けろの漫画雑談所

漫画の感想・考察・妄想の集積所です。主にジャンプ作品についてだらだらと語ります。

【考察】偽夏油の正体、「羂索」に与えられたキャラクター像とその皮肉さ【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 情報量で脳が死んだ呪術廻戦最新145話、おかげさまで考察の宝庫でした。

 というわけでまずは偽夏油の正体である「羂索」について、その元ネタを探るとともに、彼に与えられたキャラクター像について考えていこうと思います。

 

 それではやっていきましょう。

 

1.「羂索」の名前の由来

 

 まずそもそも「羂索」という耳慣れない単語について、天下の Google先生に教えてもらうことにしました。

 

 すると出てきたのは下記のような説明でした。

 

《「羂」はわなの意で、もと、鳥獣をとらえるわなのこと》5色の糸をより合わせ、一端に環、他端に独鈷杵 (とっこしょ) の半形をつけた縄状のもの。衆生救済の象徴とされ、不動明王・千手観音・不空羂索観音などがこれを持つ。

羂索(けんさく)の意味 - goo国語辞書

 

 呪術廻戦では「けんじゃく」という読みでしたが、別の読み方で「けんさく」というのもあるようですね。これは読み方の違いなので意味に差異はありません。

 

 どうやら「羂索」というのは縄状の道具を指すらしいですね。 

 というか調べたらAmazonにありました。まじでなんでもありだなAmazon。

 

 

  辞書の説明にもあるように、これは不動明王や千手観音といった、仏教における崇拝対象が手にする道具のようです。

 

 その中でも「不空羂索觀音」という名前がひっかかりました。同じ「羂索」の名を冠した観音像。恐らくこれが偽夏油の中の男である羂索のモチーフになっていると考えて良さそうです。

 

f:id:kero_0441:20210412130547j:plain

*1

 

2.仏教における不空羂索觀音の立ち位置

2-1.不空羂索觀音に込められた意味

 

 そこで「不空羂索觀音」についてWikipediaで調べてみると、以下のような記述が出てきました。

 

尊名の「不空」とは「むなしからず」、「羂索」は鳥獣等を捕らえる縄のこと。従って、不空羂索観音とは「心念不空の索をもってあらゆる衆生をもれなく救済する観音」を意味する

不空羂索観音 - Wikipedia

 

 「衆生」つまり人間や他の生き物といった生命全てを救済する觀音としての位置付けられる立ち位置のようです。

 

2-2.六観音、六道における不空羂索觀音の位置付け

 

 そしてどうやらこの不空羂索觀音、六観音に数えられる一体のようで、六観音はそれぞれが六道に対応しています。六道というのは餓鬼道や畜生道や天道や人間道といった厨二病定番のアレです。

 

 不空羂索觀音はその中でも「人間道」に対応する觀音であり、人間道とは我々が今生きているこの世界を指しています。

 

 つまり羂索の元ネタとして考えられる不空羂索観音は、「衆生を救済する」という目的があり、人間道に対応した観音像である、ということです。

 

ja.wikipedia.org

 

kotobank.jp

 

3.六道における「人間道」の意味と、不空羂索観音の役割

 

 では翻って「人間道」のそもそもの意味を考えていきましょう。

 

 人間道とは我々人間が住む世界のことであり、四苦八苦に悩まされる世界ではあるものの、楽しみもあるとされる世界のことです。

 苦しみの代表格は戦争や病気、飢饉や天災等でしょうか。逆に楽しみというと、日々の食事や結婚、家族に囲まれた生活等々が挙げられると思います。

 

 この人間道を担当する不空羂索観音は、そもそもの由来が「衆生を救済すること」でした。

 

 つまり不空羂索観音は、俗世で苦しみ、悩む市井の民を導き、救済する存在であるということです。

 

4.モチーフから考える、偽夏油・羂索に与えられたキャラクター像

 

 これらの情報をまとめると、偽夏油の中身である羂索という人物に与えられたキャラクター像というのが浮かび上がってきます。

 

 彼は衆生、つまり非術師を現世から救済し、新たな生き方(≒世界)に導こうとする人物であり、そのモチーフとしてメタ的に不空羂索観音の名が与えられている、ということです。

 

 故にその名を初めて知った九十九は「慈悲の羂、救済の索か……皮肉にもなっていないね」と口にした。

 周囲の人間から見れば羂索のやろうとしていることはエゴに満ちた行動に他ならず、それが救済とは真逆の大量虐殺であるからです。

 

 自分本位な理由と独善的な大義で人々と社会を混沌に陥れた人物に与えられた名が「衆生を救済する存在」と同じなのは、確かに皮肉にも程があると言えそうです。

 

