ども、けろです。
毎週毎週信じられないくらい真っ直ぐな熱量をぶつけてくれる今一番激アツな少年漫画の一つ、怪獣8号。先週はカフカが衆人環視状態の中で怪獣に変身してしまうという、最善なんだけれども最悪の選択をしてしまいました。
今週号はどうなる……!?と思っていたんですが、最近とあることに気づきました。この漫画は最近流行りのめちゃくちゃに複雑な伏線を大量に張り巡らせたりキャラクター同士の心理戦を描いたりといった技巧派作品ではなく、ある種簡単に予測できてしまうであろう展開を、その予測通りに特大火力でぶっ放していく漫画だと(作者さんに技巧力がないとかそういう話ではないです)。
つまり何が言いたいかというと、細けぇ考察をするのもいいけど、とにかくその"熱量"を全身で味わおうということです。
というわけでやっていきましょう。怪獣8号感想回です。
1.覚悟を決めたカフカが"漢"すぎる
いやほんと、先週あたりからずっと言ってますが、カフカがあまりにもカッコ良すぎる。漢すぎるんですよ。これは性差の話ではなく、カッコ良すぎる覚悟の形容表現です。
「副隊長があんだけ体張って戦ったんだ。俺だけ自分の身守ってていいわけねぇだろ!!」
この台詞がすんなり出てくるの、本当に"主人公"なんですよ。
しかもここで「副隊長」と出てくるの、二人の信頼関係を感じさせるんですよね。もちろん今回の戦いで保科はめちゃくちゃ体張って戦ったわけですが、それ以前から保科はカフカのことに目をかけていて、陰ながら応援する立場でした。
それはきっと保科が入隊当初不遇な扱いを受けたことに起因すると思うんですが、その保科に対するカフカなりの義理の返し方なんだなぁと。
受けた恩は必ず返す。ただし、ある種最悪な形で。
2.地に立つその姿、救世主か悪魔か
大地がひび割れるほど強く踏み締め、飛び上がったカフカは自身の変身が一部解けてしまうほどの膂力を巨大余獣爆弾にぶつけます。
あたりにいた誰もが目を見張る一撃ののち、天空で弾ける爆弾。
その爆風を背に受けて戦場に立つカフカの姿が、めちゃくちゃかっこいい。
逆光で生まれた影がダークさを演出しているし、表情が見えないからこそ色々想像が膨らんでしまう。今何を思っているのか、何を感じているのか。
通常の隊員が地に伏して防御姿勢を取っているにも関わらずカフカは屹立しているのも、彼が「異形の存在」であることを強調しているように映りました。
その姿は皆を救った救世主なのか、それとも戦火に突如現れた悪魔なのか。
3.保科副隊長ーーーッ!!!!
「日比野カフカ。いや怪獣8号、身柄を拘束する」
共に悲哀を浮かべた表情で対峙するカフカと亜白。
幼い頃共に怪獣を討伐する夢を語った二人がこういう形で向き合うのは本当に皮肉だし辛い。
と思っていたんですが、個人的にもっとクソデカ感情が爆発したシーンがありました。
亜白がカフカに銃を向け、それに倣って第三部隊隊員たちが銃を構えるコマ。
保科だけは銃も剣を構えていないんですよ。
保科〜〜〜〜〜〜〜〜お前〜〜〜〜〜〜〜
彼は第三部隊の副隊長です。つまり怪獣討伐部隊の中でもその使命を一身に背負う立場であり、怪獣討伐を第一義に行動する人間です。
その保科が、大怪獣である怪獣8号を目にしてなお、向き合うこともせず武器を手に取ることもしない。
ちょっと感情がデッカくなってしまいますよ。
あぁ彼は今、"どちらの自分"を選択するか決めあぐねているんだな、と。
怪獣を討伐する自分、部下を思いやる自分、その二つの間で揺れ動いているから、彼は武器を構えることができなかったんじゃないかな、と。
こればっかりは邪推というか、ワンシーンを見た僕の勝手な推測でしかありません。
ただなんというか、亜白が真正面から(震える手で)銃を構えたのに対し、保科はそうしなかった。この対比がめちゃくちゃ上手いし、ワンシーンだけで魅せる力が凄まじすぎる。
というか今週号、情報量だけで言えば「カフカが皆のピンチを救う→正体がバレてピンチ」しかないんですよ。良くも悪くもシンプルなんです。
そのシンプルな情報量を、圧倒的な真っ直ぐさと暴力的なまでの火力で描いてくれるの、あまりにも漫画の魅せ方が上手すぎる。
今週号を読んで、間違いなく怪獣8号は今後の漫画界を引っ張っていく作品になるな、と感じました。
この状態で二週間おあずけ食らうのは精神衛生によくないですが、作者にはゆっくりのびのびと作品を描いてもらいたいので僕は単行本を読み返しながら楽しみにすることにします。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
よしなに。