けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【解説】よく分かる無下限呪術講座【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 

 アニメ最新20話、本当に凄まじかったですね。五条の強さが文字通り「規格外」すぎて、一人だけ完全に世界線がドラゴンボール。

 

 そういえばよくよく考えてみると本ブログ、考察記事や感想記事はぽんぽん投げるのに各漫画の解説記事等は全然書いてなかったなということに気づきました。今時どのYoutuberの方も解説動画等をアップされているのに、これはかなり新規読者に不親切だぞということにはたと気付かされたわけです。

 

 というわけで他人のn番煎じとなる解説回です。

 本記事はアニメ勢の方や、「原作を読んだけどよくわからん!」という方向けに書いていますので、原作熟読勢の方からすると恐らくほぼ知っている情報しか出てきません。また、僕なりに原作を読み込んで理解し、噛み砕いて説明することを意識している関係上、僕の解説にも至らない点や間違っている点もあると思います(何せ作者の芥見先生本人も無限級数に関しては誤っていたので……)。なので、数学の世界における概念の扱い方というよりも、作中での描写を元に解説を組み立てていく、という方が正確になりますね。僕もド文系なので。

 

 早速やっていきましょう。以下目次です。先に言っておきますが、若干のネタバレ注意です。ストーリーの展開等には一切触れていませんが一応ご注意ください。

 

1.アキレスと亀

 まず五条悟の無下限呪術を理解する上で最も大事というか、基本的な概念となるパラドックス「アキレスと亀」について説明します。

 

 説明します、といってもこれに関しては文系の僕が文章だけで説明すると怪文書が爆誕してしまうので、例の如く調べ物初心者の強い味方wikipedia先生とgoogle先生の力をお借りしましょう。

 

ja.wikipedia.org

 これに関しては「ゼノンのパラドックス」内の「運動のパラドックス」にて説明されております。

あるところにアキレスがいて、2人は徒競走をすることとなった。しかしアキレスの方が足が速いのは明らか[10]なので亀がハンディキャップをもらって、いくらか進んだ地点(地点Aとする)からスタートすることとなった。

スタート後、アキレスが地点Aに達した時には、亀はアキレスがそこに達するまでの時間分だけ先に進んでいる(地点B)。アキレスが今度は地点Bに達したときには、亀はまたその時間分だけ先へ進む(地点C)。同様にアキレスが地点Cの時には、亀はさらにその先にいることになる。この考えはいくらでも続けることができ、結果、いつまでたってもアキレスは亀に追いつけない。

 

 なるほど、分からん。いや正確には、文字だけだとわかったような気になるけどどういうことか脳内で再現するのが難しい、といった感じでしょうか。

 これに関して軽く調べてみたところ、下記の記事がとてもわかりやすかったので転載いたします。

 

information-station.xyz

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*1
 

 記事から画像を引用すると、上記のような状態を指して「アキレスと亀」というようです。現実世界で考えれば「いやアキレスは亀に追いつくやろ」となる問題ですが、机上の理論でいえばそれが成立します。パラドックスなので。

 

 この、「近づくことはできるが、二者間の距離がゼロになることはない」というのが本記事の前提となる知識、「アキレスと亀」です。次の2~4に関してはこの図を頭の中に入れておいていただけたら幸いです。

 

2.ニュートラルな無下限呪術

 上記の「二者間の距離がゼロにならない」というのを現実で引き起こすのが、アニメ7話での漏瑚戦で披露された五条の術式の基本能力になります。

 漏瑚はこの状態のことを「触れられん、直前で止まる」と言っていましたが、五条は「近づくほど遅くなっている」と述べています。

 ここでは五条を「亀」、向かってくる対象物(今回であれば漏瑚)を「アキレス」に見立ててもらえれば理解がしやすいと思います。

 つまり、この術式発動中に五条に近づく物/者は、どこまで近づいても決して五条に触れることがない、ということです。

 

 これが「ニュートラルな力」です。

 

3.術式順転「蒼」

 では続いて、術式順転「蒼」に関してです。

 その前に「そもそも術式順転ってなんやねん」という話になりますが、これはシンプルに「呪力を自身の体に刻まれた術式に流し、術式を強化して発動すること」だと思ってください。要は普通に呪力を練り上げて普通に術式を発動することです。

 

 この「蒼」は本編・アニメ共に京都姉妹校交流会編が初お披露目となったわけですが、あの描写だけだといまいち分かりづらいと思います。

 

