けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】偽夏油の正体、「羂索」に与えられたキャラクター像とその皮肉さ【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 情報量で脳が死んだ呪術廻戦最新145話、おかげさまで考察の宝庫でした。

 というわけでまずは偽夏油の正体である「羂索」について、その元ネタを探るとともに、彼に与えられたキャラクター像について考えていこうと思います。

 

 それではやっていきましょう。

 

1.「羂索」の名前の由来

 

 まずそもそも「羂索」という耳慣れない単語について、天下の Google先生に教えてもらうことにしました。

 

 すると出てきたのは下記のような説明でした。

 

《「羂」はわなの意で、もと、鳥獣をとらえるわなのこと》5色の糸をより合わせ、一端に環、他端に独鈷杵 (とっこしょ) の半形をつけた縄状のもの。衆生救済の象徴とされ、不動明王・千手観音・不空羂索観音などがこれを持つ。

羂索(けんさく)の意味 - goo国語辞書

 

 呪術廻戦では「けんじゃく」という読みでしたが、別の読み方で「けんさく」というのもあるようですね。これは読み方の違いなので意味に差異はありません。

 

 どうやら「羂索」というのは縄状の道具を指すらしいですね。 

 というか調べたらAmazonにありました。まじでなんでもありだなAmazon。

 

 

  辞書の説明にもあるように、これは不動明王や千手観音といった、仏教における崇拝対象が手にする道具のようです。

 

 その中でも「不空羂索觀音」という名前がひっかかりました。同じ「羂索」の名を冠した観音像。恐らくこれが偽夏油の中の男である羂索のモチーフになっていると考えて良さそうです。

 

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*1

 

2.仏教における不空羂索觀音の立ち位置

2-1.不空羂索觀音に込められた意味

 

 そこで「不空羂索觀音」についてWikipediaで調べてみると、以下のような記述が出てきました。

 

尊名の「不空」とは「むなしからず」、「羂索」は鳥獣等を捕らえる縄のこと。従って、不空羂索観音とは「心念不空の索をもってあらゆる衆生をもれなく救済する観音」を意味する

不空羂索観音 - Wikipedia

 

 「衆生」つまり人間や他の生き物といった生命全てを救済する觀音としての位置付けられる立ち位置のようです。

 

2-2.六観音、六道における不空羂索觀音の位置付け

 

 そしてどうやらこの不空羂索觀音、六観音に数えられる一体のようで、六観音はそれぞれが六道に対応しています。六道というのは餓鬼道や畜生道や天道や人間道といった厨二病定番のアレです。

 

 不空羂索觀音はその中でも「人間道」に対応する觀音であり、人間道とは我々が今生きているこの世界を指しています。

 

 つまり羂索の元ネタとして考えられる不空羂索観音は、「衆生を救済する」という目的があり、人間道に対応した観音像である、ということです。

 

ja.wikipedia.org

 

kotobank.jp

 

3.六道における「人間道」の意味と、不空羂索観音の役割

 

 では翻って「人間道」のそもそもの意味を考えていきましょう。

 

 人間道とは我々人間が住む世界のことであり、四苦八苦に悩まされる世界ではあるものの、楽しみもあるとされる世界のことです。

 苦しみの代表格は戦争や病気、飢饉や天災等でしょうか。逆に楽しみというと、日々の食事や結婚、家族に囲まれた生活等々が挙げられると思います。

 

 この人間道を担当する不空羂索観音は、そもそもの由来が「衆生を救済すること」でした。

 

 つまり不空羂索観音は、俗世で苦しみ、悩む市井の民を導き、救済する存在であるということです。

 

4.モチーフから考える、偽夏油・羂索に与えられたキャラクター像

 

 これらの情報をまとめると、偽夏油の中身である羂索という人物に与えられたキャラクター像というのが浮かび上がってきます。

 

 彼は衆生、つまり非術師を現世から救済し、新たな生き方(≒世界)に導こうとする人物であり、そのモチーフとしてメタ的に不空羂索観音の名が与えられている、ということです。

 

 故にその名を初めて知った九十九は「慈悲の羂、救済の索か……皮肉にもなっていないね」と口にした。

 周囲の人間から見れば羂索のやろうとしていることはエゴに満ちた行動に他ならず、それが救済とは真逆の大量虐殺であるからです。

 

 自分本位な理由と独善的な大義で人々と社会を混沌に陥れた人物に与えられた名が「衆生を救済する存在」と同じなのは、確かに皮肉にも程があると言えそうです。

 

 

 さて、羂索の元ネタに関しては以上となります。

 

 彼の目的が天元と人類の同化であることは明かされましたが、その先にある世界を作って何を成そうとしているのか、その最終目的は未だはっきりしませんね。

 

 その目的が明らかになるのを待ちながら、本格化する死滅回游を楽しみましょう。

 

 

 それではまた。

 

 よしなに。