 

 さて、羂索の元ネタに関しては以上となります。

 

 彼の目的が天元と人類の同化であることは明かされましたが、その先にある世界を作って何を成そうとしているのか、その最終目的は未だはっきりしませんね。

 

 その目的が明らかになるのを待ちながら、本格化する死滅回游を楽しみましょう。

 

 

 それではまた。

 

 よしなに。

【感想】第145話_明かされる偽夏油の目的、そして性癖にぶっ刺さる新キャラ登場【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 今週のジャンプは待ちに待った呪術廻戦掲載号です。前回は天元との邂逅を果たしたところで終わっていて、1週休載を挟んでいたのでめちゃくちゃヤキモキした一週間でした。

 

 と思っていたら今週号は前回を上回るほどの情報量で頭が無事バグったので、一つ一つ整理しながら感想を書いていこうと思います。なお詳しい解説や考察については後日別記事を数本に分けて書いていこうと思います。

 

1.偽夏油の正体が遂に明かされる

 

 これまで謎に包まれていた偽夏油、もといメロンパンの正体が天元によって遂に明かされました。

 名を羂索(漢字出てこなさすぎた)。

 「羂」には「わな・あみ、くくる・つなぐ」といった意味があり、「索」には「なわ・つな、もとめる」といった意味があるようです。

 

 この名前の元ネタ等については後日解説記事をあげますが、個人的には「羂索」という名は彼の本名ではなく、両面宿儺のような異名だと思っています。というのも「羂索」は菩薩や観音像が持つ縄のことであり、転じて不空羂索観音という観音も存在します。

 生まれた時からその名前だったというよりも、むしろ彼が活動を始めてからついた名前だと考える方がスッキリしそうです(自称か他称かは分かりませんが)。

 

 体を入れ替え、時を超えて暗躍する羂索。

 最低でも1000年前から暗躍する彼の本当の名、そして本来の容姿とはどんなものなのか、個人的にめちゃくちゃ気になりました。

 

 あと登場して2話目でめちゃくちゃ喋ったり喜怒哀楽の表情がわかりやすい天元様、ちょっと人間味があって好きです。目は4つあるけど。

 

2.要は人類補完計画ってことで合ってる?

 

 ここからの情報量が多過ぎて脳が無事死んだんですが、要するに偽夏油改め羂索の目的は人類補完計画ということで合ってますか?

 

 全ての人間を天元と同化させ、その上で全ての人間を強制的に進化させる。その先にあるのは「個」を失い、「概念」としての存在に昇華した人類。その状態を「生きている」と呼べるのかは疑問が残りますが、「不死」の天元と同化するからには同化後の人類は皆不死になるのではないでしょうか。

 

 「個」としての人間ではなく、「概念的な存在」としての人間を作り上げようとする羂索。エヴァの人類補完計画がリフレインしました。

 

 いや話むっっっず。まじか。これ19ページの情報量じゃないよ冷静に。

 HUNTER×HUNTERとかデスノートの文量よ。

 

3.五条悟復活の可能性について

 

 そして明らかになった「獄門疆・裏」

 

 要するに獄門疆内部の封印空間に繋がっているもう一つの扉、ということですね。

 ただこの扉を開閉できるのは表の所有者である羂索のみとのこと。

 

 じゃあなんで表と裏があるのって話なんですが、ドラえもんのスペアポケットみたいなものかなと。表が何かしらの理由で封印されたり破壊されたりしても、裏の方から扉を開ければ中に封印したものを取り出せるので。

 

 獄門疆はそれ自体に結界術が宿っているようで、かつて登場した「天逆鉾」やミゲルが使っていた「黒縄」等の術式効果を破壊する呪具を使えば封印が解除できるとのこと。

 

 というかここにきてまたミゲルの株が上がっているんですが、本編で未だに登場していないのにこれほど読者からの期待値が上昇しているキャラクターも珍しいですね。まぁミゲルはキャラデザ等も人気でしたし。

 

4.天使ちゃんのキャラデザが性癖に刺さりすぎてる

 

 最後の最後で登場した天使ちゃんこと来栖華。頭には天使の輪っかが浮かんでるし背中からは羽が生えているし手にはラッパを持っているし、何より内巻きボブが可愛すぎる。

 

 何が言いたいかというと、

 

 

 新キャラが性癖に刺さりすぎる!!!(米倉涼子)

 

 

 多分これラッパを吹いて攻撃するタイプの術師じゃないですか。おまけに(原理は謎だけど)空飛べるようですし、タートルネック風の服装も良すぎる。

 これまでずっと和テイストで進んでいた呪術廻戦に突如として現れた「天使」という洋風テイスト。めちゃくちゃいい。

 

