いに力を蓄え、共に憧れたオールマイトの姿を追いかける今。
こうやって「二人の関係がこじれるきっかけ」から時系列順に二人の姿を描いていくの、二人が歩んできた道のりと関係の深さを暗に伝えていてグッときました。これは他のクラスメイトにはない、デクと爆豪だからこそできる演出だなぁと。
爆豪の口から語られるのは、これまで自分がデクを虐めていた理由と、その背後にある自分の弱さ。今まで勝ち気で自信家、プライドの高い人物として描かれてきた爆豪がこうして等身大の思いを淡々と口にするのはもしかしたら初めてじゃないでしょうか。
「言ってどうにかなるもんじゃねェけど、本音だ。
出久。
「今までごめん」」
かっちゃあああああああああああああああああああああ(´;ω;`)
いやもうここで泣きました。無理。死ぬ。ハゲそう。
神演出じゃないですか、この回。というか作中ぶっちぎりトップの感動回じゃないですか今回。
「爆豪がデクに謝る」「デクのことを出久と呼ぶ」をいっぺんに持ってくるのはマジで心臓に悪すぎます。情緒がぶっ壊れるので。
これはヒロアカという物語を進めていく上で絶対に避けては通れないんですよ。
トップヒーローになりたい爆豪にとって、「身勝手な理由でデクを虐めていた過去」というのは厳然たる事実として存在していて、今後彼がどんなに活躍して実績を残しても、それは爆豪のすぐそばにあり続けるんですよ。
だからこそ、爆豪がこの先に進もうとする時に、「デクとの関係」をなぁなぁにしておいてはいけないし、曖昧にしたまま先に進むことはできないんですよ。
でもそれをこのタイミングで持ってくるか……という。
デクが独りになろうとしているタイミングで爆豪が「今までごめん」って、マジモンの神回なんですよ。
しかもこれは、デクに許しを強要するものではなく、あくまで一つのケジメなんですよね。爆豪自身が「言ってどうにかなるもんじゃねェけど」と留意しているように、仮に爆豪が謝ったからといって彼がデクを虐めていた事実は消えないし、デクが爆豪を許さなければならない理由にもなりません。
いやほんと、どこまで成長するんだ爆豪………
3.雄英高校に戻るデク、彼を守ろうと手を取るお茶子
皆に導かれ、自ら去った雄英に戻ってきたデク。
そこで待っていたのは、「その少年を雄英に入れるな」という市民からの声。
まぁなんというか、わかっていたけど目の当たりにするとしんどいですねこれは。
市民だろうがデクだろうが、等しく「脅威から守られなければいけない存在」であるはずなのに、市民は常に自分の身を第一に考えてしまう。デクがどういう事情を抱えているかとか、なぜボロボロになっているかとか、そういうところに思いが向かないのがヒーローと市民の差なんだろうなと感じました。
だってデクはまだ16歳で、ヒーローとしては駆け出しで、法的にも社会的にも守られなければいけない「子供」なのに、大の大人がデクのことを「爆弾」呼ばわりしてしまうのは本当に見ていてしんどい。
そんな声を受けて身を翻すデクの手を、そっと握るお茶子ちゃん。
「ヒーローが辛い時、誰がヒーローを守ってあげられるだろう」という独白は、お茶子ちゃんが目指そうとしているヒーロー像が浮き彫りにしました。
きっと彼女は、「ヒーローも守れるヒーロー」になりたいんだろうな、と。
キリッと凛々しい顔で聴衆に向かっていくお茶子ちゃん。
どうやらこの神回は次回以降も続きそうで、僕はもう情緒がガタガタです。
次号はジャンプを開く前にハンカチかティッシュを用意することを忘れないようにしようと思います。
というわけでまた次回。
よしなに。