 ここで上記の「アキレスと亀」の図を思い出してください。

 あれを僕は「ニュートラルな状態」と表現しました。

 ではこれを「強化」すると、「アキレス」が、「亀」を追い越してしまう

 本来であれば静止(に限りなく近い状態)するはずのアキレスが亀を追い越してしまうこの状態を、平面的な直線ではなく立体的な空間で行うとどうなるのか。

 

 要するに空間のある一点に、アキレスの速度を急加速させて亀を追い越させる術式が突然発生するわけです。流体力学的(?)に、この術式が周囲の空間・物体に与える力の大きさというのは一定のはずなので、360度全方向にこの力が発生する。

 と、周囲にある物体というのはこの術式目掛けて一直線に加速するので、結果的に「引き寄せる力」となるわけです(多分)。力が同心円状に作用するので、「追い越した物体」に対してもまた別の「引き寄せる力」が働くため、ブラックホールのような力になると考えれば良いでしょうか。

 

4.術式反転「赫」

 では次に術式反転です。「術式反転」と「反転術式」の違いに関してはいずれやります(多分)。

 術式反転の原理や理屈に関しては(単行本に書かれているため)省きますが、ざっくり説明すると「術式の効果・能力を逆転させる」と考えればほぼ問題ないです。

 

 五条の術式反転「赫」は、文字通り「蒼」の効果を逆転させて発動するものです。

 術式順転「蒼」の能力は上記で説明しました、「引き寄せる力」です。

 これを反転、つまりひっくり返すとどうなるのかというと、「弾く力」になります。

 威力に関しては恐らく「蒼」と同様に、力の働くベクトルだけ違うと認識してもらえればいいかと思います。

 

 

 余談ですが、五条が宙に浮いていたり、長距離を高速移動したりしていたのは恐らくこれの応用だと思います。自分自身を弾いて宙に浮かんだり、直線距離を移動したり、ですね。「蒼」の可能性もありますが、あれは術(≒自分の周囲)めがけて吸収するものですから、特に長距離の移動には向いていないと思います。

5.虚式「茈」

 では最後に最難関、虚式「茈」です。

 名前に「虚式」とある通り、これは前述の順転でも反転でもありません。

 アニメ20話では五条の背景で「蒼」と「赫」が混ざり合うイメージが展開されていましたし、名前が「茈(むらさき)」ですから、なんとなく「合体技」なのかなと思っている人も多いと思います。

 

 で、その「茈」がなんであんな絶大な破壊力を生んだのかについて、原作の少ない描写から読み取ってみましょう。「茈」は原作第9巻でも再登場しましたが、その際に五条は「順転と反転、それぞれの無限を衝突させることで生成される、仮想の質量を押し出す」と述べていました。

  

 

 「仮想の質量」????

 

 一瞬脳がバグりそうになりましたが、頑張って読み解いていきます。

 まず前提となるのは、「順転と反転を衝突させる」ということです。

 順転は「引き寄せる力」、反転が「弾く力」だというのは既に解説しましたが、これを「衝突」させると何が起こるのでしょうか。

 

 そもそも「引き寄せる」と「弾く」は、物体の運動に作用する点では同じですが、そのベクトルの向きが真逆です。プラスとマイナス。

 これを一箇所に止めおこうとすると、「蒼」は引き寄せようとするが「赫」は弾こうとする。文字では表しづらいですが、「→←」という状態が一箇所で発生することになります。

 その結果、この(「→←」)地点では引き寄せる作用と弾く作用が常に発生していることになり、状態としては「ゼロ」に近い状態になるのかなと(あるいは膨大なエネルギーが渦巻いている状態)。

 

 ただ、呪力というのがエネルギーの塊である以上、それが増大するということは質量とエネルギーの等価性から考えてもそこにはエネルギーの塊が「ある」ということになります。

 

kotobank.jp

 

 この「エネルギーの塊がある地点」を便宜上「特異点」としますが、そこに同質・真逆のエネルギーが集中した結果、特異点にあるエネルギーが質量を作り出している、と考えると「茈」の作用がなんとなく分かる気がしますね。

 

 つまり「茈」は、「引き寄せる力」と「弾く力」が一箇所で発生した結果「特異点」となり、そこにあるエネルギーの塊が一時的に「質量」に変換されている、ということになります。

 そんなエネルギーの塊を放つわけですから、そりゃ森だって吹き飛ぶよね、って感じですね。

 

 

 

 無下限呪術の解説は以上になります(一応)。

 ただ、前述の通りこれは実際の数学等における無限級数とは異なっているので、あくまでフィクション作品の設定として理解していただければと思います。

 

 他にも思いついたことや解説してみたい術式等があればやっていきたいと思います。

 

 

 それではまた。

 よしなに。