 来週以降このキャラが動いたり喋ったりするのが今から待ちきれません。

 1000年前の術師ですし、恐らく羂索と契約していた側でしょうからすぐに味方になるとは考えにくいですね。ここら辺もどうなるのか楽しみ過ぎます。

 

 

 それではまた来週。

 

 よしなに。

【感想】夏油傑の「私達は最強なんだ」発言に思うこと【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 呪術もヒロアカもない週がようやく終わるということで、希望の光が見えてきました。生きていけます。

 

 今までは【考察】では考察記事を、【感想】では各話に対する感想をそれぞれ書いていたんですが、それだけだと掬い切れないトピック、もといクソデカ感情が残ってしまいます。要約するとクソデカ感情が行き場を失って暴れてしまいます。

 

 というわけで各トピックとか、色々な作品を読んでいて抱いたクソデカ感情をちょろっとの考察を含みながら綴っていきます。Twitterで140字には収まらなかった感情の掃き溜めです。

 

1.「私達は最強なんだ」から感じる夏油達の「自負」

 

 単行本8、9巻で描かれた懐玉編・玉折編における五条達と天内理子の関係性、その中で天内理子の選択を尊重しようとする夏油が微笑みとともに放った一言。

 

「私達は最強なんだ。

 理子ちゃんがどんな選択をしようと、君の未来は私達が保証する」

 

 この言葉は、確かに夏油と五条が特級術師であることを鑑みると妥当な発言ですし、彼らならきっと誰が相手でも天内理子を守ってくれるのだろうという安心感を与えてくれます(まぁ甚爾によって殺されてしまいましたが……)。

 

 夏油はかなりの人格者です。五条があんな感じなのでその分しっかりしなきゃいけなかったというのもあると思いますが、それを差し引いても彼はかなりしっかりしている人間で、発言もきちんとしたものばかりです。

 その彼が自身を指して「最強」と呼称したのは、天内を安心させるための方便というよりも確固たる自負があるからじゃないかなと。

 

 彼らは無下限呪術・六眼持ちと呪霊操術使いという、客観的に見ても第三者からの(術師の等級としての)評価を見ても、明確に「最強」だと思います。

 

 ただ、「客観的に彼らが強者であること」「自分自身を最強だと自覚すること」は異なるのではないか、と。

 

 

 当時の彼らは高校2年生、年齢に直すと16〜17歳の子供です。

 実力面で言えば確かにそこら辺の大人が束になっても敵わない術師ですが、精神面で言えばまだまだ途上の子供であることを、他者は自覚しなければいけないのだろうとも思いました。

 

2.「特異な扱い」を受けていた五条・夏油と、「子供扱い」された虎杖

 

 そういう意味で、五条と夏油に対して「対等な立場」で接することができる人物というのは当時いなかったのだろうなと思います。

 

 精神面がまだ未熟であるにも関わらず実力が先行してしまったが故に、彼らにきちんと矯正したり道を正す立場の人間がいなかった。唯一夜蛾学長だけは彼らに目をかけていましたが、それでも十分足り得なかったのだろうなぁ。

 

 要するに五条・夏油の2人は高専の内外から「特異な術師」として扱われていて、彼らに「子供」として接してくれる人というのはいなかったんでしょうね。

 

 それと対比になっているのが本編主人公・虎杖だなと。

 彼は特級呪物・両面宿儺の指を受肉し、天性のフィジカルも相まって類まれな戦闘力を誇ります。宿儺を取り込んでいる時点で(京都校の面々のリアクションにもあったように)彼は「化け物」として扱われてもおかしくなかったはずなのに、彼の周囲にいたのは彼を「友人」「後輩」「教え子」として等身大の接し方をしてくれる人たち。

 

 極めつけは七海健人の発言です。

 

「ナメるナメないの話ではありません

 私は大人で君は子供。私には君を自分より優先する義務がある

 

 ナナミン〜〜〜〜〜(泣)

 あんたが虎杖の側にいてくれる大人で本当によかったよ〜〜〜

 

 というクソデカ感情はさておき、虎杖が腐らずに高専での日々を送ることができたのはこういう「子供扱いしてくれる大人」がすぐそばにいてくれたからだなぁとしみじみ思います。

 

3.夏油を歪ませてしまった要因

 

