けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】パンダの正体は「夜蛾の息子」である【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 ジャンプ最新21・22号で怒涛の掘り下げ、そして圧倒的な濃度をお届けして退場した夜蛾学長と、その死に涙を流したパンダ。

 今までパンダに関する考察はほとんどしてこなかったし、キャラクターの好感度もいい意味で普通だったんですが、この回でめちゃくちゃ好感度爆上がりしました。夜蛾のイメージも、その根底にある人間臭さが最高に好きになりました。

 

 でも!!!!!退場させるなよ!!!!!!おい!!!!!

 

 というわけでクソデカ感情を抱えたまま、考察やっていきましょう。

 

1.仮説の提示

 

 いつも通り、本考察における仮説を提示し、考察を始めていきます。例の如くタイトル通りの出オチです。

 

 仮説:パンダの核に込められた魂の正体は、夜蛾の息子である

 

2.夜蛾の家族構成

 

 まず前提として、夜蛾の家族構成をファンブックと最新話から整理しましょう。

 

Q 高専職員、呪術師、呪詛師のうち、既婚者はいますか?

A 夜蛾正道、バツ1

ー『呪術廻戦公式ファンブック』p110より

 

カカシ先生みたいなやつ「呪骸も連れずに何処に行くのですか夜蛾学長殿」

夜蛾「息子に会いに」

 

 これらの描写から、夜蛾の家族構成は「元妻」と「(少なくとも)息子が一人」ということが分かります。そして、「息子に会いに」と述べていることから、彼が今息子と離れて暮らしていることもわかります。

 

 一応本考察では、その「息子」は現時点で既に死亡しているものとして扱いますが、仮に存命だったとしても仮説に差異はありませんのでゆるりと読み進めてください。

 

3.パンダの核に込められたメッセージ

 

 パンダには3つの核が存在しています。

 そのことが明かされたのが単行本5巻のパンダvsメカ丸戦。

 

「パンダお前には、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいる」

「いつか分かるさ、その2人はいつだって力を貸してくれる」

ー『呪術廻戦』単行本5巻、p90-91より

 

 ここで覚えておきたいのは、パンダの体内にあるその他2つの核は「お兄ちゃん・お姉ちゃん」と呼ばれており、その2人が「いつでも力を貸してくれる(≒お前を見守っている)」ということです。

 

 これがパンダの核に込められたメッセージであり、パンダの正体を紐解く鍵になると思ってください。

 

4.完全自立型呪骸の製造・安定方法

 

 ジャンプ最新第147話にて、完全自立型呪骸の製造方法が明かされました。

 

 呪骸の核に、人間の肉体の情報からコピーした魂の情報を入力し、相性の良い三つの魂を宿した核を一つの呪骸に入れ、互いの魂を観測させるという方法です。

 

 これにより、通常は術師の呪力に依存するはずの呪骸が自己補完を開始し、自身の自我に基づく自立行動が可能になるわけです。

 

 要するに材料に人間の魂(の情報の複製)を使用しているわけで、見方を変えれば人体実験とさほど変わりありません。

 

 ですがここで重要なのは、「パンダの核には人間の魂の複製が用いられている」ことと、「その魂と相性の良いその他2つの魂が付随して入力されている」の2点です。

 

 魂における「相性の良さ」とは、シンプルにその魂との結びつきの強さだと考えれば良いでしょう。

 単に血縁関係だけではなく、友人関係や恋人関係の魂でも「相性がいい」といえそうです。

 

 ではそもそも何故「夜蛾の息子」という可能性が浮上したのか。

 

 これは最新話で夜蛾が死に、そこに駆けつけたのが彼の生み出した「パンダ」であったこと、公式ファンブックで夜蛾とパンダのコミュニケーションの取り方について「親子みたいな」と言及されていたことがその可能性の大元になっています。

 

4-1.兄弟の魂を入力した説

 

 完全自立型呪骸を安定させるためには三つの魂が必要であることが明らかになりましたが、ではパンダに入力された他二つの魂は誰のものなのでしょうか。

 夜蛾はそれらの核に対して「お兄ちゃんとお姉ちゃん」と表現しています。

 

 これを額面通りに受け取ると、彼には長男と長女、次男の3人の子供がいて、そのうちの兄と姉の魂を次男の魂の安定化に使ったと読み取れます。

 

 ただ、個人的にこれは可能性としては(後述と比べて)やや低いのかもな、と考えています。

 最新話で行き先を聞かれた夜蛾は「子供達に会いに」ではなく単数形の「息子に会いに」と述べています。

 本当に子供が3人いるのであれば、わざわざ単数形を用いる必要もないですし、「息子」と性別を限定する必要もありません

 

 つまり、夜蛾の息子は1人である可能性がやや高いわけです。

 

 この矛盾を解消する方法は、「息子」というのは確かに「パンダ1人」を指して使った言葉ではある一方で、実際問題その「内側」には3人分の魂が入力されているため「息子・娘達の魂の入れ物となったパンダ」を呼称する形で「息子」という単数系が用いられた、ということでしょうか。

 このことからパンダと「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」が生前も兄弟の可能性はありますし、3人兄弟を何かしらの理由でいっぺんに亡くしてしまったのなら、夜蛾が失意から立ち直るために「息子達の魂を使う」という禁忌を犯してしまった可能性も十二分にあります。

 

4-2.自身と元妻、息子の魂を入力した説

 

 別の可能性として、「お兄ちゃん」と「お姉ちゃん」の正体は誰なのか。

 

 僕はこれを「夜蛾自身」と「夜蛾の元妻」の魂の情報なのではないかと考えています。

 というのも「魂の情報」を複製する上で、その持ち主の生死はさほど重要ではないからです。

 渋谷事変にて伏黒甚爾の肉体を下ろしたオガミ婆ですが、その際に使用したのは甚爾の遺骨でした。

 つまり、肉体の一部でもあればそれを元に肉体・魂の情報の双方を得ることは可能というのが既に伏線として張られていたことになります。

 

 仮に夜蛾の息子が既に死亡しているのだとすると、彼がパンダを生み出したことにも説明がつきます。

 彼はもう一度息子(の情報を持った何か)に会いたくてパンダを作り出した。その際に必要だった材料は、皮肉にも親である自分の魂の情報だった。

 

 それをパンダ本人に伝えなかったのは、彼なりの優しさ、あるいは贖罪なのではないでしょうか。

 

 かつて築き、そして離れてしまった家族を自分のエゴで「パンダ」という一つの形にした自分自身に対する贖罪の意識があったからこそ、夜蛾はパンダの正体について最後まで詳細に語らなかったし、それはパンダ本人にも伝えなかったんじゃないかなと。

 

 

 考察していて悲しさが溢れてきました(クソデカ感情)。

 

 パンダの人間臭さと夜蛾の最期、作中屈指の名場面として今後も読者の記憶の中に残ることでしょう。

 本考察を踏まえてもう一度読み返してみると、もしかしたら違った読み味があるかもしれません。

 

 

 それではまた別の考察で。

 

 

 よしなに。