けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】尸魂界編との符号と、渋谷事変後の展望【呪術廻戦】

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 ども、けろです。

 早速やっていきましょう。

 以前下記の記事でも取り上げましたが、呪術廻戦は多くの王道少年漫画を下地に作られています。

 

kero-entame-channel.hatenablog.com

 

 特に顕著に見られるのがNARUTO、HUNTER×HUNTER、BLEACHの三作品でしょうか。主人公周辺の設定や呪術にまつわるルール、及び世界観の骨組みにこれらの作品に精通する設定が見受けられます。

 くどいようですが、僕はこれらのオマージュに全面的に賛同しています。たまに問題になるトレースやパクリとなると別ですが、知っている人がフフっとなるようなオマージュはとても良いと思います。武道とかでよく聞く「守・破・離」の原則ですね。王道の良い部分は取り入れ、自分のオリジナリティを足して新しい作品に昇華する、素晴らしい流れです。

 

 さて、作者の芥見下々先生は、前述のBLEACHから多大な影響を受けていると公言しています。

 それを前提にして本考察を読んでいただければと思います。

 

 

1.藍染惣右介≒偽夏油

 仮説:偽夏油のキャラクター像は藍染惣右介を下地に作られている。

 

 既に上記に貼ったリンク内でも解説していますが、BLEACH作中で登場する藍染惣右介と、呪術廻戦作中で登場する偽夏油の設定には相似が見られます。

 以下の流れで検証します。

 

1-1.目的

 

 まず藍染の目的ですが、彼は崩玉を用いて王鍵を作成し、霊王を殺すことを目的としていました。より正確には霊王を殺し、世界の姿形を新たにすることを目指していました。既存の世界の枠組みの変革ですね。

 

 では対する偽夏油ですが、彼の最終目的はいまだに明かされていません。ただ、その前段階として彼は「混沌」をもたらそうとしていました。これ自体はあくまで前段となる手段ですが、それでも彼が既存の世界のあり方・その枠組みに疑問を抱いていたのは間違いがないと思われます。

 

1-2.これまでの歩み

 

 藍染は尸魂界に反旗を翻す以前から、虚や複数の死神と結託し、暗躍していました。その過程で平子ら隊長副隊長数名を虚化実験に巻き込み尸魂界から追放したり、自作の崩玉を用いて破面を生み出していたりしました。要は「第三勢力と手を組んでいた」ということです。

 

 では偽夏油はというと、彼も千年ほど前から呪霊や呪詛師らと契約し、現在の時間軸で東京都内に一千万の呪霊を放ちました。これも同様に、「影で暗躍し、第三勢力と結託していた」ということになります。

 

1-3.終章時の立ち去り方

 

 では最後に、尸魂界編と渋谷事変編のそれぞれの終幕時、藍染/偽夏油の立ち振る舞い方・立ち去り方はどうでしょうか。

 

 藍染は「崩玉」という規格外の宝具(より正確には秘術によって生み出された人工物)を朽木ルキアの体内から取り出すことに成功し、周囲の死神達の包囲から逃れ、天から顔を覗かせる虚らの元へ消えていきました。

 

 偽夏油は、「獄門疆」という特級呪具(しかも五条悟という味方陣営最強人物を封じている状態)を持ち、大量の呪霊を放って周囲の術師から逃れて消え去りました。

 このどちらも、「主人公側が渡してはいけないものを持ち去った」ということになります。

 

2.vs白哉戦≒vs真人/偽夏油戦

 

 ただ、前段だけだとただの偶然の一致の可能性もあります。どちらもカリスマ性のあるキャラクターですし、作中で主人公勢最大の敵であるため、単にそういったキャラクターを作り上げた結果似た人物像になった、という可能性もあります。

 

 ではここで、尸魂界編ラストバトルである黒崎一護vs朽木白哉と、渋谷事変編ラストバトルである虎杖悠二vs真人/偽夏油の描写を見ていきます。

 以下の二点に分けます。

 

2-1.それまでの戦闘

 

 この二つのバトル、細かなところまで見ていくと異なる戦闘シーンが多々ありますが、大枠で見ると似通っている点があります。

 まず一護vs白哉も、虎杖vs真人も、そのどちらも二度対峙しています。

 前者であれば現世で一度、(より正確にはルキアの捕らえられている場で一度だけ交戦状態になりますが、その場はすぐに終わりました)双殛の丘で一度の計二回です。

 対する虎杖vs真人は、里桜高校で一度、渋谷で一度の計二回になります。

 