 夏油傑が闇堕ちしたのは、守る対象だった天内理子が目の前で殺されたこと、天内理子の死を盤星教の信者達が笑顔で迎えているのを見てしまったこと、そのことで葛藤していた最中に「非術師の虐殺」を九十九に肯定されたことや幼い少女が迫害されていたこと等々、挙げればキリがありませんが、個人的には「それをすぐそばで止めてくれる人がいなかったこと」が一番の要因だと思っています。

 

 五条と夏油が独りで任務に出向いていた時、蛆のように湧いた呪霊を夏油が懸命に祓っていた時、「無理するな」と声をかけてくれる人がいたら、きっと彼は踏みとどまっていたんじゃないでしょうか。

 

 もうね、こういうことを考えると苦しくなってしまいます。

 どんなに考えても過ぎたことですし、夏油の死は覆しようがない事実ですが、どこかで何かが違っていたら、きっと彼は今も術師を続けていたし、あわよくば高専の教師として教鞭をとっていたのかなぁと。

 

 

 

 という、行き場のないクソデカ感情です。

 

【考察】サブタイトルの意味_2巻編【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 以前、単行本第1巻のサブタイトルの意味考察をやりました。

 今回はその続き、第2巻におけるサブタイトルの考察・解説回になります。

 それではやっていきましょう。いつかBLEACHもやります。全74巻ありますが。

 

f:id:kero_0441:20210408110153j:plain

 

1.第8、9話『呪胎戴天』

 

 これに関しては1巻の続きとなるサブタイトルですので、ここでは深い考察はしません。

 ただやはり、この言葉には本来の四字熟語「不倶戴天」の意味が込められていると思っています。

 

 それはつまり、「人間と呪霊は、同じ天の下では生きていけない」ということです。作中でも人間と呪霊というのは常にどちらが生き残るかという生存競争を繰り広げる関係であり、それ以上でもそれ以下でもありません。そこにあるのは、純然たる殺意と同族嫌悪だと、僕は思います。

 

 だからこそ、この話で「人間」である伏黒は生き残り、「呪物を受肉した」虎杖は死んだ。そういう意味もあるのでは、と。

 

2.第10話『雨後』

 

 少年院編で降り続いていた雨が止み、場面は転換。

 特級呪霊を引き連れてファミレスに現れた夏油傑、伏黒・釘崎の前に現れる東京校2年生の面々

 

 「雨後」の意味は文字通り「雨上がり」です。

 物語における「雨上がり」というのは、「新たな物語の始まり」を意味する舞台装置としての側面があります。

 現実世界でも雨上がりというのはどこか晴れやかな気持ちというか、これまでとは異なる気分を齎しますから、それを象徴するサブタイトルと言えそうです。

 

 物事が相次いで現れることの例えとして「雨後の竹の子」という言葉もありますしね。

 

3.第11話『ある夢想』

 

 この回は、2話前で死んだ虎杖が早くも復活するというスピーディーな回でした。

 「夢想」とは「夢に見ること」を意味し、ありもしない(=現実反した)ことを思い描くことです。

 

 第11話で登場した「夢」とは、恐らく宿儺の描く「契闊」のことでしょう。現実問題、虎杖に受肉したままでは野望を達成できない宿儺が、虎杖との"縛り"をその足掛かりにした、という意味でしょうか。

 

 もう一つ考えられるのは、偽夏油と漏瑚との会話で出てきた「五条悟の封印」も指していると考えられそうです。

 五条悟は公式チートですから、その封印と試みるというのは確かに「夢想」と言えますね。

 

4.第12話『邁進』

 

 復活した虎杖が五条の下修行を開始する回。もっと強くなろうと邁進する彼の姿勢を表しています。

 

 また、虎杖のことを死んだと思っている伏黒達もまた、己を鍛えるために邁進しています。

 それぞれのキャラが現状を打破してより強くなることを志す、各キャラの心情を表したサブタイトルです。

 

 余談ですが、この物語の冒頭で登場した「バイトバックれお兄さん」も新しいバイト先で邁進しているようですね。頑張ってほしい。

 

5.第13話『映画鑑賞』

 

 虎杖の修行方法として選ばれたのは、学長特製の呪骸を持ちながら映画鑑賞をするという、ジャンプの中でも特異な方法でした。

 この映画三昧の日々が後ほど彼の交友関係にも関わってくるので、因果だなぁと感じます。

 

 このサブタイトルに関しては特段大きな意味はないと思われます。映画鑑賞がんばれ虎杖。

 

6.第14話『急襲』

 

 一方で、五条悟の前に現れた特級呪霊・漏瑚。獄門疆を蒐集に加えるため自ら五条を殺そうと動いた彼と、特級術師・五条の一戦を描いた回です。

 

