けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】偽夏油の前の器は虎杖の父親だった可能性【呪術廻戦】

Hatena

 ども、けろです。

 先週から今週のわずか1話であり得ないほどのテンポの良さを見せている呪術廻戦、個人的には最高です。間延びや尺稼ぎ、(物語の展開上あまり必要のない)日常パートをそぎ落とし、面白い話だけをギュギュッと濃縮してお届けしてくれるの、メンタルはしんどいけど一人の読者としては最高に楽しんでいます。

 

 さて、というわけで今週号で明らかになったことについてタイトル通りやっていきましょう。先に仮説を述べ、その後に検証していきます。

 

 仮説:偽夏油の以前の器は虎杖の父親であった。

 

 以下目次です。

 

0.はじめに〜偽夏油の発言をおさらい〜

 まず前提となる話として、渋谷事変での偽夏油の発言を挙げておきます。

 

「我ながらと言うべきか、流石宿儺の器、タフだね」

 

 これは虎杖に呪霊による痛烈な一撃を浴びせた後、それでも立ち上がろうとする虎杖に対して偽夏油がかけた言葉です。

 ここで気になるのは台詞の前半部分である「我ながら」です。

 まぁ辞書を引くまでもないですが、語義をしっかりしておくためにも調べてみました。

 

自分が携わった物事において、十分満足できる出来栄え自分で感心するさまなどを意味する表現。あるいは同様に自分自分呆れ返る場合にも用いられる。

 

 やはり「自分が携わる」というニュアンスが含まれていますね。

 この時点で、「虎杖出生に偽夏油が関わっているのではないか」という説が浮上したわけです。以前から虎杖の膂力・身体の異常な頑強さは注目されており、人工天与呪縛説や呪胎九相図の十体目説などがまことしやかに囁かれていました。

 それが現実味を帯びてきたというか、一気に地に足ついたなと感じたのがこの台詞です。ちなみにこれは週刊少年ジャンプ2021年3・4合併号掲載の第133話です。

 

1.偽夏油の術式の条件

 次に、偽夏油の保有する術式についてです。ここでいう「術式」とは、彼が夏油傑の体を乗っ取って手にしたであろう幾百の術式のことではなく、彼本来の術式、つまり「脳を入れ替えることで肉体を転々とすることを可能にする術式」です。

 これに関しては特に深堀する必要もないとは思いますが、彼の術式は文字通り「現在の肉体から異なる肉体へ転生することができる」ものです。人間の脳の生物学的な寿命は120〜150年ほどですから、まぁそういうセオリーの外側にいるというのは前提になります。

 彼の術式発動において必要となる条件は、シンプルに「肉体」です。それも恐らくですが、肉体として一度死んでいる必要があります。というのも、流石に生きている人間を前にして脳の入れ替えを実行しようとすれば、その人間に抵抗されてしまうからです。あるいはその人間が入れ替えを受け入れればその限りではないかもしれませんが。

 そういう意味では若干NARUTO大蛇丸を彷彿させますね、偽夏油は。実質不老であり、数々の実験を繰り返してきましたから。

 

2.脹相の発言と虎杖の表情

 時間軸を現在に戻します。

 最新第139話にて、脹相は虎杖に対して「思い出せ、あったハズだ。オマエの父の額にも縫い目が」と訊ねています。この「縫い目」こそ、頭部を切り開き、対象の脳を取り出す際についてしまう傷跡ですから。

 それに対して虎杖の回答は(直哉の乱入により)なく、虎杖の表情が描かれたのみでした。この表情、個人的には「驚愕」に見えるんですよね。目を見開いているし、言葉を失っているように見えるので。

 だとするならこの虎杖の表情は「何故それを脹相が知っている…?」という驚きが含まれたものです。

 彼自身、父親の記憶は「うっすら覚えている」程度と口にしていますが、父親の顔に大きな傷があれば覚えていても不思議ではありません。

 

3.時間軸を整理する

 だとすると一気に恐ろしくなってきます。

 というのも、偽夏油が夏油傑の肉体を手に入れたのは作中時間軸で1年前、単行本0巻の話です。つまりそれ以前の彼は別の肉体を器として生きていたことになります。

 また、脳を入れ替えているにも関わらずその肉体の持ち主の記憶が彼自身にも流れ込んでいることからも、肉体を乗り換えた後も元の肉体の人間として社会生活を送ることも可能なようです。

 偽夏油は脹相の発言から明治時代に暗躍した最悪の術師・加茂憲倫を器としていたことも判明しています。明治は1868年〜1912年の期間を指す元号ですから、現代の時間軸とはおよそ100〜150年以上前ということになります。

 つまり何が言いたいかというと、加茂憲倫と偽夏油の間に、少なくとも2人以上の器があったということになります。

 

 となると、偽夏油となる直前の器が虎杖の父親だったとすると、前述の偽夏油の「我ながら〜」発言とも一致します。彼はまさに自分が父親という立場で、虎杖出生に関わっていた可能性があるわけです。

 

 彼が母親の記憶を持っていないのは、虎杖出産時に亡くなっている等でしょうか。母親を覚えておらず、父親を覚えているからには両親が同時に失踪したとは考えられないので。

 

 そう考えると、偽夏油の目的や、虎杖の異常な身体能力にも説明がつきます。

 宿儺復活を目指すためには、指の受肉に必要な肉体、器を用意する必要があります。ですがこれは1000年間生まれていないと五条が述べています。

 それを人工的に作り上げた結果、虎杖悠二は異常な身体能力を手にしていたというわけですね。

 

4.余談〜虎杖悠仁黒崎一護の符合〜

 ここからは考察の本筋からは少しズレる余談になります。

 虎杖悠仁が偽夏油によって生み出された特異的な存在であるとすると、彼は虎杖のことを出生当時から知っていたことになります。知っていた上で彼に宿儺の指を食わせ、呪いの王復活を目論んでいる。言わば虎杖は偽夏油の大義・目的遂行の過程で生み出された存在ということになります。

 

 これとよく似た主人公がいるんですよ。黒崎一護っていうんですけど。彼は藍染惣右介の実験によって生まれた虚・ホワイトが母である真咲を襲い、虚化させた結果生まれた存在です。それによって藍染は一護のことを生まれる以前から知っていたことになりますね。

 

 藍染と偽夏油の符合に関しては以前下の記事で取り上げましたが、ここにきて主人公にも符合というか、オマージュ要素が見えてきましたね。愛がすごい。

 

kero-entame-channel.hatenablog.com

 

 

 虎杖の両親等に関しても今後明かされていくでしょうから、その時にまたまとめたいと思います。

 

 

 それでは。

 

 よしなに。