けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【感想】第307話_因縁の再戦って王道で最高【僕のヒーローアカデミア】

Hatena

 ども、けろです。

 新章兼最終章に突入したヒロアカ、初っ端から最高に熱い展開だったので早速やっていきましょう、最新話感想回です。

 

 

 

1.瓦解した街の中で団結する市民たち

 

 荒廃し都市機能を失った街の中を歩くのは傑物学園高校の真堂と中瓶の二人。注釈にもある通り単行本12巻の仮免取得の際に登場したキャラクターですね。

 個人的に真堂(ヒーロー名グランド)は顔がいいので好きです。”個性”の「揺らす(=振動)」もシンプルながら強力で、特に建造物破壊とかも可能なのが強い。対人相手で使用すれば相手を"揺らす"ことが可能なので脳震盪を引き起こしたりと、戦闘のバリエーションも広くてかなりの強個性だと思いました。

 とりわけ今回のような廃墟化したビルが立ち並ぶ住宅街・オフィス街なんかだと建造物被害とかを気にせず個性をぶっ放せるのでかなり戦いやすいですね。

 

 彼らの役目は街中のビルに籠城している地元住民の説得。

 

「人が集まった所にまた敵が襲来した時、あんたらどうにかできんのかい?」

「ウチの店襲ったクズを何人も返り討ちにしてやった。俺たちゃ目が覚めたんだ」

「自分で育った街は自分で守る。命は他人に預けねぇ」

 

 彼らの言葉は芯がしっかりしていて、「ヒーローを信頼していたが結果的に社会は一変してしまった」という事実を経験しているからこそ安易に否定できないのが現状です。

 現実世界に即して言えば、アメリカで白人警官による黒人射殺事件が起こった直後の警察全体に対する信頼の低下等が近いでしょうか。

 

 自分達ができないこと(=秩序・保安の確保)を公的機関にアウトソースする(=自分達はその力を手放す)からこそ、市民は人種や性別、民族や居住地といった様々な属性に関わらず安心した生活を送ることができる。その大前提となっているのはやっぱり「政府/公的組織に対する信頼」なので、それが一度瓦解してしまうと言葉でどれだけ説得してもなかなか厳しいのが現実でしょう。

 

 ただ、それに対する真堂の返答もまた事実です。

 

「「暴力」それ自体を目的とするような……人とかけ離れた連中がやればプロでも死にます」

 

 今社会を脅かしているのは、「金品の強奪」等の明確な物質的目的を持った輩ではなく、「暴力」すなわち他者への加害行為それ自体が目的化した者達の存在です。

 要するに、これまでは「物質的な目的」を遂行するための一つの手段であった「暴力」が、今や目的へと変貌してしまっている、少なくともそういう歪んだ思想を持った者達が台頭しているという状況です。

 

 真堂の呼びかけに対する「俺たちはもうヒーローには頼れねぇよ」という台詞が個人的には複雑な心境になりました。「頼らねぇ」ではなく「頼れねぇ」というのは、社会のあり方が根本から変わってしまった今、「自分達で身を守れるかは分からないが、それでももうヒーローを信じることはできない」ということなのかなぁと。

 

2.血狂いマスキュラー再び

 

 真堂たちが住民の説得に失敗し、帰路に着こうとしていると、中瓶の携帯電話に「逃げろ!!」という着信が。

 

 この「逃げろ」というの、どういう意味合いなんでしょうか。

 額面的に捉えれば「学生のお前たちじゃ敵う相手じゃないから、プロの現着を待て」ということなんでしょうが、じゃあそもそも現場に学生を送るなよという話になります。

 恐らくですが市民の避難誘導等の災害対応は仮免取得済みの学生等経験の浅い者・戦闘向きではない個性持ちのヒーローに任せ、強個性持ちの敵の制圧にはプロヒーローを派遣するということなんでしょうが、であるならチーム派遣とかの方がいいのかなぁと夢想しました。

 

 なんにせよ二人の前に現れたのは"ダツゴク"と呼ばれる監獄からの脱獄囚、血狂いマスキュラー

 単行本第9巻の林間合宿でヒーロー科1年生を襲った開闢行動隊の一人であり、殺人や暴力に対し興奮を覚える快楽殺人者です。

 

 "個性"はシンプルな「筋肉増強」によるパワーと速さの増強。皮膚下に収まらない量の筋繊維による圧倒的なパワーとスピードは、当時のデクを圧倒し、ワン・フォー・オール100%のスマッシュを受けてもなお平然と立ち上がる頑強さを見せました。

 

 

 要するにめっっっっっちゃ強いです。林間合宿でデクが倒せたのは本当にラッキーで、少しでも運が悪ければ負けていたのはデクの方だと思います。

 

 そのマスキュラーが全身の筋肉を増強させ、市民に牙を剥いているわけですが、対象を「揺らす」個性の真堂ではかなり分が悪そう。

 マスキュラー本人が「1万2千層の筋繊維装甲さ」と述べている通り、単純ながら厄介すぎます。現に真堂の個性では筋繊維の表層を揺らすのが精一杯で、その内側にあるマスキュラーの本体には届いていない。

 

 決死の覚悟で必殺技の「震伝動地」を放つ真堂ですが、それすら装甲を厚くすることで対策されてしまう。まじで強いなマスキュラー。相澤先生の個性で抹消できるか分かりませんが、特に近接戦闘においてはほぼ無敵に近い。単純な殴り合いならどの個性とも渡り合えるし、中距離なら機動力で補えるし、遠距離から対策するくらいしか攻略法がない。

 

3.主人公、臨戦!

 

 真堂の決死の必殺技も通じず、あわや大ピンチというところで割って入ってきた主人公、デク。

 

 うおおおおおお前お前お前お前〜〜〜〜〜

 

 土壇場で主人公が駆けつけるという展開、超王道で最高にアツい。

 しかもデクvsマスキュラーの対決はかつてのリベンジマッチだし、最高すぎませんか?

 

 デクはあの頃より身体許容上限も戦闘スタイルも使用可能個性も格段に増えているし、マスキュラーはマスキュラーで最初から殺意全開モードなので、以前より大迫力のバトルになりそう。

 

 大怪我から復活したデクの戦闘スタイルは以前のままなのか、それとも新しい戦い方を確立させているのか、めちゃくちゃ気になりますね。

 

 

 終章開始早々に激アツな展開が始まりそうで最高です。

 来週が楽しみすぎる。

 

 

 それではまた。

 

 よしなに。