 といっても五条と漏瑚の実力に差がありすぎて勝負というか一方的な殺戮でしたが、それでも漏瑚は頑張ったと思います。お疲れ漏瑚。

 

7.第15話『領域』

 

 端的にこの話を表しているサブタイトルだと感じました。

 特級呪霊・漏瑚の領域展開、特級術師・五条悟の領域展開という、互いの術式の極地のぶつかり合い、呪術戦の頂点

 

 物語序盤の中でも屈指の盛り上がり回だと思います。

 この回はアニメで超美麗な作画で描かれ、Twitterで話題になりました。

 

 やっぱり五条悟の領域展開「無量空処」はどう考えてもチートすぎるし、サブタイトルとしての「領域」はまさにそれを冠したものと言えるでしょう。

 

8.第16話『情』

 

 2巻最終話となる第16話。

 瀕死の重傷を負った漏瑚を特級呪霊・花御が救出に来ることを表したサブタイトルだと言えます。

 加えてこの回は新たな特級呪霊・真人の登場、伏黒・釘崎の目の前に京都姉妹校の変態ゴリラ東堂・禪院真依が現れました。

 

 単行本の第2巻というと序盤の締めくくりとしての位置付け的な側面がありますから、その最終話で次々と新たな展開を詰め込んでくるのはとても良いと思います。

 

 これは第3巻以降で明らかになったことですが、この「情」というサブタイトルは東堂のことも表していると言えます。

 好きな女のタイプを伏黒に訊ねた東堂ですが、彼はそのことについて以下のように述べています。

 

「一目見た時から分かってた。あぁコイツは退屈だと。でも人を見た目で判断しちゃあいけないよな。

 だからわざわざ質問したのに、オマエは俺の優しさを踏みにじったんだ」

 

 この台詞を要約すると「問答無用でぶっ飛ばしてもよかったが、せめてもの情け・礼儀を払う必要がある」ということになります。

 これがまともかどうか、妥当かどうかは置いておくとして、これは東堂なりの「情」の向け方</span.であることが分かります。

 

 仲間である漏瑚を助けようとした花御と、同じ呪術師である伏黒をぶっ飛ばそうとする東堂。どっちが人間らしい行動かは賢い読者の皆さんならわかると思います。

 

 

 

 2巻のサブタイトルの意味考察については以上となります。

 3巻以降はこれまた難しいサブタイトルもありますから、そのうちやっていこうと思います。

 

 それではまた。

 

 よしなに。

 

 

 

【考察】虎杖が高専に出戻りしてもバレなかった理由【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 ジャンプに呪術廻戦が載っていないというだけで一週間の心持ちが大分違いますね。これは良い意味と悪い意味の二つがあります。毎週の楽しみがないという悲しさと、怒涛の展開に心を掻き乱されない安堵感という、複雑心境のまま週半ばを生きています。

 

 というわけで久しぶり(?)の考察パートです。

 

 ジャンプ16号第143話にて、虎杖に高専に戻るよう進言した伏黒が、以下のように述べていました。

 

「今高専の結界は緩んでる。直接顔を見られない限りオマエが戻っても問題ねぇ」

 

 当たり前のように語られていて多くの方がスルーしてしまったのではないでしょうか。

 以前第143話についての感想記事の方でも軽く触れましたので、この機会におさらいしておこうかなと思います。

 

1.高専の結界の役割

 

 そもそもの前提として、「高専の結界」とはどのような役割を果たしているのでしょうか。

 「高専の結界」の役割に関して、本編及び公式ファンブックにおける描写をそれぞれ抜き出してみましょう。

 

姉妹校交流会にて、侵入者の気配を察知した教員達のシーン

夜蛾「未登録の呪力でも札は赤く燃える」

歌姫「外部の人間…侵入者ってことですか」

冥冥「天元様の結界が機能してないってこと?」

 

ー芥見下々『呪術廻戦』第6巻、p.28より

 

天内理子を高専に連れてきた五条達のシーン

夏油「高専の結界内だ」

(中略)

夏油(馬鹿な!!ここは高専結界の内側だぞ!!)

