けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第42話_重曹ちゃんの成長と"役者の血"が騒ぐアクア【推しの子】

Hatena

 ども、けろです。

 

 この後三週間ぶりの呪術廻戦を摂取できるわけですが、逆に三週間も時間が空いた後にあの重たい世界観を受け止め切れるのか今から震えています。

 

 が、そんなことはとりあえずさておき、早速やっていきましょう。

 

 今回はジャンププラス回、推しの子感想記事です。

 2.5次元舞台編の幕入り、どういう展開になるのでしょうか。

 

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1.あかねとアクアの関係をジト目で見る重曹ちゃん

 

 「今度は私がアクアくんの助けになるよ」という、ウサイン・ボルトもびっくりのスピードで正ヒロインの座を奪いにくるセリフを吐くあかねちゃん、正直めちゃくちゃかわいい。

 セリフや表情に「💦」のエフェクトが入ってるのも、彼女の謙虚さというか人柄の暖かさが滲み出ていて好きです。

 

 というかこの描写を見るに、あかねちゃん絶対アクアのことビジネス恋人だと思ってないよね???絶対アクアのこと1人の男として見てるよね????

 あかねちゃん視点から見ると、アクアという男は恋愛リアリティー番組の共演者で、自分が世間からのバッシングに命を絶とうと思い詰めている時に救ってくれた恩人で、なおかつその番組内で唇を奪った顔の良い男なんですよね。こりゃあダメだ。

 

 アクアは女の敵、というのは前回既にルビーが述べているんですが、このままいくと黒川あかねという少女があまりにも報われないんですが。おいアクア、キスの責任取れよ。元医者の倫理観どこにいったんだよ。おい。

 

 

 そんなあかねちゃんとアクアのやり取りをジト目のお手本のような目で見つめる重曹ちゃんこと有馬かな

 かつての共演者のメルトにアクアとあかねちゃんの関係を聞かれた時も、めちゃくちゃ分かりやすく焦ってるし、自分に都合の良いように2人の関係を解釈しているところとか必死でかわいいなぁと。

 

 まぁいきなり早口でブツブツ唱え始めるのはなかなか濃度の高いオタク仕草なんですが、彼女は曲がりなりにも子役からずっと役者を続けてきた人間なので、それが根底にあるんだろうなぁと。大半はアクアへの嫉妬心でしょうけど。

 

2.「演技」を手段として捉えるアクアの眼差し

 

 重曹ちゃんやあかねちゃんが演技について熱の入った話をしているのに対して、アクアは極めて対照的で、演技に対する情熱に関しても「無いよ」とキッパリ返しています。

 舞台女優を前にして「演技に情熱はない」と言えるのはなかなかの胆力というか度胸だなと思うんですが、これがアクアらしさだなと感じます。

 

 彼は本当に冷静かつ客観的に自己と他者を「舞台装置」として考えていて、それらの「材料」を使って「母を死に追いやった者への復讐」という一つの物語を作り上げようとしている。

 だから彼にとって「(一般人と比べて人並み以上に)演技ができること」というのはあくまで一つの「手段」であって、それ自体で何か大きなことを成したいと思っているわけではないというのがわかりやすいですね。

 

 

 ただ個人的には、アクアはどこか自分を説得し続けているようにも見えるんですよね。

 確かに彼の中で、母であるアイを死に追いやった者への復讐というのは大きなウェイトを占めているし、彼は幼少期から一貫してそれだけを目的に動いているんですね。

 それはどこか「それ以外に人生に目的を持たないように自制している」ように見えてしまうし、彼自身の人生の選択肢というのを狭めているな、と。

 

 もちろん復讐の先にあるのは袋小路の結末ですし、もしかしたらアクアは復讐を成し遂げた後自死を選ぶつもりかもしれません。

 それでも、アクア自身が「復讐以外の未来」を描き始めているように感じるし、それを自分自身で抑えているように見えるんです。苦しい。

 何が苦しいって、母であるアイはきっとアクアに「自分の人生を歩んでほしい」と思っていると思うんですよ。

 

 じゃあアクアの「復讐」って、一体何のため・誰のための行動なんでしょうか。

 

3.「我が儘さ」を取り戻した重曹ちゃん

 

 脚本家たちが各役者を見ていろいろな評価を下している中、当の本人たちに動きが見られた後半部分。

 

 やっぱり目を見張ったのは天才役者・姫川にアテられて自分本来の伸び伸びとした演技を始めた重曹ちゃんでしょうか。

 姫川の「遠慮しないでいいよ」というセリフ、この一言で彼が重曹ちゃんが力量を発揮しきれていないことを見抜いていることが分かって良いですね。

 

 それに破顔して応じる重曹ちゃん。

 次のシーンではある種暴力的とも言える表情で演技にのめり込む重曹ちゃんの姿が。

 

 この姿を見てあかねちゃんは「あんな身勝手な……「私を見ろ」って演技が出来る子じゃなかったのに!」と驚いていますが、神の視点でこの物語を読んでいる読者は少し違った印象を抱くんですよね。

 というのも幼少期の重曹ちゃんはとにかく我が儘でスタッフや共演者を振り回しており、自分中心で物事を考えるキャラクターでした。それが原因で仕事を干される結果になり、彼女は周囲に合わせる技術を身につけるに至ったわけですが。

 

 つまり有馬かなという人物は、生来非常に我が儘でお姫様気質なキャラクターなんですよ。今までは(周囲に迷惑をかけるわけにはいかないという理由で)それを押し殺していただけで、姫川という天才に促される形でそれを取り戻した、というのが割と正確な気がします。

 

 そのきっかけが、僕は第38話のライブ回だと思っています。

 あの回で有馬かなは今まで周囲の顔色を窺っていた自分の殻を破って「アンタの推しの子になってやる」と覚醒しました。作中屈指の神回です。

 

 あのライブで彼女は「自分のやりたいことを自由にやる楽しさ」を再度取り戻したんじゃないかなと。

 だから姫川に「遠慮しなくていいよ」と言われた時、すんなりと自分の素を出すことができたんじゃないかと。

 

 

 何が言いたいかっていうと、アクアが振り回した女がここにもいるってことです!!!!おいアクア!!責任とれ!!!!一夫多妻でも僕は構わん!!!!

 

 

 まぁそれはさておき、最終ページのアクアの表情がまたニクいですね。

 あれだけ「演技」を自分の「手段」だと言っていたアクアが、重曹ちゃんの変化を見てそれに吸い寄せられてる。頭でどれだけ否定しても、彼の中に"役者の血"は流れているんだろうなぁと感じさせられる一幕でした。

 

 アクアは重曹ちゃんから何を吸収し、どう変わるのか。そしてそれがアクアの今後にどう響いてくるのか。個人的にはここら辺に注目して読んでいきたいですね。

 

 

 

 それではまた次週。

 

 よしなに。