けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【紹介】スケダンの作者が描くSFミステリーの金字塔【彼方のアストラ】

Hatena

 ども、けろです。

 皆さん『スケットダンス』って知ってますか。篠原健太先生が描く学園ギャグ漫画で、個人的にギャグ漫画の中ではめちゃくちゃ好きな作品です。

 篠原先生は今ジャンプ紙面で『ウィッチウォッチ』という作品を連載しているんですが、その前にジャンプ+で連載していた作品が今回紹介する『彼方のアストラ』です。

 

 基本的に僕が取り上げる作品は僕の独断と偏見で「こいつぁ面白ぇ!」と思ったジャンプ系列の作品です。たまにジャンプ以外の作品もあります。

 

 それではやっていきましょう。彼方のアストラ回です。

 

shonenjumpplus.com

 

 ちなみにこの記事を読むのが面倒!という方は以下のリンク記事だけでも読んでください。

 

astra.shonenjumpplus.com

 

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1.あらすじ

 

 時は西暦2063年。ちょっと天然な少女、アリエス・スプリングは、「大自然の中、学生だけで5日間を過ごす」という学校行事である惑星キャンプに参加するために宇宙港にいた。

 

 個性的な班員と共に惑星マクパに辿り着いたアリエス達だったが、彼らの目の前に突如得体の知れない球体が出現。それに触れた班員が姿を消し、一同はパニックに陥る。

 

 決死の逃亡虚しくアリエス含む全員が球体に飲み込まれ、次の瞬間彼女達は宇宙空間に放り出されていた

 衛生軌道上に偶然放棄されていた宇宙船を発見し乗り込むメンバーだったが、そこは母星から5012光年の彼方であることが判明する。

 

 水も食料もない宇宙の彼方で遭難することになったアリエス達は、団結して家族の待つ我が家へと帰ることを目指すのだが、そこには彼女達の遭難を裏で手引きした黒幕がいたーーー

 

 

 という、近未来SF×ミステリー×ジュブナイル活劇というジャンルの作品となっています。全5巻で完結している非常に読みやすい作品で、重厚なミステリー漫画を読みたい方にはおすすめの一作です。

 ちなみに主人公は前述のアリエスではなく、カナタ・ホシジマという少年です。

 

2.緻密に張られた伏線の数々が齎す重厚なミステリー

 

 本作を読んでいてまず驚くのが、随所に散りばめられた伏線の数、そしてそれぞれの質の高さです。

 全ての伏線がきちんと投げっぱなしになることなく機能していて、しかも物語の面白さを際立たせている。

 

 特に面白いのが「何故主人公達は遭難したのか、誰がそれを仕組んだのか」という犯人解明、並びに主人公達班員9名のミッシング・リンクが解き明かされるシーンです。

 

 序盤から身構えて読んでいたはずなのに、それが明かされた瞬間は「うお、そういう展開か!」と思わず唸りました。しかもそれが物語の冒頭からきちんと練られている。

 

 また、主人公達の遭難を裏で手引きしていた黒幕、班員の中に紛れ込んでいる刺客の正体に関しても作り込まれていて、作者の力量が伺えます。

 

 とにかくミステリーとしての完成度が抜群に高い。まさか漫画でここまでのミステリー作品に出会えるとは思ってなかったので、読んだ当時は本当に度肝を抜かされました。

 

3.ただの味付けとしてではない、骨太なSF設定

 

 ミステリーとしての完成度の高さは言わずもがなですが、それと同じくらい本作の要素としてのSFは見応えがあります。

 

 カナタ達惑星キャンプメンバーは帰還のため様々な惑星を訪れるんですが、その惑星の多様性が本当にすごい。

 海洋生態系が発達した星や、植物が動物を支配している星など、「確かに広い宇宙ならそういう星があってもおかしくない」と思わされるものばかりです。

 

 加えて超光速移動や次世代の宇宙服等のSF要素も盛り込まれていて、「ミステリーを彩るための味付けとしてのSF」ではない骨太な世界観を楽しむことができます。多分ジャンプではあまり前例がない作品では?と思います。

 

 ミステリーはあまり読んだことがない人でも、この手のSFはワクワクするのでおすすめできます。

 

4.ジュブナイル活劇としての完成度

 

 そして何より、主人公達9人のキャラクターとしての魅力、つまりこの物語がカナタ一人のワンマンではない、ジュブナイル冒険譚としてかなり完成度が高いという点もまた紹介したいです。

 

 9人もメンバーがいると必ずと言っていいほど詳細に描かれないメンバーがいたり、活躍を省略されてしまうキャラクターが出てくると思うんですが、本作のキャラクターはみんなきちんとしたバックボーンがあり、それぞれ欠かすことのできない個性を持っています。

 

 簡単にいってしまえば、この中の誰か一人が欠けても冒険は途中で挫折していた、ということです。

 

 こう言うと味気ない言い方かもしれませんが、本当にそれくらい魅力的なキャラクターで溢れてるんですよ、本作は。全5巻が嘘だろと思うくらい濃密に作り込まれていて、本当に面白くグイグイ引き込まれる作品です。

 

 本当なら作品が出た直後、2016年とかに紹介すべき漫画なんですが、その頃はブログをやっていなかったので、数年後の今こうして紹介記事を書いています。

 

 本作はアニメ化もされ、このマンガがすごい!2019オトコ編で第3位マンガ大賞2019で大賞を受賞した作品です。

 漫画好きなら知っている人もいるかもしれませんが、アニメ化もされたのに意外と知名度が低かったりしたので、是非この記事がきっかけで読んでくれる人が一人でも増えてくれたら嬉しいです(誰目線)。

 

 

 それではまた別作品の紹介記事で会いましょう。

 

 よしなに。