 

ー芥見下々『呪術廻戦』第8巻、p.189-191より

 

夏油の呪霊操術に関する補足ページ

「高専結界内で未登録の呪力が発生するとアラートが鳴ります」

ー芥見下々『呪術廻戦』第9巻、p.26より

 

呪術高専に関するファンブック説明

「東京都都内某所ながら、都内とは信じがたい程の奥地、"筵山麓"。山間を抜けると、大きな山2つ分の敷地内に立ち並ぶ荘厳な寺社仏閣に目を奪われる事だろう。これが東京都立呪術高専の敷地である。

 しかしながら前述の寺社仏閣は、そのほとんどがハリボテ。そして天元の「結界術」によって、日々配置を替えている」

 

ー芥見下々『呪術廻戦公式ファンブック』p.129

 

 ファンブックの説明に関しては本編でも語られたので、そちらの抜粋は省略します。

 

 上記の情報をまとめると、高専に張られた結界というのは、

1.特定の呪力を感知し、アラートを鳴らす

2.危険度の高い呪具や天元の鎮座する薨星宮への道を隠す

 の2点の役割があることが考えられます。

 

 今回はこの1点目、呪力感知がメインになります。

 

2.高専の結界の担い手

 

 ここはサラッとしたおさらいになりますが、高専の結界というのは天元によって張られ、管理されているものになります。

 

 この点に関してはファンブックでも取り上げられており、

 

「呪術高専を始めとする国内主要結界、その他多くの「結界術」全てが、天元の力によって強度を底上げされている(後略)」

 

ー芥見下々『呪術廻戦公式ファンブック』p.127より

 

 と明確に述べられています。

 国内主要結界や補助監督の結界等に関してはここでは触れませんが、呪術高専の結界もまた天元によって張られ、管理されていると考えていいでしょう。

 

 また、前述の抜粋では「未登録の呪力」に対してアラートが発動する仕組みでしたが、この仕組み自体は恐らく変更できると思います。どの呪力を登録し、どの呪力を登録しないのかについては結界が張られた時点でどうこうできるものではないため、感知させる呪力については高専側が任意で選べると思われます。

 

3.渋谷事変以後の結界の現状

 

 さて、となると死刑執行猶予が取り消されている虎杖もまた、高専側からしてみれば処刑対象であり、高専に立ち入らせてはいけない存在です。

 そうなれば彼の呪力を探知した高専の結界はアラートを鳴らしてそれを高専上層部に伝えるでしょうから、通常彼は高専に出戻ることはできません。

 

 ただ、伏黒は「結界は緩んでる」と言いました。「解けている」ではなく「緩んでいる」とはどういうことなのか。

 

 話を少し前に戻して、ジャンプ9号第137話、壊滅した東京の情景を背景に多くの人々の声が次々に寄せられるシーンを見てみましょう。

 

「明治に張り直した皇居を中心とした結界と、幕末に東京遷都候補地だった薨星宮直上を中心とした結界、これらを無理矢理県境まで拡張する

 

 個人的には「明治に張り直した」という文言も気になるところですが、今回のメインはその後、「薨星宮の結界を県境まで拡張する」です。

 

 県境、つまり東京と他県の境目までこの結界を広げるということです。

 

 「薨星宮直上の結界」が「高専の結界」と同一のものかはわかりませんが、仮に同一のものだとするならその目的は「呪霊を東京都外に出さないようにするため」ですし、同一のものでなかったとしても「都外からの侵入を阻む」等が考えられます。

 

 どちらにせよ、「天元によって安定供給されている結界を、人間が無理矢理手を加えて拡張する」ということになります。

 

 天元は(作中描写を見る限り)万能の術師のようですが、全能の術師というわけではなさそうです。

 

 「結界を無理矢理県境まで拡張する」ことにより、その効力に何かしらの影響が出ても不思議ではありません。

 簡単に例えるなら、「大きさの決まっているザルの目が、引き伸ばされたことにより粗くなってしまった」でしょうか。こう考えるとスッキリします。

 

 つまり現在の高専の結界が緩んでいる背景には、東京都全域に放たれた呪霊の対処のために薨星宮直上の結界を無理矢理県境まで拡張したことが起因していると考えられます。

 

 だから現在の高専の結界では虎杖一人の呪力を感知することができない、と考えれば疑問点はおおよそ解消されるのではないでしょうか。

 

 

 考察というより設定同士を繋げて考える整理回でしたね。

 

 こういうフランク寄りな記事も書いていこうと思います。

 

 

 それではまた。

 

 よしなに。

 

【解説】これで分かるキャラクター紹介_七海健人【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 久しぶりのキャラクター紹介、前回は伏黒甚爾について取り上げました。

 

 今回は脱サラ呪術師こと七海健人についての解説記事となります。

 

 

f:id:kero_0441:20210404152507j:plain

*1

 

1.プロフィール

 

 七海健人、7月3日生まれの蟹座。作中での年齢は28歳。

 

 好きな食べ物はパンとアヒージョ。苦手な食べ物は平麺。

 好みからしてお洒落なイタリア料理店で赤ワインとか飲んでそうですね。何なら行きつけのバーが表参道とかにありそうなイメージ。

 