 各編での主人公vsボスキャラの対峙の仕方にも共通点があるように思えます(まぁB LEACHの場合、一護は最初の戦闘時手も足も出せないまま瞬殺されてしまいましたが……)。

 

2-2.ラストシーン

 

 ではラストバトル、尸魂界編でいえば白哉卍解披露シーン、渋谷事変編では(真人が偽夏油に取り込まれた後の)偽夏油の呪霊操術使用シーンを見てみましょう。個人的にはこれを取り上げるためにこの記事を書いたようなもんです。(本当ならもっと早く書きたかったんですが、ブログのPVが安定するまでちょっと温めようかなと思っていたので……)

 

 まず前者、白哉が卍解し、一護に痛烈な一撃を浴びせたシーンです。

 

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 回避不能の全方位攻撃を見に受け、地面に叩きつけられた結果血塗れで倒れ伏す主人公・一護を描いたシーンです。

 では続いて虎杖vs偽夏油のワンシーンから。

 

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*2

 

 どうでしょうか。まぁ正直BLEACH読んでいる人であれば気が付いた人も多いかもしれませんが……

 偽夏油の呪霊操術による攻撃を受け、地面に叩きつけられて倒れ伏す虎杖。全身を切られて倒れ、そこから起き上がろうとする姿は、一護と完全に符合しますね。僕はジャンプを読んでいてこのシーンを見た時、ガチで叫びました。完全に変態。

 

3.ストーリー展開の主軸

 

 これはやや蛇足気味というかほぼ偶然に近いものを無理矢理考察の材料に使っただけになりますが、BLEACHの尸魂界編までの流れと呪術廻戦の渋谷事変編までの流れがやや似ているように思いました。

 尸魂界編はBLEACH初の長編ストーリーで、潜入編が単行本10巻からになります(正確には9巻の時点で既に尸魂界に突入はしていますが、瀞霊廷内に突入したのは10巻からです)。それまでのストーリーは、死神代行編という大枠の中でシュリーカーやグランドフィッシャー、メノスグランデとの戦闘とその背後にある人間模様やドラマの短編がいくつか描かれました。

 

 では翻って呪術廻戦ですが、渋谷事変編は宵祭り編のあと、単行本10巻から始まった長編になります。それまでの話はというと、幼魚と逆罰編や姉妹校交流会編、五条過去編等の短編〜中編ほどのストーリーを挟んでいました。

 

 細かなストーリーを積み重ねた後の長編での盛り上げ、この流れもちょっと似ているな、と。まぁジャンプで連載する少年漫画はどれも人気を確立するまでは色々なストーリーを展開し、確固たる人気を得てから作者が描きたかったストーリーを長編で展開することが多いですから、これに関しては偶然の一致でしょう。

 

4.今後の展望

 

 ですが、これまで見てきたように尸魂界編と渋谷事変編は、その物語の大枠やボスとなるキャラクター像、そのラストバトルにおける構図の類似性から、作者が下地としている可能性が大きいと思われます。

 

 であるなら、各漫画のボスである藍染と偽夏油の類似から、もしかしたら今後のストーリーを予見できるかもしれないな、と。

 

 BLEACHの尸魂界編ののちに破面編があり、それが作中最長編となりました。

 まぁ渋谷事変後のストーリーが同様に長くなるとは言いませんが、作中の設定というかキャラクターのオマージュはあるのかもしれません。

 例えば破面編では少年漫画の王道とも言える「階級が刻まれた敵幹部」が登場しました。加えてその敵は、藍染が手を加えて作り出した精鋭兵でした。

 これをオマージュするのであれば、呪物を取り込んだ人間を丸め込むとか、呪霊と徒党を組んで組織化すれば同様のことが可能になります。階級によって組織化された呪霊・呪詛師幹部、激アツですね。

 

 ただしばらくは乙骨や直哉とのストーリーが描かれるでしょうから、あり得たとしても少し先になるかもしれません。

 個人的には虎杖逃亡編からの御三家の深堀やアイヌ呪術連あたりが描かれるとめちゃくちゃアツいです。

 

 展望に関する考察としては少し雑になりましたが、今回はここら辺で。

 

 それでは。

 

 よしなに。

*1:引用:久保帯人『BLEACH』第19巻、集英社、p61-62

*2:引用:芥見下々『呪術廻戦』「週刊少年ジャンプ」2021年3・4合併号、集英社、p83-84