 術師としての階級は1級。ただし非術師の家系出身。

 ちなみに五条とかのせいで感覚が狂いがちですが、ほとんどの術師が2級か準1級で頭打ちになるので、七海はめちゃくちゃ天才です。

 

 作中の描写から元々外資系の銀行か証券会社に在籍していたが、行きつけのパン屋のお姉さんに取り憑いていた呪いを祓ったことがきっかけで術師に復帰。

 

2.術式

 

 彼の術式は「十劃呪法」

 対象を線分し、7:3の位置に強制的に弱点を作り出す術式

 弱点箇所にジャストミートすればガードの上からでも対象を破壊できたり、布でぐるぐる巻きの呪具でも四肢を切断できたりする。近接戦で未開示の状態だと普通に防げなくない?

 

 拡張術式として「十劃呪法・瓦落瓦落」があり、これは十劃呪法により破壊した対象物に呪力を込めるもの。建造物にこれを使うと瓦礫全てに呪力が付与された攻撃になるので厄介。地形もアドバンテージにできるの強すぎる。

 

 と、特に近接戦闘においてはかなり強く立ち回れる術式。

 

3.生涯

 

 呪術高専時代は一つ上の代に五条や夏油、家入がいる世代で、同級生に灰原雄。

 

 灰原雄が産土神信仰の任務で命を落としたことがきっかけかは定かではないが、高専卒業後は一般就職(証券会社にせよ外銀にせよ、普通は四大卒が採用条件になったりしているので、恐らく大学に編入した?)。

 

 その後術師に復帰。

 以後は高専側の術師として呪いを祓う日々を送っていた。

 

 10月31日の渋谷事変にて特級呪霊・陀艮と応戦。

 その後同じく特級呪霊・漏瑚により全身を焼かれ、致命傷を負う。

 

 満身創痍の体で駅構内に放たれた改造人間を狩り続けるも、その最中特級呪霊・真人に遭遇。真人の「無為転変」により死亡。享年28歳

 

 

 余談ですがジャンプ本誌でリアルタイムで読んでいた僕は、この号で叫びました。まさかここで死ぬとは思ってなかったので。

 

4.作中での戦績

 

 意外と戦闘シーンが少ない七海。

 

vs改造人間、○

vs真人(初戦)、引き分け

vs重面春太、○

vs陀艮、引き分け(甚爾の乱入により有耶無耶になったため。陀艮の術式にやられていたことからほぼ●と判断してもいいかと)

vs漏瑚、●

vs真人、●

 

 後半は相手が悪すぎますね……特級呪霊ばっかり相手してる…

 

5.名言

 

 七海は作中でも屈指の名言製造機だと思っています。

 

「労働はクソです」 

 …その通りすぎる。

 

「枕元の抜け毛が増えていたり、お気に入りの惣菜パンがコンビニから姿を消したり、そういう小さな絶望の積み重ねが、人を大人にするのです」

 …社会人を経験してアラサーになった七海だからこそ言える言葉。

 

「私は大人で君は子供、私には君を自分より優先する義務があります」

 …ナナミン!!!

 

 言葉の端々に「大人の余裕」を感じさせるのが最高すぎます。

 というか虎杖周辺の大人が五条悟みたいなおとな子供みたいなやつなので余計にしっかりして見えますね。

 

 

 

 ナナミンの解説記事は以上となります。

 これからも少しずつキャラクター解説記事は上げていきますので、ゆるっと読んでいってください。

 

 それではまた。

 

 よしなに。

*1:引用:芥見下々『呪術廻戦』第3巻、集英社、p55

【考察】「術式が死ぬ」とはどういうことか【呪術廻戦】

 ども、けろです。

 今回は作品の大筋からは少し離れますが、作中の設定で気になった点を少し考えていこうと思います。

 

 単行本15巻の虎杖vs真人のワンシーンで、虎杖のブラザーことベストフレンド東堂葵が以下のように述べていました。 

 

f:id:kero_0441:20210401163348p:plain

*1

 

 今回はこの「俺の術式はもう死んでいる」、つまり「術式が死ぬ」とはどういうことかについて軽く考えていきましょう。

 

 

1.東堂の発言、「俺の術式はもう死んでいる」

 

 まずこの発言をしたシーンですが、東堂は自らの右手と、切断した左手の断面を合わせて打ち鳴らしています。が、術式「不義遊戯」は発動せず。

 これにより真人の注意を引き、虎杖渾身の黒閃をぶつけることに成功したわけですが、本来なら発動するはずだった東堂の術式がここでは発動していません。

 

 当初は花御戦で見せた「発動させたように見せかけて実は発動していない」というブラフの可能性も考えましたが、東堂がわざわざ「俺の術式はもう死んでいる」と述べていたことから、別の可能性を考える必要性が出てきました。

 

 シンプルに考えると「東堂はもう術式を使うことができない」ですが、これにもいくつかのパターンが考えられるなと。

 

2.術式は「何」に宿るのか

 

 まず大前提として、そもそも術式が何に宿るのかについて考えていこうと思います。

 

2-1.「生まれ持った肉体」に宿る説

 

 最もシンプルかつ、作中で開示された設定と齟齬がないものになります。

 作中で五条が述べているように、生得術式というのは基本的に生まれた時点で肉体に刻まれているものになります。

 

 加えてその術式というのは、特定の肉体部位・器官をトリガーにして発動することが多いです。狗巻の呪言は「声(=喉)」、脹相・加茂憲紀の赤血操術は「血液」という身体の一部を媒介にして術式が発動します。

 

 東堂の術式「不義遊戯」の発動は「手のひらを叩くこと」がトリガーとなっていますから、彼の場合は「両手」でしょうか。

 

 これが失われたということは、文字通り彼の術式は「失われた」ということになります。逆に言えば、欠損した腕を再生させることができれば「生き返る」可能性もあります。

 

2-2.「魂と肉体セット」に宿る説

 

 次に、肉体に魂が紐付けられているという関係性から、魂もまた生得術式が宿る一部として考えることができます。

 

 真人の「無為転変」は魂の形を変えて肉体をねじ曲げる術式ですから、これをこねくり回されて片腕を失ったのであれば、「本来術式が宿っていた形の魂」が失われたということになりますから、東堂が「術式が死んだ」というのも納得ですね。

 

 個人的にはこちらより前者の方がストレートであり得そうですが。

 

2-3.東堂の術式は「消えてはいない」が「もう発動できない」可能性

 

 個人的には、術式はシンプルに肉体に宿ると考えていますから、東堂の発言を分解して考えることができそうです。

 

「俺の術式は、もう死んでいる」

 

 これは、「生得術式そのものは消滅していないが、術式の発動条件である腕の一部を失ったため、もう発動することができない」であると解釈できます。

 

 無為転変により変形した肉体は、反転術式でどうこうできるものではないと既に作中で明言されていますから、これをひっくり返す術式やルールが出てこない限り、東堂は今後術式を使うことができません。

 

 もちろん、真人との戦いでみせた「相手の掌を利用する」という搦め手もありますが、相手は中・遠距離戦を主体とする者だった場合これも通じません。

 

 最も東堂は近距離戦でほとんど無敵に近い戦闘力を誇りますから、ゴリラ枠として残る可能性も十二分にありますが。

 

3.他の術師に置き換えてみる

 

 さて、最後にコラム的な考察として、「他の術師の場合、どうすれば術式が死ぬか」について考えてみましょう。

 

 前述の通り、狗巻棘は呪言を武器に戦う術師です。彼の術式は「言葉が音に変換され、それを相手に聞かせること」で効力を発揮します。

 であるなら、それを封じる術はいくつかあります。

 

1.狗巻の喉、正確には声帯を潰す(=発話できない状態にする)

2.こちらの脳を呪力で守るor意図的に鼓膜を破る(=呪言の作用をなくす)

3.呪言の声量をかき消す轟音・騒音等をフィールドに流す(=呪言をかき消す)

 

 こういった舞台・状況であれば彼の術式は(実質)「死んだ」ということになります。

 

 加茂憲紀・脹相の赤血操術でいえば渋谷事変で虎杖が行ったように水を降らせることで「(体外での術式発動を)殺す」ことができます。

 

 釘崎の芻霊呪法は、人形とハンマー(状の武器)を失えば「死ぬ」と言えますし、伏黒の十種影法術にしても両腕を拘束or切断すれば影絵を結ぶことができなくなるので「死んだ」と呼んでも差し支えはなさそうですね。

 

 

 こう考えてみると、「術式を殺す」ことは(特定の術式に限って言えば)可能だと考えられそうです。

 要するに「術式に対して対策を練る」というだけの話ですが、術師というのは術式が生命線なところがありますからこれらをやられると結構な痛手になりそうです。

 

 

 個人的には東堂のハイセンスゴリラな戦い方が結構好きなので、何かしらの方法で復活してくれたらめちゃくちゃ嬉しいです。一部の熱狂的な東堂ファンもきっと喜ぶので。

 

 

 というわけで今回はこの辺で。

 

 それではまた。

 

 よしなに。

*1:引用:芥見下々『呪術廻戦』第15巻、集英社、p161